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マンションの窓が壊れた!専用使用部分の修理は個人と管理組合のどちらが行うべき?

2019.05.01

マンションでは専有部分という区分所有者が所有している部分と、共用部分という区分所有者全員で所有している部分がありますが、玄関ドアや窓といった境目にある部分は半分は共用部分、もう半分は専有部分という扱いになっています。普段使っている分にはあまり意識しなくても問題ありませんが、修理が必要となった場合やリフォームをしたい場合にはどちらとして扱うべきなのでしょうか。注意したい専用使用部分の取り扱いについて知っておきましょう。

実はあまり知られていない専有部分と共用部分の境目

専用使用部分については以前の記事でも触れていますが、専用使用部分とは共用部分の中でも災害時などを除いた通常時において、特定の区分所有者だけ使用することを許可された部分のことを言います。例えば

・バルコニー、ルーフバルコニー
・玄関ドア
・窓
・トランクルーム
・専用庭
・駐車場

といった場所は専用使用部分にあたります。
普段は共用部分という意識を持たずに使っていることも多い専用使用部分ですが、区分上は共用部分のため、例えばバルコニーの避難梯子や機械式駐車場の点検、大規模修繕工事でバルコニーを塗り替えたりといった全体的な管理は管理組合で行われているのではないでしょうか。しかしこの専用使用部分と専有部分を完全に分けることが難しいのが、玄関ドアや窓といった共用部分と専有部分の境目にあるようなものです。先ほど玄関ドアや窓を専用使用部分の例として挙げましたが、厳密にいうと玄関ドアや窓といった専有部分と共用部分の境目にあるものに関しては、専有部分に接している(部屋から見て内側)は専有部分、共用部分に接している外側は共用部分(専用使用部分)という分け方になります。そのため1つの箇所ではありますが、管理組合と区分所有者の2者が所有しているという状態になるのです。

専用使用部分の修理は個人負担?管理組合負担?


玄関ドアや窓といった共用部分と専有部分が一緒になっている場所で困るのが万が一故障した場合の対応についてです。修理や管理の基本としては、共用部分は管理組合、専有部は区分所有者が行うこととなりますが、例えば窓ガラスを割ってしまった場合や玄関ドアの鍵が壊れて開かなくなってしまった、という場合は専有部分と共用部分両方に関係してきます。この場合の修理に関しては管理組合が管理費で行うべきなのでしょうか、それとも区分所有者が個人負担で行うべきなのでしょうか。

この時に関係してくるのが玄関ドアや窓が共用部分の中でも専用使用部分にあたるという点です。マンション標準管理規約によると、“敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。”とあります。つまり、普段窓や玄関ドアとして使用をしている範囲で発生した通常の管理については、専用使用権のある区分所有者が行う必要があるのです。共用部分でもあるため計画修繕は管理組合で行われますが、その他の管理に関しては基本的に区分所有者負担であると思っておきましょう。

しかし例外として、新築時の瑕疵によると考えられる不具合がある場合には管理組合に相談をした方がいい場合もあります。新築時からサッシが曲がって開閉に支障があった、など使用による劣化ではなく設置時の不具合が疑われる場合には、一度管理組合へ相談することで他の住戸でも同じような不具合がないか、といった検討・検証を行うことができます。

新築時の瑕疵である可能性がある場合には、新築時の施工会社へ管理組合から改善を求めることもできますので、新築時の瑕疵の疑いがある場合には一度管理組合へ相談してみましょう。

専用使用部分は自由にリフォームできる?


専用使用部分と専有部分が混在している窓や玄関ドアなどは、リフォームの際にも注意が必要です。玄関ドアのデザインを変えるために新しく交換したいという場合もあるかと思いますが、基本的に玄関ドアや窓を新しいものに交換したり、全面を塗り替えたりといった共用部分に影響のあるリフォームをすることはできません(管理規約で禁止と定められていることも多いようです)。

共用部分の変更に関しては、必要のある場合(大規模修繕工事や改修工事など)のみ管理組合の総会で承認を得て行うことができるようになっています。そのため、玄関ドアの見た目をどうしても変えたいという場合には、部屋の内側だけ塗り替えたり、シートを貼ることで専有部分のみの変更に留めておきましょう。玄関ドアの枠も同様に共用部分と専有部分が混在していますので、塗り替えられるのは専有部分だけになります。

また、見た目のリフォームだけでなく鍵の取り換えなどについても注意が必要です。防犯上の理由などで鍵を交換したい場合にも、管理規約によっては禁止されている場合や許可が必要な場合があります。鍵の交換をしたい場合にも一度管理規約を確認しましょう。

窓はあまりリフォームのイメージがないかもしれませんが、断熱工事などではガラスに厚みのある窓に変更したり、サッシを密性の高いものに交換するといった工事があります。この場合も玄関同様勝手に交換することはできません。断熱工事で窓の断熱性を高めたい場合には、以前ご紹介したYKK AP株式会社の『プラマードU』など専有部分に取り付けるタイプの内窓で2重窓にするのが良いでしょう。

専有部分と共用部分が入り混じっている玄関ドアや窓は扱いが難しく感じるかもしれませんが、基本的に“自分で管理する共用部分”という認識の方が良さそうです。許可を得ずに共用部分まで巻き込んだ変更を行うと、自費負担で元に戻さなければならない場合もあります。やむを得ない理由で共用部分に手を加えたい場合には、一度管理規約を確認した上で理事会へ相談をして承認を得てから行いましょう。

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