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物を捨てられない母にどう対処したらいい?【ミニマリストおふみの相談室】

2019.01.18


一人暮らしではなく家族など自分以外の人と暮らしていると、ときには喧嘩や言い合いになってしまうことがありますよね。それが自分の快適さや暮らしに関わる物事だと双方ともになかなか譲れないところがあります。今回のミニマリストおふみさんによる「おふみの相談室」は、なかなか物が捨てられないお母様にお悩みのSさんからのお便りです。

==ご質問==

初めまして
女子高校生のSと申します。物が捨てられない母への対処法を教えていただきたくメールさせていただきました。
私の母は物が捨てられず、母の部屋はもちろんリビングにも物が溢れています。母の部屋は足の踏み場がなく物(ゴミのような物)に囲まれながら母は毎晩ベッドで寝ています。そのくらい物が捨てられない人なので、リビングや、特に和室は物でいっぱいです。
今まで何度も母に物を捨ててくれとお願いしたのですが、片付けの話をすると母はすぐイライラしてしまい話になりません。父はきれい好きなので片付けろと母に言いますが母は片付けないので、とうとう単身赴任と言う名の別居をしています。

■和室に置かれている物
新聞紙数年分、書類や郵便物たくさん、読んでいない本(ガーデニングなど)、使っていない調理器具、捨てると言ったはずの小物など

■リビングの備え付け収納
パンパンに詰め込まれた書類、DVD(これはきちんと整理してある)、ごちゃごちゃした小物など

おそらく和室の物は一応捨てると考えた物だと思うのですが、捨てられていません。私、姉、父はすっきりしてゴミのような物が溢れていないきれいな部屋に住みたいのです。私は和室を共有で使える空間にしたいと思っています。夏の暑い時などには畳で落ち着いて休めるような、そんな空間にしたいです。「倉庫にする」というのはできればしたくありません。しかし、もし本当にそれしかリビング等をきれいにする方法がないのなら仕方がないかなと考えております。どうしたら共通の部屋を片付けてもらえるでしょうか。ずっと悩み続けているのです。おふみさん、どうかよろしくお願いします。 

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はじめまして。
ご相談のメールをいただきありがとうございます。
高校生ということでまだ実家から出ることも難しいかと思います。
自分の住む空間をなんとかしたいと思いながら100%思い通りにならないというのは、とてももどかしいですよね。
進学や就職にともなって一人暮らしを始めれば、片付けの悩みは解決しますが、それはまだおそらく先の話。今回はその日まで乗り切るための対策をお伝えできればと思います。

人と暮らしていると悩みは尽きない物です。特に、衛生観念や散らかり具合への耐性が異なる人との共同生活は、どうしても我慢することが出てきてしまって大変ですよね。
「もし自分が自由にこの部屋を片付けて改造していいなら、あそこをこうしたい。ここをこうしたい。こんな風にすれば散らかりにくくなるのでは?こんな仕組みを導入してみてはどうか?」
そうやって考えを巡らせたことは、無駄にはなりません。共同生活の大変さや、片付けてほしいのにそうしてもらえないという悩みに向き合ったことは、将来、お仕事や人間関係や人との共同生活において、Sさんにとっての糧になると思います。

まずは問題を切り分けて整理してみよう

今存在する問題は何点かあります。
それらを切り分けて考えてみましょう。
>>私の母は物が捨てられず、母の部屋はもちろんリビングにも物が溢れています。
>>母の部屋は足の踏み場がなく物(ゴミのような物)に囲まれながら母は毎晩ベッドで寝ています。そのくらい物が捨てられない人なので、リビングや、特に和室は物でいっぱいです。
>>今まで何度も母に物を捨ててくれとお願いしたのですが、片付けの話をすると母はすぐイライラしてしまい話になりません。父はきれい好きなので片付けろと母に言いますが母は片付けしないので、とうとう単身赴任と言う名の別居をしています。

ここまでの内容を細分化すると、
1.共有部分であるリビングに物が溢れている
2.和室に物が溢れている
3.お母さまのお部屋に物が溢れている
4.片付けの話をするとお母様がイライラしてしまい話ができない
5.お父様の別居

これだけの悩みに分けられます。

この中で、Sさんの力で関与できる問題とそうでない問題を分けましょう。
はじめにお伝えしておきたいのですが、誰かを変えることは難しいです。できないと考えておいた方がいいと思います。できることは、自分を変えることだけです。
一つの方法として、自分の空間と、共有の空間をきれいに保つことで、相手に何かしらの影響を与えることは可能だとは思います。人が片付けしているのを見ると自分も片付けたくなったり、きれいな空間に感化されて自分もきれいに保ちたくなったりするものだからです。しかし、確実な方法ではありませんので「影響を与えられればラッキー」くらいの感覚で捉えておいた方がいいと思います。相手を根本から変えようとは考えてはいけません。
Sさんが直接関与できるのは部屋の共有部分までで、上記の問題で言えば、1、2、4がそれにあたります。

共有部分のルールを決めてみよう

「お母様がご自身の部屋を片付けられない」という問題には、Sさんは関与できないと考えた方がいいです。人の部屋は一切見ないこと。個人の責任として自分で管理してもらうこと。これを徹底した方がいいです。
人の物を勝手に捨てることは、最悪の場合、絶縁にまで発展する危険な行為です。できるのは、「共有部分に物を置かないでほしい」「家族みんなが使いやすい共有部分にしよう」と提案し協力してもらうこと。
これは家族構成員の1人として主張できることです。

ここで、まずは日常的に全員が使っている共有部分のリビングを見ていきましょう。
>>■リビングの備え付け収納
>>パンパンに詰め込まれた書類、DVD(これはきちんと整理してある)、ごちゃごちゃした小物など



リビングのお写真を見せていただく限り、椅子の上にあるお母様の書類などの荷物以外は、片付いているように見受けられます。収納の中も使いやすく整理されているようですし、机の上の書類も整理して所定の位置にしまえばきれいになるかと思います。


唯一気になる、椅子の上のお母様の書類について。これは椅子が椅子としての役割を果たさず、物置として使われてしまっています。
椅子の上にはチラシや情報誌が積んであるように見受けられます。今後も必要な物とそうでない物に分けて、不要な物は捨てましょう。必要な物は、物の住所を決めてそこにしまいます。

そして、共有部分を常にきれいに保つ方法があります。それは、物を定期的にリセットすること。
共有部分が散らかるのは、家族共有の物と、個人の物が散らかっている場合の2パターンあります。共有の物は気になった人がこまめに片付けるとして、個人の物は共有部分に長期滞在させない仕組みを作る必要があります。
そこで、「リビングには個人の物は一晩を超えて放置しない」というルールを設けるのはいかがでしょうか。


個人の持ち物は、共有スペースで活動するときだけは持ち込んでもいいけれど、一時的にしか置けないというルールを決めて、全員が守るよう徹底します。
寝る前には自室に戻るので、持ち物も持って戻ることにします。持ち物は持ち主と一緒に寝床へ帰るのです。
そうすればリビングには個人の持ち物は放置されません。夜寝る時に必ず物がリセットされます。「明日も使うから」と言って放置しないこと。特例をつくらず、毎晩持ち帰ります。そうすることで、寝る前にリセットする習慣が身につきます。
共有スペースのリビングがきれいになれば、ずいぶん心穏やかに暮らせるはずです。

和室の使い方

>>■和室に置かれている物たち
>>新聞紙数年分、書類や郵便物たくさん、読んでいない本(ガーデニングなど)、使っていない調理器具、捨てると言ったはずの小物など
>>おそらく和室の物は一応捨てると考えた物だと思うのですが、捨てられていません。

この和室は、2パターンの使い方があると思います。

1つは、ここをいっそのこと共有の倉庫的に使うという方法。
もう1つは、この部屋にある物をそれぞれ個人の部屋に分配して、一部屋共有スペースとして蘇らせることです。

和室を倉庫的に使う提案

1つ目の、いっそのこと和室を倉庫的に使うという方法について。
この方法のメリットは、家族関係にヒビが入りにくいことです。
ところで質問なのですが、ここにある物のうち、家族共有の物はどれくらいあるでしょうか。ひとつひとつ確認してみたら、案外結構な割合で、共有の物なのではないでしょうか。
その場合はSさんお一人の判断で捨てることを決められません。
共有の物は、家族の総意で手放すか否かを判断し、どこに収納するかを決めなければなりません。
新聞紙なども、いつか誰かが必要になるかもしれないと思って取っておいてあるのだと思います。天ぷらの油を吸ったり、窓拭き掃除で使ったり、学校から急遽新聞紙を持ってきてと言われた時に持っていけるように…などの理由で取っておいてあるのではないでしょうか。

共有の物を捨てるのは骨の折れる作業です。いつか誰かが何かの場面で使うかもしれない、という物を全員の意見を一致させて捨てるというのは一苦労ですよね。ましてや勝手に捨てると、後で「あれはどこ?いつか使おうと思って取っておいたのに」と不満をぶつけられることになりかねません。そういったトラブルを回避しながら、リビングの使い勝手をよくすることに注力するなら、和室を倉庫的に使うという選択肢も大いにありだと思います。
お写真を拝見すると、物を床置きしているので物が溢れていますが、もう一回り大きなダンボールを用意して、物を持ち主別に入れて重ねることで、空間を有効に使うことができます。空間を立体的に捉えて、高さ方向も活用しながら収納すれば、置ける物は増えます。そこに、リビングにある「捨てるかどうかの判断が難しい物」を収納するのもありだと思います。和室を「共有のゆったり過ごせる空間」として使うことは叶いませんが、その代わりリビングの快適性を上げることができます。

もし倉庫的に使うとしても、空間は有限なので、なんでもかんでも放り込んでおくことはできません。さすがにこれは必要ないだろうと思う物は手放しましょう。例えば新聞紙。これは少しだけ残して古紙回収に出しましょう。もしお母様が、何かの折に新聞紙を使うかもしれないからと考えているのであれば、まとめてある新聞紙の一束だけ残し、あとは手放す形で了承を得て、捨てましょう。天ぷらをするにも窓拭き掃除をするにも、何にせよ1束あれば十分なはずです。朝刊と夕刊を1週間分だけ残す、2週間分だけ残す、というように安心できる分だけ残す形でルールを定めてみませんか?
ダンボールの空き箱や紙袋なども同様です。全ての物に定数を決めてみましょう。ダンボールはサイズ別に1枚ずつ、紙袋は5枚など、安心できる最小限の数を定数として決めて、それを超えたら捨てるようにしましょう。それで納得してもらえたなら、次の古紙回収日に家族みんなで分担して集積所に持って行きましょう。

また、お母様はもしかしたら「捨てるという行為」が億劫で、なかなか行動に移せないだけかもしれません。「要る・要らない」の判断ならできるかもしれません。なので、Sさんのできる範囲でお母様の断捨離をサポートしてあげることはできませんか?
書類や郵便物も、お母様に一枚一枚問いかけながら「要る・要らない」を仕分けてもらって、それをお母様とSさんが一緒に捨てるところまで行うのです。読んでいない本(ガーデニングなど)、使っていない調理器具、捨てると言ったはずの小物なども同様です。その際に注意したいのは、勝手に捨てないこと。全ての物について、要不要の判断は、それを使う本人がすること。あとで「あれはどこ?勝手に捨てたんじゃない?」と責められたとしても「全部一緒に捨てるかどうか考えて、自分で要るか要らないか決めたでしょ」と言えます。

和室を共有部分として使えるようにする場合

しかし、Sさんはこのように書いてくださっていますね。

>>「倉庫にする」というのはできればしたくありません。しかし、もし本当にそれしかリビング等をきれいにする方法がないのなら仕方がないかなと考えております。
>>私は和室を共有で使える空間にしたいと思っています。夏の暑い時などには畳で落ち着いて休めるような、そんな空間にしたいです。

先にも紹介しましたが、共有の物を捨てるのは骨の折れる作業です。人間関係にヒビが入る可能性があります。そのことを念頭に置いて、慎重に行ってください。

Sさんが書かれていた「夏の暑い時などには畳で落ち着いて休めるような、そんな空間にしたい」という夢。聞くだけで想像が膨らみ、「それ、いいな」と思わせる素敵な言葉ですよね。
この「それ、いいな」を、もっと具体的にイメージさせて、家族のみんなに共有してもらえるように工夫をしてみましょう。
共有部分を掃除するには、家族全員の了承を得る必要があります。休みを合わせてみんなで片付け作業をする必要があります。「休みの日になんで片付けなんかしなきゃならないんだ」と思っている人がいたら、何気ないやり取りで喧嘩が勃発する可能性があります。まずは、この片付けの先にどんな報酬が待っているのかという共通認識をもつ必要があります。
報酬、それはつまり「夏場にみんなが使えるゆったり涼める空間が手に入ること」です。お母様にも、お姉様にも、お父様にも、この和室を「夏などに落ち着いて休める空間にしたい」という希望を伝えて、理解を得ましょう。仲間になってもらいましょう。しかし、ご自身の頭の中にあるイメージを口頭で伝えて理解してもらうのは難しいものです。そこで活躍するのが、視覚イメージです。

私事になりますが、整理収納の依頼を受けた場合には、クライアントの理想のお部屋のイメージをお聞きするようにしています。「こんなテイストの、これくらいの物量の部屋で、こんな風に過ごしたい」というイメージを共有するために、理想のお部屋の画像を見せてもらいます。インターネットの画像検索やインスタグラムなどSNSの画像を見せてもらうので十分です。そうすれば、クライアントと私の間に共通認識が生まれます。
これと同じことをSさんもしてみましょう。
Sさんが理想とする和室の使い方をしている画像、あるいはイメージに近い画像を集めてきて、お母様やその他のご家族の方に見せるのです。絵が描けるのであればスケッチを描いてもいいです。

「こんな風に夏に畳でごろんと寝転んで涼めたらよくない?」
「こんな空間が家にあったらくつろげると思わない?」

画像を見せているうちに「いいね!」と共感が得られたらこちらのものです。共通の目標に向かって、協力して片付けができます。
そうすることで、4番目の「片付けの話をするとお母様がイライラしてしまい話にならない」という問題解決の糸口になるかもしれません。「片付けて!」と敵を責めるように意見を押し付けるのではなく、仲間に取り込むつもりでやってみましょう。北風と太陽のように。

人は人、自分は自分。

そして、3の「お母さまのお部屋に物が溢れている」という問題についてですが、すでに少し書きましたが、人の部屋は目に入れないことです。見えてもスルーしましょう。自分の部屋と共有部分、そこだけを見るようにします。それ以外は人の物です。
家族は自分ではありません。お母様はお母様、あなたはあなたです。
とにかく、人と人は一緒に暮らしていても血が繋がっていても、違う人間なのです。分けて考えましょう。
もし、お母様の持ち物の置き場がなくなってSさんのお部屋や共有部分にまで置かせて欲しいと言われたら、断固拒否して権利を主張しましょう。けれど、お母様がお母様の部屋でどんな風に物を置いて散らかしていても、それは人の勝手なのです。
ちなみに、お母様のお部屋は、ゴミを放置して虫が湧いたりしていますか?カビが発生したりしていますか?もしそういう状態でなく、「散らかっているけれども健康被害はない」のであれば、人は人、自分は自分と切り分けて考えて、相手に干渉しないことです。
もし健康被害が出るレベルなら話は別です。早急に業者に入ってもらうことをおすすめします。家族が捨てると人間関係に一生涯にわたるヒビが入る可能性があるため、こういった場合は業者に入ってもらうのが無難です。理想としては整理収納アドバイザー等のプロに依頼して、お母様も同席して持ち物の要不要を一緒に判断することです。
お金はかかりますが、健康被害が出るレベルだとしたら緊急事態なので、きれい好きのお父様ならわかってくれるのではないでしょうか。一度相談してみてください。

片付けと家族関係は分けて考える

そして5番目の問題、お父様の別居について。
片付け以外にも積もるものがあるのかもしれません。それは本人にしかわかりません。散らかっていることが別居の一因だったとしても、それを解決したからといって別居が解消されるとは限りません。
仮にですが、例えば片付けないことそのものよりも、「片付けて」と言っても会話にならなかったその「頑固さ」が原因だったなら、もしお母様が片付けるようになったとしても別居解消に至るかはわかりません。
Sさんとは血の繋がったご両親ですが、ご両親同士は他人です。自由意志で婚姻関係を結んでいます。根本的には人は人、自分は自分です。自分の力で人を変えようとするのはあまりに難しいことです。
お父様とお母様が別居を選んでも、それを止めることはできません。本人たちが決めることです。お父様はお父様の人生を、お母様もご自身の、SさんもSさんの人生を歩んでいます。他の人の人生は送れません。
ひとまず、片付けと別居問題は分けて考えましょう。片付けたから帰ってくるかも、と期待をもつのは、そうならなかった時に落胆してしまいます。片付けは、片付いたということそれ自体が報酬であり喜びです。たとえお父様が家に戻ってきたとしても、そうならなかったとしても、部屋がきれいに片付いたということに変わりはありません。

少しでも取り入れていただけそうな部分がありましたでしょうか。物を捨てることは慎重に行わないと家族関係にヒビが入りかねない行為です。Sさんとお母様、ご家族の方との関係にヒビが入ることなく、理想の暮らしに近づけますようにと祈ります。

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皆様のご応募お待ちしております。

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