【ミニマリストおふみの相談室】車1台で引っ越しできる物量にする方法は?
2022.10.28
「どうやってハイエース1台分までものを減らしていきましたか?」
というご質問をいただいたので、改めて荷物を減らしていったヒストリーをお話ししたいと思います。
かつて、78平米の2階建て一軒家で暮らしていましたが、広い収納スペースから溢れるほどものを持っていて、ほとんど汚部屋状態でした。
一念発起してものを減らし、家具家電含めてハイエース1台に収まる物量で暮らしています。
2014年の秋に汚部屋脱出を決意し、8年の歳月が過ぎました。
この片付け期間は、2つの期間に分けられると考えています。
第1期は、汚部屋から不要なものをどんどん減らしていく期間。
第2期は、ある程度減らした状態からさらに絞り、好きなものだけ残して理想の物量に近付けていく期間。
この記事をご覧のみなさんも、片付けに関するお悩みのステージがそれぞれ異なるのではと思います。
とにかくものが多くて、何から手をつけていいかわからない方。
不要なものはかなり手放したけれど、今ひとつスッキリしていないと感じている方。それぞれのステージにいる方に、片付けのヒントを届けられたらと思います。
●不要なものを手放す第1期
片付けに目覚めるまで、私には「ものを捨てる」という発想がありませんでした。
なんでもより多くのものを持っていた方が豊かだと考えていましたし、手放すのはもったいないと感じていました。
なので、誰かが「これいる?」と声をかけてくれたら、サイズの若干合わない靴、謎のキャラクターの置き物……それが今後使うかどうかわからないものでも、なんでももらっていました。
増える一方なので、広いはずの収納スペースもすぐに満杯に。気付けば床の上やキッチンカウンターの上などそこらじゅうにものが溢れて、片付けようにも何をどこにしまっていいかわからない状態になっていました。
そんな状況の中、働き方についても考え直し始めていました。
好きな時に好きな土地で好きな働き方をしたい。
ものが少なければ今より小さな家で暮らせるし家賃も下がる。
生活費をコンパクトにできれば働き方の自由度も上がる。
だから身軽になりたい!強くそう思い、片付け始めました。
汚部屋状態からものを減らしていったこの時期。
片付けを開始した際には部屋の中にずいぶんたくさんのゴミが紛れていました。
今となってみれば明らかに不要なものなのですが、片付けを開始した当時は、何がゴミなのか判断がつきませんでした。
その頃、残すか手放すかを判断するために、自分にこんな質問を投げかけていました。
「ここ1年以内に使ったか?」
「今後1年以内に使う予定があるか?」
いつか使うだろうと思って残していたものがたくさんありましたが、「そのいつかっていつ?」と改めて考えてみると、いつまでもその時はやってこなさそう。
サイズの合わない靴は1年経っても履かないし、今使っていないものはそのほとんどが将来的になくても困らないことに気がつき、手放す決断ができました。
●絶対に片付く方法
そして、もう一つ強力だった判断基準があります。
「引越しの手間をかけても残したいか?」
片付けを開始してからちょうど半年後の2015年春に、78平米の一軒家から44平米の1LDKに引っ越しを予定していました。
ハイエースを借りて自力で引っ越しする手筈になっていたので、ものが多ければ多いほど手間が増えます。段ボールに詰めて、車に運んで、移動して、車から下ろして、開梱して……とてつもない面倒さが、要不要判断の目を鋭く研ぎ澄ませてくれました。この手間をかけてまで残さなくてもいい、と思えたことで手放せたものが大量にありました。
市のゴミ処理場でその日に出したゴミの重さを量ることができるのですが、引っ越し当日に130kg分のゴミを捨てたことがわかりました。
誰しもが気軽に引っ越しできるわけではないと思いますが、引っ越しを疑似体験できると一気にものを減らせます。
例えば、バルサンを焚くのはおすすめの方法です。
戸棚の中のものをビニール袋などに入れて一旦退避させて、バルサンを焚き終わったらまた戻すのですが、これが引っ越し級に面倒です。この手間が、要不要の判断基準を引っ越し並みに鋭くしてくれます。
こうして、不要なものを見つけて手放すという片付けを繰り返すうちに、要・不要の判断力が鍛えられていきました。
●理想の物量を目指す第2期
ここまでで、家の中から「明らかに不要なもの」はほとんどなくなりました。
壊れているのに捨て方がわからずにとっておいたもの、もう着ない服、もらうだけもらって一度も使ったことのないもの、とりあえずとっておいたショップ袋……こういった、明らかに不要なものは家の中には残っていません。
なのに、今ひとつピンとこない、ということはありませんか?
これくらいの物量で満足がいっているならそれでOKなのですが、まだ理想のお部屋とギャップがあると感じている方は、この第2期に突入しているのだと思います。
ここからは多少フェーズが変わってきます。
第1期は、汚部屋状態から片付けができるくらいまで減らすために、「不要なものを取り除く」フェーズでしたが、
第2期は、ある程度減らしたところからさらに絞るので「好きなものを選んで残し」「理想と現実のギャップを認識し、埋めていく」というフェーズに入ったのです。
●不要なもの感知レーダーの精度は上がっていく
例えば我が家で言えば、クローゼットの服は数年かけてじわじわ減らしていきました。
クローゼットの表に何台もハンガーラックを置くほど服が溢れていた状態から不要なものは手放してクローゼットに収まるようにはなったけど、取り出す時に衣類が擦れ合うくらいにはパンパン……。もう少し絞って、クローゼットをスッキリさせたい、というような状況。
服の要不要判断は特に手強いので、「もう不要なものは手放したはずだし」と思わず、繰り返し繰り返し何度も片付けするのが良いものだと考えています。
定期的に全部出ししてみると、1年以内に着たしサイズも合っているけれど何かピンとこない服や、持っていることを忘れていた服が結構紛れているものです。
繰り返す片付けで、要不要の判断力が鍛えられているので、前回は見えなかった不用品が見つけられるようになっています。
また、ものを捨てることは買い物の失敗と向き合うこと。自分の「好き」と「似合う」の輪郭が把握できるようになり、使えるけれど好きでないものや、好きだけど似合わないものを発見できるようになり、物量を減らしていけました。
また、ここからは発想の転換も必要になってきます。
「実家にあったからあって当たり前だと思っていた」というようなもの(トイレマットや三角コーナー、水切りカゴetc.)は、実はなくても問題ない場合も。
ほかにも「別のもので代用できるのでは?」といったものもあります。「なくても暮らせるのではないか?」という目線で見直してみることで、用途が重複するものを手放して数を絞っていくことができました。
●理想と現実のギャップを認識し、埋めていく
片付け開始時よりは圧倒的に物量は減ったものの、まだまだスッキリとは思えない……
そう思ったら、理想の物量を把握しましょう。
リビングの物量はこれくらい、インテリアのテイストはこんな感じが好み。SNSや雑誌などでクリップしてみてください。
スッキリと一言で言っても人によって思い描く物量は様々。監獄級に少ない物量が好きなのか、適度に飾り物がある程度か、物量はほどほどに多くてもものの住所が決まっていればOKなのか、といった理想の物量を把握しましょう。
そして、現状を正確に把握しましょう。
理想が100%なら、今の達成度は何%でしょうか。
自宅の写真を撮ってみることをおすすめします。理想のお部屋の写真と見比べて、何が違いますか?そのギャップを埋めていくことで、理想のお部屋に近付いていけます。
例えば我が家の場合は、「ミニマリスト クローゼット」で画像検索して、その画像を見ながら我が家と何が違うのか?と見比べながら、徐々にものを減らして理想に近付けていきました。
この時に注意したいのが、家族と暮らしている方は、あまりガチガチに理想主義になりすぎると家族の意向と沿わず摩擦が生まれてしまう可能性があるということ。
家の中は公共的空間と個人的空間に分けられます。リビングや洗面所など家族みんなで使う空間を、完全に自分1人の思い通りにはできないもの。駅やショッピングモールのインテリアが自分好みでなくても利用するのと同じような感覚で、薄目で見ることも覚えるのが良いと感じています。何もかも理想に近付けたいなら「別居が最適解」となってしまうからです。自分の意志でコントロールできる範囲とそうでない範囲を線引きしましょう。片付けのために家族関係にヒビが入っては本末転倒です。
仮に自分の個室がなかったとしても、「リビングの一角など自分が自由にできる空間を最大限理想に近付けて、その他の空間は家事や日々の生活を回していきやすい程度に整えられたらOK」と、ラフな気持ちで気長に片付けを進めていくことをおすすめします。
こんな風にして、我が家はハイエース一台分の物量まで減らしてきました。
ミニマリストの引越し。 ハイエース1台に冷蔵庫もドラム式洗濯機も載せて。
各家庭ごとに理想の物量やものを減らす目的が違うと思いますが、参考にしてもらえるところがあれば嬉しいです。