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管理組合で積極的に行いたいマンションコミュニティの形成

2019.06.21


マンションに住んでいる方は両隣、もしくは上下階の住戸の方をご存知でしょうか。顔は知っている、あいさつ程度はする、お土産のやり取りまでする……など距離感は家庭によって異なりますが、近隣との関わりが希薄になってきた昨今は近隣家庭の顔も名前も知らないという方もいるのだそう。近隣との関わりが希薄でも特に問題ないように思えますが、なぜマンションコミュニティの形成が必要と言われているのでしょうか。

管理組合がコミュニティ形成を行う必要がある理由


インターネットが発達し、遠くの人ともすぐにコミュニケーションをとれる現代において、ただ近くに住んでいるというだけで近隣の方とコミュニケーションをとる必要はないように感じます。そのように思う方が多いからこそ、昔と比べると近隣との関わりが希薄になっているのかもしれません。普通に生活をしている分には特にコミュニティ形成が行われていなくとも問題なく感じますが、マンションコミュニティが活発だとどのようなメリットがあるのでしょうか。

1.管理組合運営が円滑になる


管理組合は区分所有者全員が所属していますが、その代表者の集まりである理事会ではマンション共通の決め事を取りまとめたり、マンションに関する幅広い事柄を扱うこととなります。以前の記事でも総会の決議についてご紹介しましたが、この決議が行われないと管理規約の改正や大規模修繕工事などを決定することができません。マンションコミュニティが希薄なマンションではこの総会の決議の際、反対意見が出た場合にほとんど初対面の人同士が話し合うこととなるため拗れやすくなってしまうのです。

また、騒音などの近隣トラブルもマンションコミュニティの形成によって抑止する効果が見込めます。上階の足音がうるさいと感じても、元気な男の子がいると知っていたり、頻繁に挨拶するような関係性であれば何も知らないよりは寛容になれますよね。こういったトラブルは大きくなるとマンション全体の雰囲気に悪い影響を与えたり、拗れ過ぎると訴訟沙汰にもなりかねませんので甘く見ずに管理組合全体で予防策や対応策を考えていきましょう。

騒音トラブルについての記事はこちら
漏水トラブルについての記事はこちら

2.防災・防犯対策として有効


他の記事でもご紹介しましたが、マンションコミュニティは防災防犯といった面でも重要です。大規模災害で在宅待機となった場合は管理組合の防災組織の指示下のもと皆で共助しあって生活していかなければなりません。大規模災害はいつ起こってもおかしくありませんが、いざ発生した際に隣人の安否を確認しようにも家族構成を知らないのでは確認のしようもありません。近隣の方の家族構成や名前を知っているだけでも、災害時にできることは広がるのです。そして、普段からコミュニケーションが取れていることで、パニック状態の中でもお互いに助け支えあう共助がスムーズに進められるのではないでしょうか。

また、住んでいる人の顔を知っていれば明らかな不審者が子どもに声をかけていても気が付きやすくなりますし、知らない人がマンション内にいれば気になりますよね。そういった防犯の面でもマンションコミュニティは効果を発揮するのです。

防災対策についてはこちら
防犯対策についてはこちら

3.空き家問題防止にもつながる


マンションコミュニティをきっかけとして、孤立しがちな育児休暇中の人同士が子育ての悩みを相談しあったり、単独世帯の高齢者の方同士で集まったりと、近い年代や似たような生活環境の人と知り合うといったことにも繋がります。同じマンションの中で共感しあえる方がいると、お互いに助け合うことができるので、日常生活でも助かりますよね。その結果、生活の満足度が上がり「ここに長く住みたい」という気持ちから退去を希望される方が少なくなることで空き家となることを防ぐ効果が見込めます。また、空き家が出た場合でも「ここのマンションは暮らしやすい環境が整っている」ということで入居を希望される方が早期に見つかるかもしれません。空き家が多くなると管理費や修繕積立金不足といった問題にも発展していきますので、空き家問題を防止するためにもマンションコミュニティについて考えていきたいですね。

マンションの空き家問題についてはこちら

管理組合がコミュニティ形成を行うには


マンションコミュニティが重要であることはわかりましたが、現時点でコミュニケーションが希薄化しているマンションではマンションコミュニティの形成をしよう!と言っても何をしたら良いか分かりません。これから始めてみたいという管理組合はどのようなことから始めたら良いのでしょうか。

防災訓練など参加する必要を感じられるイベントを企画する



あまりマンションコミュニティが活発ではない管理組合では、防災訓練のような参加する理由付けがしやすく、全員にとって大切な内容のイベントから始めるのが良いかもしれません。イベントは楽しめるということも大切ですが、参加する動機やきっかけがないとなかなか最初は参加しにくいもの。防災訓練の後に懇親会などを行うなど、真面目なプログラムだけではなく楽しめるプログラムやイベント企画を加えておくと大人も子どもも家族全員で参加しやすくなります。

イベントを企画してくれるサービスを利用する



仕事をしている方が多く、イベントをしたくても準備等にあまり手間をかけられない管理組合ではイベントの企画運営をしてくれるサービスや企業がないか調べてみることもおすすめです。取り扱い企業によって内容はさまざまですが、企画から運営までるワンストップで提供してくれるサービスや多様なイベントプログラムを用意している会社もあります。あなたのマンション管理組合の状況や構成に合ったサービスを探してみると良いでしょう。また、管理会社でこのようなサービスを取り扱っている場合もありますので管理会社に相談してみることもおすすめです。

地域のお祭りへ出店する


マンション内だけではなく、近隣とのコミュニケーションも同時に図りたいという場合には自治会が開催しているお祭りに出店するのも良い方法です。お祭りの準備という目的があるため自然とコミュニケーションをとることができ、実際のお祭りでは地域住民をはじめ、同じマンションの方々とも楽しい時間を過ごしながら交流を深めるきっかけにもなります。

一見あまり必要ないようにも感じるマンションコミュニティの形成ですが、今回紹介したようにマンションコミュニティが活発であることは、管理組合全体にも大きなメリットがあります。最初から大きなイベントを企画・実行するのは大変かと思いますので防災訓練など負担が少なく企画しやすいものから始めてみてはいかがでしょうか。

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