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マンションの宅配ボックスを活用しよう! メリットと注意点

2024.03.19


共働きの増加や環境意識の高まりとともに、マンションに宅配ボックスの設置を求める住民が増えています。宅配ボックスがあれば居住者は不在時に荷物を受け取ることができ、配達事業者は荷物を持ち帰って再度配達する負担を軽減できます。受領印を押す機能の付いたものや顔認証タイプも登場し、宅配ボックスは暮らしに欠かせない住宅設備の一つとなっています。

今回の「いい住まい」では、宅配ボックスの新規導入、または、既存の宅配ボックスを更新する際の参考になるよう、マンションに宅配ボックスを配置するメリットや注意点をまとめました。

宅配ボックス利用のメリットとは

インターネットショッピングや〝置き配〟サービスを利用する生活スタイルが定着する中、宅配ボックスは暮らしに欠かせない住宅設備の一つとなっています。不在時だけでなく在宅時も非対面で荷物を受け取ることができ、その結果、宅配便の再配達率を引き下げることになれば、人手不足が深刻な〝物流の2024問題〟の解決に貢献することが期待できます。

国土交通省が「令和4年度 住宅市場動向調査」で宅配ボックスの設置状況を調べたところ、2022年度に分譲住宅を取得した世帯のうち宅配ボックスを設置している集合住宅(マンション)は92・4%に上ることが分かりました。同じ調査で既存(中古)マンションの宅配ボックス設置率をみると約半数の50・2%にとどまっていますが、戸建て住宅と比較すると、どちらも高い設置状況です。

(出典:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」宅配ボックス設置の状況)

宅配ボックスを設置するメリットは主に三つあります。

①不在時に荷物を受け取れる
―共働き家庭や外出して留守をする時でもいつでも荷物を受け取ることができます。
②非対面で受け取れる
―在宅時でも感染症対策として、また、体調の悪い時や入浴時、子どもの世話をしている時などに配達員と相対せず受け取れます。宅配業者を装った犯罪の予防にも役立ちます。
③持続可能な物流の実現
―受取人が不在時の荷物の持ち帰り・再配達を減らし、配達事業者の負担を削減します。トラックドライバーの時間外労働の上限規制等の適用により、運転手不足が懸念される〝物流の2024年問題〟の対応策の一つとなります。

賃貸物件でも宅配ボックスの需要は伸びています。住宅・不動産業界の情報を提供するLIFULL HOME’Sによると、一都三県で賃貸物件を探す条件として〝宅配ボックスあり〟が〝必須〟として選択された割合は 2023年以降大きく伸びて、6割近くに上ります。

(出典:LIFULL HOME’S

宅配ボックスの種類・バリエーション

(写真:日本宅配システムホームページより)

それでは、宅配ボックスにはどのような機種があるのか見てみましょう。
マンションの宅配ボックスはロッカー型が主流です。新築マンションでは受け取り・配達エリアが分離された〝前入れ後ろ出し〟の壁埋め込み型の他、壁付型、床・背面固定型、据置型―などがあります。
ボックスの大きさは旅行用トランクが入る大きなサイズから小型、縦長などさまざま。ボックス数は、全世帯数の3割程度を目安に設置されているところが多いようです。

既存マンションで宅配ボックスのないところでは、郵便受けを宅配ボックス付きのものに更新する、設置スペースがない場合は屋外への据置型や宅配ボックス付きの玄関ドアを選択する、などして後(あと)付け導入が進んでいます。

●屋根のない場所に設置できるよう防滴仕様・防水規格に準拠した宅配ボックスも

(写真:Nastaホームページより)


●宅配ボックスがついた玄関ドア

(写真:エフォールスリーの「宅君ドア」)

ただし、玄関ドアはマンションの共用部分。導入を検討する際はマンション管理規約に従い、管理組合に相談した上で行うようにしてください。(いい住まい2月号「マンションの玄関ドアは交換できる?」をご参照ください)
宅配ボックスの機能は利用者のニーズの高まりとともに進化しています。受領証発行機能を備えたタイプなら書留郵便物を受け取ることができ、冷蔵・冷凍品を保管できる機種の開発も進んでいます。荷物を受け取るだけでなく、こちらから発送する際の窓口として、また、クリーニングの受け渡し場所として、宅配ボックスを活用するサービスも始まっています。

電機メーカーや大手不動産会社で開発を進める「冷凍・冷蔵宅配ボックス」

(写真:パナソニック産機システムズ「受け取り用冷凍・冷蔵ロッカー」)

宅配ボックスの鍵は、ダイヤルやテンキーの操作で暗証番号を設定・開閉する「機械式」と、タッチパネルやICカード、スマートフォンなどで開閉する「電気式」があります。オートロックドアに対応した解錠システムや、顔認証によるハンズフリータイプなど、最新技術を搭載した機種も登場しました。住民のニーズに合わせたものを選べば、マンションライフがより充実したものになりそうですね。

顔認証システムの宅配ロッカー

(参照:フルタイムシステムホームページより)

宅配ボックス利用の注意点

さまざまに利用できるとても便利な宅配ボックスですが、使い方には注意も必要です。

閉じ込め事故
最も気を付けたいのは、小さな子どもがかくれんぼなどをしていて宅配ボックスに隠れ、閉じ込められてしまう事故。東京都内では過去にマンションの宅配ボックスで子どもの閉じ込め事故が複数件発生しました。特に夏場は気温が上昇し、閉じ込められたまま熱中症にかかると重大事故につながる恐れがあり、消防庁が注意を呼び掛けています。宅配ボックスで遊んだり本来の用途以外の目的で使用したりしないよう、子どもたちには言い聞かせて、安心、安全、快適に利用しましょう。

(出典:国民生活センター)


宅配ボックスを利用できない荷物
次に、宅配ボックスに預けられない荷物もあるので気を付けてください。
ヤマト運輸では、宅配ボックスを利用できない荷物として下記のものを挙げています。
・食品など傷みやすいもの
・依頼主が宅配ボックスへの配達を禁止しているもの
・宅配ボックスに入らない大きさのもの
・本人確認が必要なもの
・直接渡す必要がある重いものや壊れやすいもの
・代引き払い・着払いのもの
・クール宅急便(冷蔵・冷凍)

宅配ボックスを利用できない状況
受け取る側の都合や宅配ボックスの状況次第で荷物を入れられないこともあります。
・郵便受けに名前がなく不在連絡票を投函できない場合
・受領確認(レシート出力、受領印押印)機能がない場合
・宅配ボックスが満杯で空きがない場合
などの状況では宅配ボックスを使えません。

不在票の入れ間違い
また、荷物は届いた(宅配ボックスに入れられた)ものの、不在票を投函するポストを間違える事故も発生しています。マンション内に同姓の方がいる場合は、誤配防止の工夫として、郵便受けにフルネームを記入しておくことや部屋番号+名字の組み合わせで記入することなどがあります。

暗証番号の記入間違いや故障
最後に、不在票に記載の暗証番号が誤って記入されていたり、宅配ボックスが故障したりすることもあり得ます。暗証番号の間違いは配達業者に、宅配ボックスの不具合は宅配ボックス管理会社のコールセンターに問い合わせましょう。

宅配ボックス整備に向けた行政支援

国土交通省は宅配業者の再配達負担を軽減するため、中古マンションに宅配ボックスが普及するようさまざまな支援策を展開しています。
法令上では、2023年度末に改正するマンションの「標準管理規約」に、宅配ボックスの設置を区分所有者が決議する際、加工の程度が小さければ出席者の過半数が賛成する〝普通決議〟で採択可能と明記し、合意形成のハードルを下げます。

費用に関する支援策では、宅配ボックスのない既存マンションに新たに設置する場合、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「子育てエコホーム支援事業」、「防災・省エネまちづくり緊急促進事業」などの枠組みが整備されています。補助の申請には工事の着手日や補助額、予算上限などに制限があるので、検討の際は事前に地元の自治体に問い合わせてみてください。

(出典:国土交通省)

ヨコソーでは工事計画の策定に伴う自治体への各種申請手続きに関するご相談を承ることも可能な他、補助事業への申請代行の実績もあります。宅配ボックスの更新、新設、増設によるより豊かなマンションライフをご検討の際はお気軽にご相談ください。

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