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マンション管理費とは?相場と抑えるコツ

2024.08.29

マンションは管理を買え―。これはマンション選びの際によく耳にする言葉です。では、ここでいう「管理」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。今回のいい住まいでは、外部に「委託管理」する場合のマンション管理費について考えます。マンション管理業務と管理員の役割を理解し、管理費の相場やマンションによる管理費の違い、費用を安く抑えるコツなどをみていきます。

マンション管理費と業務内容


「マンション管理費」は、分譲マンションの共用部分の日常的な維持・管理をはじめ、管理組合で加入する保険料、備品や通信にかかる費用、公租公課、管理組合運営に充てられます。
管理方式は大きく分けて「自主管理」と「委託管理」があり、ここでは管理を外部に委託する場合の委託管理費に焦点を当てます。
 
まず、マンション管理についておさらいをしましょう。
 
国土交通省作成の「マンション標準管理委託契約書」によると、管理業務は次の四つに定められています。

これらの業務に加え「宅地建物取引業者等の求めに応じて開示する事項」を含むのがマンション管理です。冒頭で述べた「マンションは管理を買え」とは、この管理業務が適切になされているかしっかり確認した上で購入を決めると良い、ということです。
 
● 管理費については、こちらの記事「マンション管理費の相場はどのくらい?具体的な使い道や修繕積立金との違いも解説」もご覧ください。

マンション管理費と業務内容

では、管理業務を外部の管理会社に委託する場合、管理費はどのくらいが相場なのでしょうか。
国土交通省が全国のマンションを対象に行った調査によると、1戸当たり1カ月の管理費(※)は平均11,503円、1平方メートル当たり平均158.6円でした(国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」より)。
平均額は地域によって異なります。都市圏別で見ると、東京圏が12,412円(1平方メートル平均194.9円)、名古屋圏が12,984円(同157.2円)、京阪神圏では10,658円(同153.6円)となっています。
※使用料・専用使用料からの充当額を除く

国土交通省「令和5年度マンション総合調査」より抜粋
国土交通省「令和5年度マンション総合調査」より抜粋

マンションによる管理費の違い

マンション管理費には、マンションの総戸数規模が大きくなるほど割安になる〝スケールメリット〟がはたらきます。一方で、例えば500戸を超えるような大規模マンションになると、管理費は一転して平均額の1.5倍に上がることがあります。これは大規模マンションにはフィットネスジムやキッズルーム、温泉施設、プール、シアタールームといった共用施設が充実していることが多く、維持管理に費用がかかるためです。高層マンションもゴンドラによる清掃・点検作業や修繕、ヘリコプターのホバリング・スペースの維持などにより、管理費用は高くなる傾向です。
さらに、管理員の勤務形態―住み込みで常駐しているのか、日勤管理か、複数のマンションを巡回管理しているのか―の違いでも管理費に差が現れます。


マンションの管理員とは


次に、管理員の業務についてご説明します。
マンション管理業務のうち、日常管理の大半を担うのが管理員です。管理員は「管理人さん」と呼ばれることが多く、マンションの居住者はもちろん近隣地域の住民とも日常的に接するため、マンションの〝顔〟として見られる立場にあります。
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagをみると、管理員の業務は

マンション管理会社の社員として、管理会社が分譲マンションの管理組合と結んだ管理委託契約書に基づいて、居住者応対やその他日常管理業務を行う


と定義されています。管理員業務の典型例は、

①受付等業務―訪問者や居住者の応接・電話の応対、管理組合が定める各種届出の受理、宅配物の預かり・引渡し、管理用備品・鍵の管理など
②点検業務―建物・諸設備の外観目視点検・記録、照明・管球類等の点検・交換、不審者や不審物・無断駐車等の確認など
③立会業務―保守・営繕等外注業務の着手・実施の立会い、ゴミ搬出や清掃業務の立会い、災害・事故等処理の立会いなど
④報告連絡業務―管理組合の文書の配付・掲示、各種届出・点検結果・立会結果等の報告、災害・事故等発生時の連絡・報告、居住者間のトラブルやクレーム発生時の報告など

の四つに整理されます。

マンション管理費を抑えるコツ


マンション管理費は安心・安全な暮らしを維持するための必要経費です。「安ければ良い」というものではありませんが、抑えられるところは抑えたいのではないでしょうか。
管理費を抑制するコツは人件費の削減です。まず、

▽管理員の勤務形態を見直す、勤務日数を減らす
▽巡回警備の代わりに機械警備(監視カメラ)を導入する
▽清掃回数を減らす

―などが可能か、マンションの現状や委託業務内容をチェックしてみましょう。外構の植栽スペースを砂利敷きに替えることも、剪定などにかかる人件費の削減につながります。

さらに思い切って管理費を抑えるには、区分所有者(管理組合)が自ら管理業務を行う「自主管理」に切り替えるという選択肢があります。すべての業務を一気に自主管理へ変えるのはハードルが高くても、清掃や植栽管理など一部の業務を切り替えることはできるかもしれません。自主管理で年間管理費をどのくらい縮小できるか、具体的に試算してみてはいかがでしょう。ある小規模マンションでは、清掃業務を区分所有者の当番制に切り替えました。すると、マンション管理への意識が高まり、住民同士の交流機会が増えるなどの思わぬメリットがあったようです。

管理に関する変更は、一部であっても総会決議が必要です。組合員全員の合意のもとで実行を検討しましょう。また、自主管理の場合は理事会が健全に機能していることと、理事のなり手を確保できる見通しがあることが必須条件です。

まとめ

管理がしっかりしているマンションでは、お住まいのマンションの管理費が平均額より極端に安い、もしくは高いと疑問を感じる場合は、委託業務の内容をチェックしてみることをお勧めすすめします。全ての業務を管理会社に委託していても、管理主体はマンションの区分所有者で構成する管理組合なのです。

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