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マンションの理事長とは|理事長はいなきゃダメ?素朴な疑問を弁護士の先生に聞いてみた

2022.09.05

輪番制や抽選で回ってくることもあるマンション管理組合の理事会役員。マンションの区分所有者となると多くの方が1度は経験する理事会役員ですが、管理規約や区分所有法など難しい事柄が多い上に、前任の方に相談しようとしても前任者もよくわからないまま運営していた、ということも。理事会の役員というだけでも大変そうなイメージがありますが、特に理事長がなかなか決まらないというマンション管理組合は多いのではないでしょうか。

「理事長っていなきゃダメ?」
「理事会って開催しなきゃダメ?」
「前理事会の役員の意見って聞かなきゃダメ?」

など、理事長の役割をはじめとした素朴な疑問を、ご自身もマンション管理組合理事の経験があるイラストレーターのなとみみわさんから管理組合問題に詳しい弁護士の香川希理先生に伺った『やっちゃダメ!やらなきゃダメ!謎が多すぎ!管理組合運営解決BOOK』からご紹介します!

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著者プロフィール

なとみみわ

Instagram @miwasowmen
ブログ『あっけらかん』 http://akkerakan.blog.jp/

取材協力

香川総合法律事務所 代表弁護士 香川希理先生

ホームページ https://kagawasougou.com/

管理組合の責任者が”理事長”

そもそもマンションにおける管理組合とは、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第3条の「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成する(一部、略および抜粋)」という規定に基づいたマンション管理団体のことをいいます。

つまり、マンションを購入した時点(区分所有者になった時点)で自動的に管理組合の組合員となるわけですが、その代表として運営を行うのが理事会、さらに代表となる理事長はいわばマンション管理組合運営の責任者です。

管理組合の理事長の主な役割

大変そうなイメージがある理事長ですが、実際はどのような役割なのでしょうか。
標準管理規約(単棟型)にはこのように書かれています。

第38条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。一 規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4 理事長は、○か月に1回以上、職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
5 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。
6 管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する。

引用:標準管理規約(単棟型)及び同コメント

管理組合の業務をすべて理事長一人で行うことは難しいため、他の理事や管理会社への委託をして業務を行いますが、総会や理事会を開催し、決定した事項について責任をもって管理・監督を行うのが理事長の役割です。理事との分担にもよりますが、責任は重く、また、業務が多いため、仕事や育児がそれぞれあるなかで理事長決めが難航するのも仕方ないのかもしれません。

管理組合の理事長って必要?

それでは、ここで『やっちゃダメ!やらなきゃダメ!謎が多すぎ!管理組合運営解決BOOK』から抜粋してご紹介します。
Q1では、役員の中でも理事長のなり手不足で困っている管理組合は多いかと思いますが、そもそも“理事長”という役職はどうしても必要なのでしょうか。というQ&Aが紹介されています。


Q1.どうしても理事長が決まらない……理事長はいなきゃダメですか?


ただの理事だってみんな渋々やっているのに、”理事長”っていったら、責任は重大そうだし、仕事もたくさんありそうだし、とにかく大変っていうイメージ。
どこの理事会も、理事長決めが一番大変だと思います。
というかそもそも理事長っていないとダメですか?




A1.原則として、理事長は決めなければなりません。



なぜならば、管理組合はあくまでも区分所有者全員で組織した団体の名前であり、管理組合自身では契約書を締結する、総会議事録を作成するなどの「行為」ができません。こういった管理組合の運営に必要な「行為」をする方(管理者)が管理組合の代表者として必要であるからです。

例外的に、管理組合法人を設立し、複数の理事が管理組合法人を代表する等の方法もありますが、責任の所在が不明確になるため、おすすめできません。

どうしても、区分所有者の中で理事長になってくれる方が見つからない場合には、「第三者管理」という選択肢もあります。第三者管理とは、管理組合役員の一部または管理組合運営を、マンション管理会社、マンション管理士、弁護士などの専門家に委ねる方式です。
理事長のなり手がおらず管理組合運営に支障をきたす場合には、検討してもいいでしょう。
(香川総合法律事務所 代表弁護士 香川希理先生)



なぜならば、管理組合はあくまでも区分所有者全員で組織した団体の名前であり、管理組合名義では契約書を締結する、総会議事録を作成するなどの「行為」ができません。こういった管理組合の運営に必要な「行為」をする方(管理者)が管理組合の代表者として必要であるからです。

その他、全10個のマンション管理組合における理事長や理事会についての質問をQ&A方式で答えてもらった『やっちゃダメ!やらなきゃダメ!謎が多すぎ!管理組合運営解決BOOK』無料プレゼント中です!

≪目次≫

  • Q1.どうしても理事長が決まらない……理事長はいなきゃダメですか?
  • Q2.管理組合倉庫に使っていない機材がゴロゴロ… これって捨てたり売ったりしちゃダメですか?

  • Q3.理事会の欠席率が高くて困った! 理事会って開催しなきゃダメですか?

  • Q4.新築時からのお金のかかる共用設備… 撤去したらダメですか?

  • Q5.前理事会役員達が色々と口を出してきます。 彼・彼女らのご意見は聞かなきゃダメですか?

  • Q6.共用廊下に私物を置いている人がいます。 理事会で撤去したらダメですか?

  • Q7.敷地内での喫煙に苦情が寄せられて困っています。 理事会で対応しなきゃダメですか?

  • Q8.理事会業務がとても大変なのに無報酬です。 こんなに大変なら報酬もらっちゃダメですか?

  • Q9.理事会主催のイベント後に イベント経費で慰安会をしたらダメですか?

  • Q10.住民に敷地の掃除をしてくれと頼まれます。 理事会役員が清掃しないとダメですか?

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