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マンション共用部分の防犯は対策済み? 管理組合として気を付けたいポイント

2019.04.17

戸建て住宅とは異なり集合住宅であるマンションは、上層階であればあるほど外部からの侵入に対してガードが緩くなりがちです。確かに戸建て住宅と比べると道路から玄関までの距離が遠く、居住者も1世帯だけではないため侵入リスクは低く感じますが、居住者以外の人が歩いていてすぐに部外者だ! と気づける方はなかなかいませんし、実際にマンションでも侵入されての犯罪は発生しています。マンションの防犯では各戸の防犯対策はもちろん必要ですが、そもそも共用部分への侵入を防ぐというのも効果的な防犯対策。あなたのマンションでは防犯対策していますか。

住んでいる階によって違う防犯の心配事

戸建て、集合住宅にかかわらず防犯では部屋へ侵入されることを防ぐというのが第一と思いますが、特にマンションに住んでいる方は、どのような防犯上の不安があるのでしょうか。

独立行政法人建築研究所の「共同住宅における防犯に関するアンケート調査」によると、専有部分(部屋内)と違い、共用部であるものの一世帯だけが使用する権利があるバルコニーなどの専用(使用)部分と、自転車置き場や共用エントランスなどの共用部分の防犯対策の満足度を比較すると、共用部分の防犯対策は専用(使用)部分と比較して満足度が低く、不十分であると感じている方が多いことがわかります。専用(使用)部分は防犯グッズも多く個人で取り付けることができるものが多いですが、共用部分は防犯対策が限られることや、施策によっては総会での承認を得る必要があることなどから満足のいく防犯対策が行えていないという面はありそうです。

引用元:https://www.kenken.go.jp/japanese/research/hou/topics/bouhan/pdf/kyodo_report.pdf

さらに詳細な防犯面で不安を感じる場所の調査をみると、の不安が強いことがわかります。やはり外部からの侵入の危険が最も高そうな共用出入り口は、防犯への意識が向きやすい場所ですね。また、すべての方が使用するわけではないため出入り口と比べると人通りが少なくなりがちな自転車置き場も、自転車を置いている方にとっては盗難などの犯罪のリスクを感じる場所のようです。不安に感じる方が多かったこの2か所以外でも駐車場やエレベーターなど日常的に使う場所の防犯に不安を感じる方は4割を超えており、マンション共用部分の防犯に不安を感じる方は多いよう。自転車と比べると車の盗難は少ないイメージがありますが、筆者の実家マンションでも駐車場から転売しやすい人気の車種だけ盗まれるという事件がありましたので、マンションの駐車場でも車の盗難が起こる可能性はあるのです。一方不安を感じている方が少ない場所として、集会所や屋上が上がっており、これは普段出入りする機会が少ないため不安に思う機会が少ないことが考えられます。やはり普段から使用する場所や、外部の方が出入りする可能性のある場所が特に防犯面に不安を感じるようですね。


引用元:https://www.kenken.go.jp/japanese/research/hou/topics/bouhan/pdf/kyodo_report.pdf

マンション共用部分に取り入れたい防犯

専用(使用)部分への防犯と比べて共用部分への防犯に不安を感じる方が多いことはわかりましたが、共用部分への防犯対策としてはどのような方法や設備があるのでしょうか。それぞれ初期導入費用やランニングコストなどがありますので、マンションごとに必要な設備を考えて導入を検討しましょう。

防犯カメラ
エントランスはもちろん、エレベーターのような外から見てわからない場所の犯罪防止や、駐輪場や駐車場などの盗難防止などにも役立ちます。ゴミの不法投棄に困っている場合にはゴミ置き場に設置をする場合もあるのだそう。幅広い場所に設置ができるため、マンションの困りごとや防犯面で不安がある場所に、柔軟に対応できるのが大きな強みと言えます。気を付けなければならないのが、導入には管理組合で購入、リース契約、レンタルなどいくつか選択肢がありますので、導入方法によって費用やランニングコストが異なることです。例えば購入する場合は初期費用として設置費用と本体代金(1万円程度~)が掛かりますが、その後は電気代やネットワークカメラであれば保存用のハードディスク費用と通信料だけで設置できます。しかしその後のメンテナンスや新機種への取り替え、データの管理などを管理組合がすべて負担する必要がありますので注意が必要です。一方レンタルやリース契約は契約内容によりますが1か月数千円~で契約ができますし、定期メンテナンスも契約に入っていることもあります。また、数年後に新しい機種を導入したい場合に導入がしやすいというのもメリットです。

管理人・警備員の夜間常駐
すでに管理人がいるマンションも多いと思いますが、管理人のいる時間を延長するというのも一つの防犯対策です。大規模マンションの中には24時間常駐の管理人がいるマンションもありますが、多くのマンションは管理人が常駐していても朝~夕方にかけてだけということが多いのではないでしょうか。管理人の常駐はどの場所も24時間監視できるわけではありませんが、防犯カメラと違いその場で対応ができるというのが大きなメリットです。不審者がいればすぐに警察を呼べますし、なにかトラブルがあった場合に頼ることができるので、人がいる安心感というのは機械には代えがたいものを感じる人も多いですよね。人件費がかかる管理人の常駐は高額となるため金額的に導入が難しいという場合には、常駐ではなく夜間だけ巡回してくれる警備員を依頼するといったサービスも。管理や警備をしてほしい時間帯や予算に合わせてサービスを選びましょう。

オートロック
すでに設置されているマンションも多いかと思いますが、やはりエントランスのオートロックは不審者の侵入を防ぐという面で有効です。また、防犯以外でもエントランスで呼び出しベルを鳴らされた時点で来客が誰かわかるので突然の宅配便などに焦らなくても良いという面でも人気は高いよう。もともとオートロック設備がなかったマンションでも最近は後付けできるオートロック設備もありますので、設置費用が必要となってしまいますが大規模修繕工事など大きな工事のタイミングで検討してみてもいいかもしれません。

専用(使用)部分と比べると家族以外の人が出入りする分、防犯面で不安になりやすい共用部分ですが管理組合主体で防犯を徹底することで、マンション全体の防犯力が向上し、居住者の安全を守ることができます。費用面や運営の面で検討事項は多いですが、現在住んでいるマンションの防犯面での課題は何でどのような防犯対策が有効かというのを話し合って有効な防犯対策を行いましょう。

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