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値上げラッシュが原因で“卒業“したもの・節約対策ランキング!| 2023年の家計見直しポイントについてFPが解説

2023.04.11

2022年は、不安定な社会情勢や原油高、円安などが重なり、食材や資材などの原材料価格、光熱費、物流費、輸入コストの上昇による値上げが相次ぎました。
帝国データバンクの調査(※1)によると、主要飲食料品メーカー105社における2022年の価格改定品目数は20,822品目、平均値上げ率は14%で、特に10月には、6,699品目の飲食料品が値上げし、過去30年間でも類を見ないほどの“値上げラッシュ”となりました。

このような中、ソニー損保が全国の持ち家家庭で家計管理に携わる200名を対象に実施した調査によると、多くの人が値上げの影響を受けたことが分かりました。また、収入に変化がない中で支出が増加している家庭も多く、家計の見直しが必要であることが浮き彫りに。今後の家計見直しについては、ファイナンシャルプランナーの馬場 愛梨さんの解説をご紹介します。
※1:帝国データバンク「価格改定動向調査」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p221211.pdf

約9割が支出も増加一方で半数以上が世帯収入に変化なし

2022年に発生した値上げラッシュが家計に与えた影響についての調査によると、約9割の人が「影響があった」と回答。同様に、前年度(2021年)と比較して、家計の支出が増えたと回答した人が9割にのぼり、2022年の値上げラッシュが家計に与えた影響が大きいことが分かりました。
また、約9割の家庭で家計の支出が増加しましたが、半数以上の人が2021年と比較して「世帯収入は変わらなかった」と回答。収入が変わっていないにもかかわらず、支出が増加したことから、今後さらに家計の見直しが重要となることが明らかになりました。

約4割の人が値上げが原因で“卒業”

値上げが原因で“卒業”したもの(これまで続けていたものをやめたり変えたりした)があるか聞いたところ、4割以上が「ある」と回答。年代別でみると、30代が最も多く、6割以上の人が“卒業”したものがあることが分かりました。

“卒業”したものについて聞くと、
1位「外食(飲み会や定期的な外食などを行わなくなった等)」
2位「買い物場所(日常的に食品や生活用品を購入する店をより安い店に変更をした等)」
3位「オシャレ(ファッションやメイクに使うお金を減らした等)」
4位「通信費の契約(MVNOや格安プランへの変更を目的に携帯電話会社を変更した等)」
5位「国内旅行(定期的に行っていた国内旅行をやめた等)」「間食(スウィーツやお菓子類の購入をやめた)」
7位「お酒(日常的な飲酒をやめた等)」
8位「光熱費関連の契約(電力やガスのプランをより安いものに変更した等)」
9位「タバコ(禁煙してタバコの購入をやめた、1日に吸う本数を減らした等)」「美容室・理容室(自分で髪を切るようになった、これまでの美容室から格安カットに変更した等)」

という結果に。日常的な行動から旅行などの特別な行事など幅広い項目について、やめたり変えたりしていることがうかがえる結果となりました。

若い世代ほど家計の節約を積極的におこなっている傾向に

値上げラッシュの家計での対策についての調査では、値上げに伴い6割以上の人が家計の節約のために何かしらの対策をしたと回答しました。年代別で比較し てみると、40〜60代は6割程度であったのに対し、30代は10割の人が対策をしており、若い世代ほど積極的に節約をしていることがうかがえます。

家計の節約のために行った対策は「食料品の節約」が最も多い結果に

家計の節約のために行われた対策の中で、最も多かったのは「食料品の節約」でした。その他、「日用品の節約」や「外食を控えて内食を増やす」など、値上げになった品目に関する対策が多い傾向に。
1位の「食料品の節約」は、値上げの影響を身近に受けた品目に対して対策をした人が多かったことが考えられます。また、4位の「趣味・娯楽費の節約」や5位「通信費の見直し」など、日常的な支出の節約にも取り組んでいることが分かりました。

実際に行われている節約対策と同様に、FPがすすめる家計見直しポイントも“変動費”がランキング上位を占める結果に。過去に実施された調査「FP100人がすすめる家計見直しポイントTOP10」では、保険や通信費などの“固定費”の見直しが重要であるという結果が出ていましたが、今回の調査では、目に見えてわかりやすい“変動費”がランキング上位を占める結果になりました。

※2:ソニー損保「 FP100人がすすめる家計見直しポイントTOP10 」

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000063966.html

■ファイナンシャルプランナー馬場 愛梨さんによる解説

電気代や食料品など身近なモノの値上げが相次ぎ、家計が苦しくなったと感じる人も多いでしょう。実際、今回の調査では値上げの影響を受けて支出が増えた人が約9割、収入が変わらないもしくは減った人が約7割と多数を占めています。支出を抑えるために「より安いものを選ぶ」 「プチ贅沢をやめる」など具体的な行動を起こして対策している人も約6割にのぼりました。

変動費は、日頃から出費の機会が多く金額を意識しやすいのが特徴です。手っ取り早く節約しやすいのですが、買い物のたびに細かい我慢を重ねることがストレスになってく継続できず、 逆に反動で大きな出費につながってしまうケースもあるので要注意です。適正に家計を管理することは重要ですが、節約に必死になりすぎて苦痛を感じたり体調を崩したりしてしまったら本末転倒です。無理なくしっかり節約し、その効果をく継続させるためには、変動費だけでなく固定費の見直しにも目を向けてみましょう

固定費の見直しは、調べたり比較したり検討したり、手間と時間がかかることが多いです。しかし、一度見直しておけばその効果は大きくく続きます。変動費の支出と違って毎日細かい節約を意識し続ける必要がなく、我慢やストレスを感じにくいのもメリットです。固定費を見直したいと思ったら、まずは家計の中で固定費の一覧を作って整理してみるのもおすすめです。固定費なら、家計簿をつけていなくても通帳やクレジットカードの明細を見れば確認できます。あまり見ていていない動画配信サービス、あまり読んでいない雑誌や新聞の定期購読、よくわからず にとりあえず契約した保険などがあれば“卒業”できないか、あらためて検討する時間を取ってみる とよいでしょう。

なかでも保険は、「難しい」「面倒」などの理由で見直しを避ける人も多いですが、余分な内容を削ったりオプションを外したりすることで大きな節約につながることも。契約してから時間が経つと「本当に必要な内容」と「実際の契約内容」とのあいだでずれが生じてくることもあるので、定期的な見直しがおすすめです。
たとえば火災保険は、「35年契約」「10年契約」など⻑期間の契約を結んでいて、契約したきりになっている人も少なくありません。しかし実は、住んでいる人数や家族構成が変わると保険料が安くなることもあります。もちろん保険料は、保険会社やどこまで補償を求めるかによっても変わってきます。

固定費は月1回自動的に引き落とされているものも多く、変動費と違って普段意識しにくい面もあります。しかし家計に与える影響はとても大きいものです。この機会に一度、まとめて見直してみてはいかがでしょうか。

まとめ

現在も引き続き値上げラッシュが続いています。今後も食料品をはじめ様々な値上げが予想される今、変動費だけでなく、サブスクリプションや火災保険などの固定費を見直して、対策してみるのもいいかもしれませんね。

[調査概要:ソニー損保 火災保険に関する調査]
調査対象者:持ち家家庭で世帯における家計管理に携わっている人
サンプル数:200名
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年2月24日〜2月26日
https://www.sonysonpo.co.jp/fire/

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