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次世代住宅ポイント制度を活用しよう! 増税前にお得で良質な住宅投資の実現を

2019.05.20

2019年10月より、8パーセントから10パーセントへの消費税増税が実施されます。増税前の駆け込み需要が予想されますが、特に影響が大きいと考えられるのが金額の大きな自宅の建築やリフォームです。購入するだけでなく工事期間が必要な住宅の新築、リフォームなどは、増税前に工事契約をしていても、工事の完成が増税後になれば、支払う消費税率が高くなります(*)。そこで工事の増税対策として国土交通省が用意した施策が「次世代住宅ポイント制度」です。新築住宅やリフォーム工事で一定の水準をクリアした建物について、工事内容に合わせてポイントを付与することで、増税分を実質的に還元するという制度です。ここでは次世代住宅ポイント制度に該当する設備やその期間などを、詳しく解説していきます。
*消費税が8パーセントのままとなる特例(経過措置)がありますが、これは指定日(今回の増税の場合は2019年3月31日)までに契約する必要があります

次世代住宅ポイント制度とは?従来制度とは何が違う?


次世代住宅ポイント制度とは、消費税率が引き上げられた後の国民の住宅購入やリフォームなどを支援・推進するために国土交通省が実施する、ポイント形式での補助金制度です。2019年10月に予定されている消費税増税では現在の8%から10%へ2%の増税となりますが、数百万円から数千万円の価格になる住宅の購入やリフォームでは、2%の消費税引き上げだけでも消費者にとってはかなりの額の負担増となってしまうため、増税によって住宅購入やリフォームを控える人が増えてしまうことが懸念されます。

そこで、良質な住宅形成に資する投資の喚起を通じて消費者の需要を喚起し、増税後の需要変動の平準化を図ることを目的として、住宅購入やリフォームを様々な商品と交換できるポイントを発行することで支援する次世代住宅ポイント制度が施行されました。この制度では住宅の新築ならば最大35万円分、住宅リフォームならば最大30万円から60万円分の色々な商品と交換できるポイントを還元するという制度です。

過去に施行されたポイント補助制度には、2014年4月、消費税率が5パーセントから8パーセントに引き上げられたときの住宅購入への支援として施行された「省エネ住宅ポイント制度」がありました。この省エネ住宅ポイント制度も、消費税増税にあたって、住宅購入やリフォームなど増税の影響が大きいものが対象でしたが、この制度は特に省エネ性能に優れた住宅の建築を推進するための制度であったため、一定の省エネ性能を満たしている必要がありました。

しかし今回施行される次世代住宅ポイント制度は、適用の範囲が大きく広がっているため、家事負担軽減のための改修や、耐震性、バリアフリー性を高めるためなど、さまざまな目的でのリフォームが適用の対象になります。前回増税時の省エネ住宅ポイント制度よりも適用されやすい制度となったのですね。

対象となる住宅や工事の内容は?


 
「次世代住宅ポイント制度」の対象は、持家・借家、注文建築・分譲住宅、また契約と引渡しの時期などによってそれぞれ異なる条件があります。まず持家の場合、新たに住宅を建築する場合も現存する住宅をリフォームする場合も制度の対象になります。借家の場合は、リフォームでは制度の対象になりますが物件の新築は対象外になるので注意が必要です。

対象期間に関しては、以下のようになっています。
・持家の注文住宅とリフォーム
2019年4月1日~2020年3月31日の1年間に請負契約・着工したもの
※特例で2018年12月21日~2019年3月31日に請負契約を締結した工事で、着工が2019年10月1日~翌年3月末になる場合も含まれます。
・新築の分譲住宅
2018年12月21日~2020年3月31日に請負契約と着工を行い、売買契約を締結したもの
※2018年12月20日までに出来上がっている新築分譲住宅で、2018年12月21日~2019年12月20日までに売買契約を締結したものも対象になります。

以上の条件を踏まえて、2019年10月1日以後に物件の引渡しをしたものが次世代住宅ポイント制度の対象になります。ポイントの対象は、以下となります。
・新築またはリフォームで、エコ住宅、長持ち住宅、耐震住宅、バリアフリー住宅の性能を与える工事
・上記を満たした上で、さらに認定長期優良住宅、認定低炭素建築物、性能向上計画認定住宅、ZEHに対応するより性能の高い住宅にする工事
・耐震性のない住宅を耐震住宅に建て替える工事
・ビルトイン食洗機、お手入れが簡単なレンジフード、ビルトイン自動調理コンロ、浴室乾燥機、お手入れが簡単なトイレ、その他家事負担軽減になる設備を設置する工事

※詳しくは国土交通省のページをご確認ください。

付与されるポイントの概要と申請方法について


次世代住宅ポイント制度の計算方法については、住宅に備わっている設備、またリフォームの内容ごとにポイントが規定されています。例えば新築住宅にエコ住宅、長持ち住宅、耐震住宅、バリアフリー住宅の性能が備わっていれば300,000ポイント。リフォームでは断熱改修なら外壁で100,000ポイント、屋根や天井で32,000ポイントなど、設備や工事ごとに規定のポイントを合計していき、次世代住宅ポイント制度事務局に申請します。

ポイントの発行は2019年6月3日から、ポイントの交換期間は2019年10月1日~2020年6月30日まで予定されていますが、ポイントの発行申請には1申請あたりの合計ポイントが20,000ポイント以上必要です。発行ポイントの上限は、リフォーム工事の場合、基本的に300,000ポイントになりますが、若者・子育て世代には特例があり、既存住宅を購入してリフォームする場合には600,000ポイント。それ以外のリフォームの場合には450,000ポイントが上限になります。

また若者・子育て世帯以外でも、安心R住宅(耐震性があり、建物状況調査等が行われた住宅)を購入してリフォームする場合は上限が450,000ポイントになります。住宅を新築する場合は、上限は1戸あたり350,000ポイントになりますので上限が大きく上がりますね。この制度を利用する場合にはポイント申請の受付は、新築やリフォームを行った人が、事務局にポイント申請を行う必要があります。そうして発行されたポイントを1ポイント1円に換算して、商品交換を申請することでポイントを利用することができるのです。交換できる商品の詳細は、2019年4月時点ではまだ公開されていませんが、防災関連製品、健康関連製品、家事負担軽減に資する製品、子育て関連製品、地域振興に資する製品という分類のみ公表されています。またこの分類は今後、追加される可能性がありますので制度を利用される方は交換できるものをこまめにチェックしてみましょう。

制度を賢く活用して良質な住宅投資を実現しよう!


10月に消費税率が上がるということで、マイホームの新築や物件購入、リフォームを考えていた人にとっては、実質的な値上げとなり、頭の痛いことも多いと思います。しかし、次世代住宅ポイント制度を最大限活用することによって実質的な還元となりますし、耐震性やバリアフリー、家事負担軽減などの設備を導入することで良質な住宅形成へと繋がります。

新築による新たな住まいや、リフォームによるこれまで以上に過ごしやすい住まいで新たな生活をスタートさせると同時に、ポイント交換によって入手したものでより快適な日々を過ごしていただきたいと思います。そのためにも制度のシステムを正しく理解し、賢く活用することが必要です。マイホームといえば、この先、何十年にわたって暮らし続ける安らぎの場所。特に若者・子育て世代はライフステージの変化も大きくなります。新築でもリフォームでも、これを機にご家族のニーズや将来設計をよく考えて、将来必要となる設備を用意できると良いですよね。次世代住宅ポイント制度は、増税分を補填できてお得なだけでなく、将来設計を考える上でいいきっかけにもなるでしょう。

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