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物価&ボーナスは増加も約9割が「小遣いの値上げなし」!|お小遣いアップのポイントについてFPが解説

2023.12.15

近年、物価上昇の影響で家計が苦しい状況の人も増えています。物価上昇やボーナスは増加している一方で、約9割の人はお小遣いが増加しておらず、そのうちの約半数が「余裕がなくなった」と感じているのだそう。

今回は、ソニー損害保険株式会社が12月のボーナスシーズンに合わせ、ソニー損害保険株式会社が全国の20代~50代で持ち家の家庭かつお小遣い制(※1)の800名を対象に実施した、お小遣いの変化や実態調査。そしてお小遣いアップのポイントについて、ファイナンシャルプランナー(以下FPと称する)の馬場愛梨さんの解説をご紹介します。
※1:同調査でのお小遣い制とは、家計のなかで毎月自由に使える金額が決まっていることを指します。

2023年冬のボーナス動向はコロナ以降増加傾向に

一般財団法人 労務行政研究所による東証プライム上場企業の2023年 年末⼀時⾦(賞与・ボーナス)の妥結⽔準調査(※2)によると、全産業187社の平均金額は「80万28円」、2022年と比較して1.5%増加しているのだそう。

ここ数年の推移をみると、2020年は「74万3,968円」2021年は「71万5,553円」とコロナ禍の影響を受け減少傾向に。しかし、2022年には「78万6,945円」今年は「80万28円」と2年連続の増加となり、1970年に調査を開始して以来、最高額の80万円台となっています。増加の背景には、コロナ禍によるマイナスの影響が薄らいだことや、近年の物価高による企業の対応が考えられます。

※2:一般財団法人 労務行政研究所「東証プライム上場企業の2023年 年末⼀時⾦(賞与・ボーナス)の妥結⽔準調査」

約9割はお小遣いが増えていない

ボーナスの増加に伴い、お小遣いが増加した人も多いのではないかと思われますが、調査によると値上げラッシュが始まる前の2020年と比較して、約9割の人はお小遣いが増えていません。増えていない人のうち、「変わらない」は73.4%、「減った」は16.1%という結果になり、「増えた」と回答した人は約1割にとどまりました。

お小遣いの平均額は27,717円で、男性は35,139円、女性は20,220円と男性の方が高い傾向にあります。年代別でみると、20代が27,083円、30代が31,547円、40代が23,500円、50代が28,753円となり、30代が最も高い結果に。

また、お小遣いが「変わらない」「減った」と回答した人のうち、2人に1人が「余裕がなくなった」と感じており、物価高などが影響していると伺えます。

さらに、お小遣いが「減った」と回答した人の平均減少額は14,543円という結果に。減った要因として、約半数が「コロナや物価高などによって、家計支出が増えたから」と回答していることからも、近年の各種値上げが家計に大きな影響を及ぼしていそうです。その他、お小遣いが減った要因として、「本業の収入の減少」や「ライフステージの変化による支出増加」が上位にランクインしています。

お小遣いを増やすために取り組んでいることの上位は「ポイ活」「食料品の節約」

お小遣いを増やすために取り組んでいることとしては、6割以上の人が「ポイ活」と回答しています。次いで、「食料品の節約」「外食を控えて内食(自炊)を増やす」「日用品の節約」となり、日々の支出を抑えて節約をしている人が多い傾向にあるようです。

一方で「サブスクリプションや定期購入各種保険の見直し」など固定費の節約に取り組んでいる人は少なく、パート・アルバイト、副業など収入を増やすことを目的とした取り組みを行っている人も同様に少ない傾向にあることが分かりました。

14位の「火災保険の見直し」について、「加入している火災保険の補償内容が適切かどうか定期的に見直しているか」という問いに対しては、「見直しをしていない」と回答した人が約8割(77.4%)いることが明らかになりました。

さらに、2024年度を目処に火災保険が値上げすることを知らない人は約8割(78.6%)なのだそう。保険の見直しは、生活の満足度を変えないまま固定費の節約ができる可能性もありますので、小遣いアップのため各種保険の見直しをしてみるのも良いかもしれません。

お小遣いアップのポイントをFPが解説!

お小遣いを増やしたい人は「固定費」の見直しがおすすめです。固定費とは、毎月一定額を継続して支払っていくタイプの支出で、家賃、通信費(スマホ代やインターネット代)、保険料、サブスクリプションの利用料金などが該当します。

【固定費を見直すメリット】

・うまくいけば、生活水準を落とすことなく万単位の支出を減らすことも可能
・一度見直しておけば、節約効果が長く続く
・「生活水準はそのまま×自動的に節約継続」だから、節約しても我慢やストレスが少ない
・毎月の決まった支払額が安くなれば、浮いた分をお小遣いに回せるかも」など

固定費を見直す際は自分の利用状況と契約内容が合っているのか確認し、もっといい料金プランがないのか調べて、他社との比較なども交えながら検討するのが理想的です。たとえば、固定費の一つである「火災保険の見直し」も有効な手段の一つ。

前出のランキングによれば「火災保険の見直し」に取り組んでいる人は特に少ないようです。しかし火災保険は「住宅を契約したときに、おすすめされた保険をなんとなく一緒に契約しただけ」「長期契約だから何年もずっとそのまま」という人も多く、見直しの余地があります。

なお近年、火災保険は自然災害が増加している影響で値上げ傾向にあります。直近では資材コス トや人件費の上昇もあり、2024年度中には1割ほど値上げされる見込みです。また、あわせて「水災料率の細分化」も予定されており、水災(河川の氾濫や集中豪雨などによる被害)のリスクが高いと判定された市区町村では保険料が高くなると予測されています。

火災保険を見直すのであれば、早めに取り組むのが吉です。どんなときにいくら受け取れるのか思 い出す意味も兼ねて、まずは今の契約内容をチェックしてみてはいかがでしょうか。

解説:馬場 愛梨
ばばえりFP事務所 代表

関西学院大学商学部を卒業後、銀行の窓口業務に従事。その後、保険代理店や不動産業界などでも経験を積み、独立。自身が過去に金銭的に苦労したことから、難しいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えするべく活動中。お金にまつわる解説記事の執筆や監修を数多く手掛けている。

【調査概要】
調査対象者:全国の20代~50代で持ち家家庭かつお小遣い制の男女800名
調査方法 :インターネット調査
調査期間 :2023年11月1日〜11月7日

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