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理事になったら知っておきたいマンション管理組合総会と決議の種類

2019.04.04


マンションの区分所有者となると一度は経験することになると思うのが管理組合の理事職ですが、実際に理事になってみると知らないことが多く戸惑うことも。特にそれまで戸建てに住んだいた方からすると総会や決議といったマンション管理上のルールを知る機会がなく、何をすれば良いかわからないという方も多いのではないでしょうか。特に総会の決議については決議事項によって可決要件が異なるなど、総会に参加したり進行するにあたって知っておくべきことが多く出てきますので、初めてマンション管理組合の理事になった方向けに理事会の基本と総会決議についてご紹介します。

管理組合の役割と管理組合総会とは


管理組合と聞くと真っ先に理事会をイメージする方も多いかと思いますが、管理組合自体にはマンションの管理を行うために区分所有者全員が所属する必要があります。その中で理事会というのは管理組合員の中心となって動く存在であり、基本的に下記4つの活動などを中心となって遂行することが主な役割となります。

1.マンション内の点検や修理など全体の管理
マンション内の軽微な修理や清掃などの日常的な管理から、大規模修繕工事や防災機器類の点検など一定期間毎に必要な管理業務を行います。清掃や日常的な管理は管理会社へ委託する場合がほとんどですが、管理組合内で行えることに関しては管理組合で行うことで管理費を抑えている管理組合もあります。また、大規模修繕工事や建て替えといった大きな変更がある修繕の場合は事前に決議をとったり実際に工事を行う前に説明会などを開催するのも理事会の役割です。基本的には共用部の管理となりますが火災報知機や排水管といった専有部にかかわる点検も区分所有者から情報を収集して管理組合でまとめることができればマンション全体の管理強化につながるでしょう。

2.区分所有者が支払っているお金(管理費・修繕積立金など)の管理
区分所有者から定期的に集金している管理費や修繕積立金などの管理も管理組合の役割になります。管理会社へ支払う管理費や大規模修繕工事に使用する修繕積立金に過不足がないか、といった管理を行い、修繕積立金がこの先不足する見込みであれば修繕計画の見直しや場合によっては値上げの検討をすることも必要です。管理費は清掃費用などの日常的な管理の他にもマンション共用部の火災保険や損害保険の保険料などにも活用されていますので、保険料などもあわせて管理しましょう。

3.建物の管理に関わる設計図などの書類の管理
マンションの新築時に作成された竣工図書※や設計関係の図面なども管理組合が責任をもって管理を行います。これらの書類は修繕工事を行う際や建て替えを行う際に、施工会社が建物のことを理解するために重要な資料となります。

※建物の工事途中で生じた変更等の内容もすべて反映した、実際に竣工した建物を正確に表した最終図面のこと

4.マンション内のイベント管理運営
地域のお祭りへの出店や町内会イベントなどがある地域では、それにかかわる官公庁・町内会とのやりとりの窓口にもなります。また、マンション内でのコミュニティ形成のためマンション内でイベントを開催する場合も、管理組合が主体となっておこないます。

上記のような管理組合がやるべき業務を中心となって担うのが理事会となりますが、理事会の役割は基本的に実施業務の検討および遂行するための進行がメインとなります。例えば、管理費や修繕積立金の変更を行ったり、大規模修繕工事を実施したりという事項については理事会だけで決められるものではなく、管理組合全体での承認が必要となります。
そして、理事も含めた管理組合全員に管理費・修繕積立金などの出納を共有し、理事会で検討を行った事項について決議を行うための集会を総会と呼びます。

総会決議の種類


理事会で検討した事項については総会で承認が必要となるということは前述しましたが、承認を得る事項によって必要な議決権数や割合が変わってきます。また、総会を実施するにあたっての規則もあらかじめ知っておきましょう。
まず、総会を実施するには議決権総数の半数以上を有する組合員が出席することが成立要件としてあります。基本的には1住戸に対して1議決権があり成立要件は議決権総数の半数以上ですので、仮に150戸のマンションであれば75議決権が必要です。しかし、仮にこのマンションの部屋を50戸所有する区分所有者がいた場合、その人が出席すれば残り25人の区分所有者が参加をすれば総会を実施することができます。反対に、1住戸で2人が参加していても議決権は1しかありませんので、1住戸の夫婦で参加した場合でも、1議決権というカウントとなります。
そのほかにも、決議を行うことができるのは招集通知であらかじめ通知した事項のみといった決議事項のルールも標準管理規約では定められており、総会で決議する事項については事前に資料を配布して内容の通知が必要です。総会の実施にはこのようなルールがありますが、このほかに決議内容によって承認のために必要な議決権数もあります。

普通決議
普通決議は年間収支決算の承認や理事・監事の選任、管理会社の変更など基本的な決議事項が対象となる決議方法です。管理規約で標準管理規約にない規約を定めているといった例外を除き、出席組合員の議決権過半数の賛成によって決議されます。

特別決議
特別決議は大規模修繕工事などマンションの敷地または共用部分に大きな変更がある場合や、管理規約の変更、マンションを建て替える場合などに必要な決議です。特別決議の必要な可決要件は普通決議とは異なり、マンション全体の区分所有者総数および議決権総数の3/4以上の賛成を得ることが可決要件となります。そのため、特別決議では仮に全戸数の3/4以上を所有している1人の区分所有者が賛成したとしても、残り1/4の区分所有者が賛成しなかった場合、区分所有者総数の3/4に満たないため可決されません。さらに、建て替えに関する決議はさらに要件が厳しく、マンション全体の区分所有者総数および議決権総数の4/5以上の賛成を得ることが必要となります。

理事になったら総会のことを知っておこう

マンションの理事は大変そうなイメージがあるかと思いますが、マンションのことをより理解するために区分所有者であれば一度は経験しておきたい役職です。これまで総会に参加したことがなくても、理事になればそういうわけにはいきません。自分の専有部だけではなくマンション全体に意識を向ける機会として、理事となってマンション管理について知ることが自分の資産であるマンションを守ることにもつながります。積極的に理事となってマンション管理に参加していきましょう。

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