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え?バルコニーが共用部分!?意外と知らないマンションの「共用部分」とは

2018.05.30


マンションにお住まいの方はご自分のマンションの管理規約を読まれたことがありますか。管理組合の理事になったことのある方でも管理規約すべてに目を通した方はほとんどいらっしゃらないのではないかと思います。管理規約自体がかなり長文な上に分かりづらい単語がたくさんでてきますが、その中でも要所要所ででてくる「共用部分」という単語の意味をご存知でしょうか。この「共用部分」という言葉は全く分からないという方もいれば、「みんなで使う場所でしょ?」という理解の方もいらっしゃると思いますが、正しい理解が出来ている方は実は少ないようです。共用部分についてちゃんと理解していないとマンション生活では困ってしまうことも……。今回はそんな共用部分についてその意味や管理について解説いたします。

共用部分とはどこのこと?

共用部分とは区分所有者全員の所有物という考え方に基づき、管理組合で管理を行う場所のことを言います。そのため区分所有者全員が使用することができる場所が多く、下記のような場所は共用部分となります。

・複数戸をつなぐ共用廊下
・エントランスホール
・エレベーター
・集会室
・管理人室
・玄関ドアやサッシ
・ベランダやルーフバルコニー
・その他設備(ポンプ室、メーターボックス、消防・防災設備、電気設備、宅配ボックス、集合ポスト、パイプスペースなど)

廊下や集会室といった実際に使用する場所の他に、電気設備やポンプ室なども共用部分となります。これらの場所は実際に目にする機会はほとんどないものの、生活をするうえで必要な場所であることから全員で使用しているという感覚が強く、共用部分であることをすんなりと理解される方も多いでしょう。しかし、前述したように共用部分は必ずしも普段から全員で使用する場所だけではなく

・ベランダ
・ルーフバルコニー

といった普段は自分の家でしか使用していない場所も含まれているのをご存知でしたか。つまり、自分の家のベランダやルーフバルコニーは管理規約上、区分所有者全員のものなのです。これは災害時などに避難をする際、玄関から避難することが困難な場合などにパーテーションを破って避難経路としてベランダやルーフバルコニーを使用することがあるため、管理組合で点検・整備を行う必要があるという理由で共用部分とされています。ですが、共用部分とはいってもお隣さんが勝手に自宅のベランダに侵入して、洗濯物を干していたらびっくりしてしまいますよね。そんな状態にならないために、ベランダやルーフバルコニーには他の共用部にはないルールがあるのです。

共用部分と専有使用権

前述したとおりベランダやルーフバルコニーといった場所も、防災上の理由から共用部分に含まれますが、かといって他住戸の住民に勝手に使用されては困ります。そのためベランダやルーフバルコニーといった場所には「専有使用権」といって、そのベランダ自体は管理組合の管理であるものの、使用することができるのはそのベランダのある住戸の区分所有者のみというルールがあります。ですが、専有部分と異なり共用部分であるベランダやルーフバルコニーについては使用方法に規約があることはあまり知られていません。以下のようなものは規約違反になる可能性がありますので注意しましょう。

1.タバコなどの火気の使用
壁紙の汚れや副流煙が気になり室内で吸えない方に多いのがベランダでのタバコですが、これは防災や他住戸への副流煙と言った問題から、管理規約で規制しているマンションも多いようです。また、規制されていない場合にも洗濯物に臭いがついた等のトラブルもありますので、ベランダで火気を使用することはやめておいたほうがいいかもしれません。

2.大きな物置の設置
マンションには庭がないため、物置をベランダに設置していらっしゃる方も多いのではないでしょうか。ベランダを汚すこともなく家の中も広くなるため便利ですが、緊急時にパーテーションを破って避難経路にもなるため、避難の邪魔になるような大きなものに関しては規制されているマンションもあります。また、大規模修繕工事などの際に動かすことができないと、物置の周りだけ補修工事ができず、万が一それが原因で漏水などが起こった場合に、自己負担で修理をしなければならないことも……。規約で規制されていなくても、万が一のときに動かせないような大きなものについては置かないことをおすすめします。

3.洗濯物干し
デザイナーズマンションなどに多いのが外から見える場所での洗濯物干しの禁止です。これは景観維持の観点で、洗濯物が外から見えてしまうとマンションのデザインを損なうという理由から、手すり以上の高さでの洗濯物干しを規制していることがあります。手すりの高さが低いマンションでは大きな洗濯物を干すのが難しいかと思いますので、デザイナーズマンションの購入を検討されている方は、規約も確認した方が良いかもしれません。

知っておきたい共用部分のこと

居住者全員で管理する場所だからこそ、共用部分について知らないといつのまにか規約違反を犯してしまうこともあります。マンションを購入したからといって、集合住宅である以上は管理規約というルールを守って皆で快適に生活したいですよね。これまで目を通したことがなかった方も、ぜひ一度管理規約に目を通してみると知らなかったルールがでてくるかもしれません。

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