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中古マンションを購入するときにチェックしておきたいポイント

2019.06.24


以前は住宅購入といえば新築のイメージが強かったかと思いますが、最近は中古住宅を購入し、リノベーションして住むという方も増えてきています。特にマンションなどの集合住宅は建物の造りや他の居住者によって影響を受けやすいため、新築マンションであれば住んでみないとわからなそうといった環境面も、中古マンションならば確認しやすいというメリットも。その半面、中古マンションだからこその注意点などもありますので、メリットとデメリットを比較して中古マンションならではのリスクに備えましょう。

中古マンションの契約件数は増加している


新築マンションとくらべると中古マンションを購入する方は少ないように感じるかもしれませんが、公益財団法人東日本不動産流通機構の発表した首都圏を対象とした「首都圏不動産流通市場の動向(2018年)」によると、2018年の中古マンションの販売(成約)戸数は37,217戸と、10年前と比較して10,000件近く増加しており、中古マンションの需要が増えているということがわかります。それでは、新築マンションはどの程度販売されているのでしょうか。同じく首都圏を対象とした(株)不動産経済研究所の「首都圏マンション市場動向」によると、2018年の新築マンションの販売(契約)戸数は28,783戸となっており、中古マンションと比較すると10,000戸近く少ないのです。新築マンションと比べてここまで中古マンションを選ぶ方が多いのは意外と感じる人も多いのではないでしょうか。

中古マンションには新築マンションと比べてどのようなメリットがあるのでしょう。


引用元:http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2018.pdf


引用元:https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/358/s2018.pdf

中古マンション購入のメリット

中古マンションの販売戸数が新築マンションのそれを上回っていることは分かりましたが、新築マンションではなく中古マンションを購入するメリットは、どのようなことが挙げられるのでしょうか。

価格が安い


株式会社東京カンテイの「マンションデータ白書2018」によると、中古マンションの人気が高まってきたことで価格は上昇傾向にあるものの、平均価格は3,348万円と新築マンションの平均価格5,592万円と比較すると2,000万円以上価格を抑えられることが分かります。新築マンションは金額的に厳しいと考えていた方も中古マンションであれば購入検討することができるのではないでしょうか。

また、新築マンションを購入できる方でも新築マンションの構造や間取り、使い勝手などが自分に合っているとは限りません。それであれば中古マンションでお気に入りの物件を購入した上で追加の予算を使って自分に合うようにリノベーションしたい、といった理由で選ぶ方もいるようです。


引用元:https://www.kantei.ne.jp/report/98hakusyo-syutoM.pdf

選択肢が広い


中古マンションは新築マンションと比べて供給戸数が多いため、新築マンションでは見つからなかった条件でも、中古マンションであれば見つかるといったこともあるのが大きなメリットです。試しに大手不動産サイトSUUMOで東京都にある物件を検索してみたところ、新築マンションは589件なのに対し、中古マンションは26,678件と桁違いに物件数が多くなります(2019年6月20日現在)。

設備であれば後から追加できるものもありますが、立地や周辺環境など自分では左右できないことは、こだわって選びたいですよね。これだけ選択肢が増えるのであれば中古マンションに人気が出るのも頷けます。

マンションの環境も把握しやすい


新築マンションはまだ誰も入居していない状態で内見・契約することが多いため、入居後にならないと分からないことも多くあります。例えば隣の部屋の音はどの程度聞こえるのか、上層階の足音はうるさくないか、居住者はどのような人が多いのか、といった点は他の居住者にもよるため、事前に確認することは難しいですよね。住んでみたら壁が薄く隣家のテレビの音まで聞こえる、上層階に子だくさんの大家族がいて子どもの足音が響く、居住者に同年代がおらず他の居住者とコミュニケーションが取れない、などさまざまな可能性が考えられます。

その点中古マンションであればすでにある程度の環境が分かる状態で選ぶことができるため、マンションの管理状態が悪い、壁が薄くて音がだだ漏れ、といったマンションは候補から外すことができるのです。一度契約すると破棄することは難しいため、環境が事前にわかるというのは大きなメリットではないでしょうか。

中古マンションを購入するのにチェックしておきたいポイント


中古マンションは前述したような新築マンションにはないメリットがあり、契約戸数が伸びていることからも人気があることが伺えます。しかし、逆に中古マンションだからこそ気を付けて見ておきたいポイントも。中古マンションを購入検討している時、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。

マンションの管理方法はどうなっているのか


「マンションは管理を買え」という言葉もあるほど、マンションは管理次第で環境が全く変わります。これまで一戸建てに住んでいた方からすると、あまりイメージが沸かないかもしれませんが、マンションでは区分所有者全員で廊下や階段といった全員で使う共用部分の管理を行うため、管理方法を自分の一存では変えることができないのです。管理会社に管理を委託しているマンションであれば、どのような管理をしていてどのようなサービスを利用できるのか、自主管理なのであれば居住者の負担はどの程度かといったことは確認しておきましょう。管理会社のサービスが充実しているマンションは魅力的に感じますが、その分支払う管理費は高くなりますし、逆に自主管理のマンションでは理事の負担が大きかったり、共用部分の清掃を区分所有者で行わなければならないこともあるため、住んでからの負担が大きくなります。住んでから、知らなかった! とならないように、マンション管理の方法は見ておいた方が良いでしょう。

環境や管理は自分に合っているか


メリットでも上げましたが、中古マンションであれば住んでみないと分からない防音性などもある程度確認することができます。音でいうと、両隣・上下階からの音の響き方や、マンション前の道路を走る車の音がどう聞こえるかなどは、内覧時に確認しておきたいところです。

また部屋の中だけではなく共用部分の管理状況も内覧時に見ておくと、どのような管理状態なのか知ることができます。マンションの部屋内がきれいでも、共用部分の塗装がはがれてボロボロのマンションであれば管理組合が機能していないのかもしれませんし、最悪の場合すでに管理不全に陥っている可能性もあります。

先ほどの「マンションは管理を買え」ではありませんが、全員で管理する共用部分だからこそマンションの環境を知ることができるのです。近隣の方と積極的にコミュニケーションをとりたい、という方は内覧時に居住者の方の大体の年代を聞いておくと、その後の生活をイメージしやすいかもしれません。

売主が管理費や修繕積立金を滞納していないか


毎月の管理費や修繕積立金の支払いは区分所有者の義務ですが、売主(前の区分所有者)が支払いを滞納していると、次の区分所有者が滞納分を引き継いで支払わなければならない場合があります。滞納などがある場合には契約前の重要事項説明にて説明されますが、契約直前に言われても色々な準備も進んでいて困ってしまいますよね。そうならないために、不動産屋から管理会社(自主管理の場合は理事会)に「重要事項に関わる調査報告書」というものを取り寄せてもらいましょう。

この「重要事項に関わる調査報告書」は重要事項説明の際に不動産屋が利用するものなのですが、ここには購入する部屋に滞納金額がないかどうかということも記載されています。これを見て滞納があった場合には契約を取りやめる、または滞納金額分の値引きを要求する、といった対応が出来ますので気に入った物件があったら手続きを進める前に早めに取り寄せて確認しましょう。

管理組合の運営状況は問題ないか


前述した「重要事項に関わる調査報告書」には売主の滞納金額のほかに、

・修繕工事履歴
・大規模修繕工事の予定
・修繕積立金総額
・マンション全体の管理費や修繕積立金の滞納額
・管理費、修繕積立金の改定予定
・管理組合の借入金があるか

といった情報も記載されています。実は売主の滞納金額よりもこちらの情報の方が重要といえるかもしれません。例えば

・築20年以上経っているのに大規模修繕工事が行われていない、予定もされていない
・修繕積立金総額が明らかに少ない
・マンション全体の滞納額が多い
・大規模修繕時に借りた管理組合の借入金が多い

といった状況であれば、もはや売主の滞納分を払ったとしても取り返しがつく状態ではないでしょう。特に大規模修繕工事の履歴がないというマンションは、管理費や修繕積立金が安くとも資産価値は下がる一方ですし、いずれメンテナンス不足のツケが回って漏水が頻繁に起こったり、水道管の破損で水が出なくなったりと生活することも難しくなることも考えられます。
大規模修繕工事時の借入額が多いにも関わらず、修繕積立金が明らかに安すぎる場合も次の大規模修繕工事では借入できず工事を行うことができないかもしれません。
修繕積立金が明らかに足りない状況にも関わらず滞納している区分所有者が多い場合は、値上げはおろか滞納分の回収すらままならない状況ということになります。
こういったマンションをうっかり買ってしまうと、売って手放すということも難しく税金ばかりがかかる「負動産」に……逆にしっかり運営できている管理組合であれば、新築マンションと違ってすでに管理組合運営の基盤ができあがっているので、その後も安定した管理組合運営が期待できます。

中古マンションのメリットと購入時に見ておきたいポイントについて書きましたが、すでに自分のマンションを持っている方にとっては、販売時にどのような点が見られるのか=資産価値にはどのようなところが影響するのか、というポイントでもあります。居住者の年代や建物の構造は管理組合でどうすることもできませんが、その他の面は管理組合で改善することができることばかり。理事ではない方も知らぬ間に自宅が「負動産」になっていないか、チェックしてみてはいかがでしょうか。

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