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収納を買い足したり買い替えをする基準は?【ミニマリストおふみの相談室】

2021.03.08

春は入学、入社、転職など生活が変わる節目の季節ですね。生活環境が変わると必要な物が変わり、家具や家電の買い足しや買い直しの必要が出てくるなど出費もかさむ時期でもあります。

家の中を快適に保つためには家具・家電・収納などの定期的な見直しが必要ですが、その中でも迷うのは収納。限られたスペースを有効に使うための収納ですが、とはいえ増やし過ぎても場所をとります。ミニマリストのおふみさんはどのような工夫をして収納の見直しをしているのでしょうか。

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家事を楽にするためにできるだけ物を増やさないよう気を付けて生活しているのですが
仕事や生活習慣が少し変わるたびに物が増えたり今までの収納では収まらなくなったりして収納を買い足したり買い替えたりしています。
おふみさんが家具を買い足したり買い替えたりする基準はありますか?

Oさん

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Oさん、ご相談くださりありがとうございます。

物を少なく保つ目的は人それぞれだと思います。
すっきりした空間が好きだから、節約したいから、自由時間がほしいから……等々。
Oさんは「家事を楽にする」という目的が見つかっており、それがまずとても素晴らしいことです。

物を整理する際に多く出てくる「まだ使えると言えば使えるけれど…」という物の要不要を判断するとき、目的が明確になっていれば「これがあると家事が楽にならないから手放そう」というように、判断する際の“ものさし”になるからです。

そして、収納を買い足したり買い換えたりする基準って難しいですよね。

わたしも物が増えて収納が足りなくなってきた際、収納家具を増やした方がいいのか、それとも中身の物を減らして収納家具は増やさない方がいいのかという部分はかなり悩みます。
わたしの場合は「以前と比べて生活スタイルが変化しているかどうか」を検証して、生活スタイルが変わった場合には「物が整理されて家事がしやすくなり、自由時間を増やせるか」「極端に場所をとりすぎないものか」などを勘案して買うかどうかを決めています。

収納を「買う」場合の判断基準、そして”買い替え”と”買い足し”を選ぶ基準について、わたしの経験も交えながらお話ししたいと思います。

物が増えたとき、収納を買うか買わないか?その判断基準

収納を買うかどうか迷う場面とはどんな時でしょうか。
持ち物が今までの収納ではまかないきれず、常に部屋の表に物が置いてある状態になっていると「買った方がいいかな?」という思考になると思います。

まずは、その出しっ放しになっている物にフォーカスしてみましょう。
生活スタイルが変わったから物が増えたのでしょうか?
それとも、最近持ち物の見直しをしておらず不要な物が溜まっているために新しい物が収納から溢れているのでしょうか?
前者の生活スタイルが変わった場合は、収納を買うことを検討します。
後者の場合は、持ち物を一度全て出して見直してみて、買わなくても済む方法を模索します。
我が家の実例を交えてお話します。

昨年春に緊急事態宣言が出て、食材の買い方を見直しました。
これまで、スーパーを「我が家の冷蔵庫の延長」と考えていて、冷蔵庫にはそれほどたくさんのものは保管せず、足りなくなったらこまめに買いに行くスタイルをとっていました。そうすれば食材管理に細かく気を配らなくても、腐らせて食材ロスすることがないためです。

しかし、感染症対策の観点から買い物に行く頻度を少なくするため、それまで2~3日に1回買い出しに行っていたのを、週に1回程度にしようと考えました。
また、当時はトイレットペーパーやマスクが買い占められて手に入れるのが困難な状態だったので、緊急事態宣言発令によって食材も手に入らなくなるかもしれないと危惧していました。

万が一の事態に備えて、生鮮食品だけでなく袋麺や缶詰などを1週間分は用意をして、それをローリングストックしていこう(日常の備蓄を少し多めに用意しておき食べ減った分を適宜補いながら日常生活と備蓄を同時に実現する)と考えました。


それまで、非常食的なものは災害時用の備蓄として3,4食くらいしか持っておらず、普段食べるものとしてストックはしていませんでした。
ローリングストックができる生活スタイルに変えるため、日常生活も災害時にも食べやすいもののストック数を見直しました。

例えば夫婦ふたりで1週間分の食料をストックしようとすると

・1日分の食料 3食×2人=6食
・1週間の食料 6食×7日=42食

ですが、ひとまずそのうちの約半分の20食ほどは常にストックしておこうと考えたのです。
袋麺やパスタソース、缶詰など、日々料理に使えるものをストックしています。
また、外出自粛の時期は家にいる時間が伸びたことで飲酒量が増えてしまっていたため、お酒を炭酸水に置き換えるために炭酸水をケース買いするようになりました。

上記のような生活スタイルの変化により、それまではA4サイズくらいのプラスチックケース1つで食品ストックとお茶などを保管できていたのですが、食品ストックが圧倒的に増えたことで、食材をどれだけ見直しても、ケース1つに収まらなくなり、慢性的に食材が収納からはみ出て床に置いてある状態になってしまいました。
食品が床に雑多に置いてあると、何がいくつあるのかわからないので、すでに持っているものを重複して買ってしまうなど、無駄買いの原因になってしまいます。
無駄な買い物をしないコツは、在庫把握をしやすくしておくことですがそれができていませんでした。

さらに、この状態は掃除のしにくさにも繋がりました。床に食材がばらばらと置いてあると、ひとつひとつ持ち上げて別の場所に避難させてから掃除機をかけて、また床に戻すというアクションが必要です。あまりに億劫なので掃除のやる気が削がれてしまいました。
このように生活スタイルの変化によって家事の負担が増えて自由時間が減ったうえ、無駄買いまで発生してしまっていたのです。食材を管理しながら掃除のしやすさも確保するために、ストック用の無印良品のキャスター付きストッカーを購入しました。

https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4547315962228

ストッカーを購入したことで、袋麺、缶詰、スープ、炭酸水、お茶、レトルト食品をそれぞれ分類して収納でき、一目見て在庫がわかるようになったので、在庫管理がスムーズに行えるようになりました。
家の中の物量としてみると、ストッカーという物は増えていますが、その分家事のしやすさと在庫管理のしやすさを手に入れて、自由な時間を増やすことができました。
わたしが物を増やす基準は「家事がしやすくなることで、一日の中の自由時間を増やしてくれること。その上で極端に場所をとりすぎないこと」です。
無印のストッカーは、上記の条件を全て満たすので購入しました。

反対に、どれだけ家事が楽になっても、過剰に大きすぎるサイズの家具・家電は買いません。自由時間を得られても、今度はスペースを失うからです。時間とスペースを天秤にかけながら、バランスの良い答えを探る必要があります。
このように、生活スタイルが変わって慢性的に物が散らかっている状態で、なおかつ収納の中身を見直しても減らせるものがない場合は、収納を買い足しや買い替えをした方がいいと言えます。

2020年は家にいる時間が増えて、生活スタイルがじわじわと変わっていった年でした。
Oさんもきっと何かしら生活スタイルが変わったのではないかと思います。
どんな風に変わったのかを検証してみましょう。
働き方が変わって服装や持ち物が変わったのか、家にいる時間が増えて趣味が変わったのか、それにより持ち物が変わったのか、買い物に行く頻度が変わったのか、……一つ一つ検証してみてください。
この検証をすることで、物を買い足すかどうかの“ものさし”を作っていけます。

買い足しと買い替えの判断基準

物が増えた時に、収納に関してとる選択肢としては、基本的に以下の三つがあります。

1.買わない

2.買い替え

3.買い足し

上記の通り、買うには二種類あります。

まず一つ目は、現状の物に加えて新たに物を増やす「買い足し」です。
そして二つ目は、手持ちの物を手放して、新たに買った物と入れ替える「買い替え」です。それぞれどちらを選べばいいのかという判断基準についてお話したいと思います。

1.買わない

物が増えた時に見直す流れとして、まず収納の中身を一度全て出して不要なものがないか整理をしてみましょう。
しばらく見直しをしていなかった場合は、手放していいかどうか判断に迷って先延ばしにしていた”保留の物”が意外と出てくるかと思います。それを手放して空間を空けられたら、収納を買い足さなくても、部屋の表に溢れている物を収めきれると思います。
その場合は「買わない」を選びましょう。収納を買う出費もかかりません。
生活スタイルがそこまで大きく変わっていないけれど物量が増えている場合は、これで解決できる可能性が高いです。

もしも上記の整理をしてみても、明らかに物が収まりきらない場合は、収納を「買う」という選択肢が出てきます。生活スタイル自体が変わってきている場合はこれに該当します。
買い替えた方がいいか、買い足した方がいいかはそれぞれの事情によって異なります。

2.買い替え

例えば今コンパクトなテレビボードを使っていて、どう考えてもサイズが足りないので大きなテレビボードにしたいとします。
テレビボードが二台もあってもしょうがないので、その場合は買い替えが必要です。
テレビボードなど特定の用途のために作られた家具は特に、他の用途で使おうとするとフィットせず、ストレスを感じながら使うことになることが多いと思います。
そういった場合は、無理にどこかで使おうとせず、思い切って手放して入れ替えてしまいましょう。

フリマアプリやリサイクルショップで売れる場合もありますし、必要な人が周囲にいれば譲ることも可能かもしれません。粗大ゴミに出す以外にも手放し方の選択肢はあります。もし捨てることになったとしても、使わないものを死蔵しておくより手放してしまった方が、掃除の手間もかからず空間と時間を手に入れられます。

また、今使っているもので満足しておらず、新しい機能が欲しい場合も買い替えた方がいいでしょう。
例えば今使っている収納に脚がないために掃除がしにくいことにストレスを感じているなら、キャスター付きや脚付きを選んで買い替えます。買い足しても、今持っているものの不便さは取り除かれないからです。

3.買い足し

今使っている収納については満足しており、持ち物を見直してみても収納力が足りず、買い足しをすることで問題が解決する場合には買い足しを選びましょう。
また収納以外でも、生活スタイルが変わったことにより、必要な物が増える場合もあると思います。

例えば、リモートワークになって家で仕事をするために、長時間作業に向いたディスプレイを買い足す必要があったり、床座で過ごしていたものの腰の調子が思わしくなく、イージーチェアを買い足す必要があるなど、生活スタイルが変わった場合は買い足しが必要な場合が多くなります。

ただ、この場合には、必ず今持っているものの精査をしてから買い足すようにしていただければと思います。
今持っているものの中で、不要なものがないか、手放すか迷っている保留アイテムがないかを見直してみてください。何かを新たに買ったら、何かを手放すという意識をもっておいた方が良いです。
そして、収納に関して言えば、収納できる空間があると人はそこに収まる分だけ中身を増やしてしまいがちです。これに関しては自然の摂理だと思った方がいいです。空いた空間があると、そこには物が集まってきてしまいます。部屋の面積には限りがあるので、安易に収納の買い足しを繰り返すと、すぐに物でいっぱいになってしまいます。増やすのは簡単でも、減らすのは大変です。

まとめると、収納を購入する場合は
「買わない」では足りず、「買い足し」では用途に適さない場合は「買い替え」を選びましょう。
「買わない」では足りず、持ち物を見直しても「買い替え」では収まらず、買い足さないとうまく回らない場合は「買い足し」を選びましょう。

人は買い替えではなく買い足しにしたくなりがち

人はついつい”買い替え”ではなく”買い足し”にしたくなりがちだと思います。
買い替えの場合は、これまで使っていたものを手放す必要があります。しかし、今日まで使えていたということは壊れてもいないしまだまだ使える状態ですよね。捨てるには忍びないし、大型の物をフリマアプリに出品したことがないので勝手がわからない……なら、これを別の場所でこのまま使ったらどうだろう?収納するものはいくらでもあるだろうし……という思考回路で、買い替えのはずだったのに買い足しになってしまうことってよくあることだと思います。

しかし、そうなると部屋はどんどん物に占有されて、自由に使えるスペースが狭くなっていってしまいます。ただ、それが分かっていても処分するのというのは腰が重い作業なので、結果的に買い足しになってしまうことは大いにあります。壊れたわけではないまだ使えるものを手放すのはかなり勇気がいることです。
次は、買い足しになりかけていたけれど、第三者の目線のおかげで買い替えにできた話を、実例に基づいてお話しします。

昨年末からプリンターの収納をどうするか考えて続けていました。プリンターの上に夫のPCやヘッドフォンなどを置いていて、いざプリンターを使う時には上に置いたものをどかす必要がありました。電子機器自体が他の電子機器置き場になっているのは良くないので、収納方法を再検討する必要があるなと感じていました。

加えて、テレビ周りのAVデッキ類が増えました。それまで録画というものをせずに生きてきたのですが、推しの俳優さんができたことで頻繁に録画をするようになったのです。新たにブルーレイレコーダーを買ったことで、AVデッキ類を置いている棚の大きさではレコーダーの上にレコーダーを重ねてその上に小型テレビを置くという、不安定極まりない置き方をせざるを得なかったです。

テレビとデッキを置く収納を新たに買って(新収納)、今テレビを置いている台(旧収納)をプリンター用の収納にすれば、いま持っているものをそのまま活用できて良いのではないかと思いました。そのことを友人に相談してみたところ、「押入れの整理をしてプリンターを押入れにしまって、今ある収納(旧収納)は手放した方がいいんじゃない?」と言われました。

・今ある収納(旧収納)は家具のテイストが他の物と少し違う
・おそらく押入れを整理すれば空間が空けられる
・プリンターの使用頻度がそれほど高くないなら部屋の表におくよりしまっておいた方がいい

といったアドバイスをもらい目から鱗でした。

自分の部屋について考える時って、ついつい視野が狭くなってしまうんですよね。
目の前の部屋のことだけ考えてしまいがちです。わたしの場合は、テレビとプリンターが置いてある”リビングの問題”として捉えていましたが、”家全体の問題”として捉えれば、別の部屋の物を整理することで解決する可能性があるのです。
家全体で物量の足し算・引き算をしてみるべきなんですよね。

実際に押入れの物を全て出して整理してみたらゴミ袋1袋分のものを減らせて、無事にプリンターを押入れにしまうことができ、プリンター用収納は必要なくなりました。そのためこれまで使っていた収納も手放す決断ができました。

Oさんのご自宅の中で、一番収納力のある場所はどこでしょうか。
押入れかクローゼットのどちらかがあるのではないでしょうか。
そこを見直してみることで、収納空間をつくることができる可能性があります。

また、自分一人ではついつい買い足しに意識が向かいがちなので、部屋の写真を撮って家族・友人・知人に見てもらって、第三者視点を獲得するのは効果的なので、買い足ししたくなったら一度試してみてください。
少しでもOさんの家事を楽にするお役に立てる部分があれば幸いです。

おふみの相談室では収納やインテリアに関するお悩みも随時受け付けております。お気軽に下記URLよりご応募ください。

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