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マンション駐輪場問題をどうする?よくある事例と解決策

2022.04.18

マンション管理組合ではマンションを健・快適に保つため、さまざまなトラブルに対処・予防する必要があります。その中でも使用者が多く、居住者の家族構成の変化や、世情の変化により多くの管理組合を悩ませているのが駐輪場の問題です。十分なスペースがなく、敷地内に自転車があふれかえっている・盗難やイタズラが発生したなど、駐輪場問題に悩む管理組合の方は多いのではないでしょうか。

今回はマンション駐輪場問題のよくある3つの事例とそれぞれの解決策をご紹介します。

マンション駐輪場のよくある問題点

多くの管理組合が頭を悩ませる駐輪場の問題ですが、いったいどのようなことが問題となっているのでしょうか。
マンション駐輪場が抱える代表的な問題の例として以下のようなものが挙げられます。

駐輪場が不足している

幅広い年齢層が利用する自転車は、子どもが大きくなったり、通勤・通学で使うようになったりと各世帯のライフサイクルの変化により増えることがあります。駐輪場の広さは決まっているため、利用者が減らない限りどうしても不足していきます。駐輪場が不足すると、他の自転車に圧迫されて出し入れがしにくくなる、勝手に他の共用部分へ駐輪する居住者が増えるなど、駐輪場以外への影響も出てきてしまいます。

所有者不明の自転車がある

長期にわたり所有者不明の自転車が放置され、駐輪場を圧迫しているというケースもあります。こうしたケースでは、すでに退去した居住者が処分しないまま残していたり、マンションの居住者以外の人が無断で駐輪していることが考えられます。

自転車の盗難・マナートラブル

自転車の盗難・マナートラブルも深刻な問題といえます。居住者を含め多数の人が敷地内を出入りするマンションでは、防犯面に関わる問題が生じることも。外との出入りがしやすい場所に設置されているケースが多いため敷地内でも人の出入りを管理しにくく、防犯対策の行き届きにくいエリアともいえます。

マンション駐輪場の不足問題

マンションの敷地自体には限りがありますので駐輪場不足の対策には、むやみに増えないように台数の管理を行うことや、駐輪スペースを広げることのできる設備の検討が効果的です。

各戸の所有台数上限を設ける

「敷地内駐輪場の利用は1人1台まで」など駐輪できる台数に上限を設けることで、買い替えた後も古い自転車が捨てられずに残ってしまったり、多数所有している居住者の影響で新しい入居者が駐輪できないといった不平等を防ぐことができます。

駐輪場の区画整理

駐輪場に区切りがないと、台数制限を超えて駐輪されることで出し入れがしにくくなってしまったり、どこに誰が停めているといった管理が行えません。また、出し入れの際に隣の自転車に傷をつけてしまった、などのトラブルに発展する可能性があります。地面に白線などを引き、区画を明確にすることで、必要な駐輪スペースを確保できます。

駐輪ラックの導入・増設

また、平置きの駐輪場の場合は、二段式の駐輪ラックを導入すれば駐輪可能台数を増やすこともできます。駐車ラックにはさまざまな種類があり、それによって設置費用も変わってきます。

一方で最近よくある電動自転車など大型の自転車の場合、ラックに入らなかったり、重くて上段に駐輪しにくい、といったこともあります。この場合は大型自転車専用の平置きスペースを確保するなど、駐輪されている自転車の種類によって対策が必要です。

駐輪ラック増設の際は、
・消防上の避難経路
・屋根を増設する際は建蔽率・容積率
など設置のためにいくつかの確認しなければならない基準がありますので、設置の際は専門家への相談してみましょう。


所有者不明の放置自転車問題

所有者不明の自転車の中には、既に退去した人や外部の人が置いていった自転車の可能性もあります。駐輪場の管理を行うためには駐輪されている自転車の持ち主が明確であることが必要です。下記のような手順で駐輪場の整理を行いましょう。

駐輪許可証の発行

許可証の発行方法として、自転車に貼り付けるステッカーの配布が有効です。
市販のステッカーに番号を記入したものを利用者に配布して自転車に貼り付けてもらうことで、何番のステッカーを何号室の居住者が利用しているかを把握できます。管理用の台帳を作成する必要がありますが、個人情報保護の観点から、部屋番号などの情報は管理会社や理事会のみが把握する形にしましょう。

 ②不要自転車の撤去を知らせる案内を駐輪場内の自転車に貼る

上記の方法で居住者以外の自転車だと分かった物についても、勝手に処分はできません。
いくつかの段階を踏んでから処分を行いましょう。

 1.放置自転車撤去を知らせる

お知らせの配布や回覧板などでステッカーのない持ち主不明の自転車の撤去を行うことを知らせ、ステッカーのない自転車については撤去案内文を貼り付けます。案内文には「不要自転車の撤去を行います。〇月〇日以降、本紙の貼られている自転車については撤去を行います。本駐輪場を利用する場合、〇月〇日までに本紙を外してください」などの文言を記載しておきましょう。

 2.警察に確認してから処分を行う

放置自転車の中に盗難自転車が混ざっている可能性があるため、期限が過ぎても案内文が残っていた自転車については警察に相談をしましょう。防犯登録や盗難届と照合してもらい、持ち主を特定したり盗難自転車でないかを確認する必要があるためです。こちらで盗難自転車ではないと分かったものについて処分を行います。ステッカー配布と同時に行う場合は長期不在の居住者がいた時のために数か月時間をおいてから処分しましょう。

 
マンション駐輪場での盗難・マナートラブル

マンション駐輪場での盗難や居住者間のトラブルには設備環境の整備とともに、利用規約・ルールの整備も必要です。

 ①駐輪場の防犯対策

エントランスにオートロックがあるマンションは多いですが、駐輪場はオートロック外にあることが多く防犯対策が難しいです。公道に面している場合はもちろんのこと、塀などで囲いをしていても簡単に乗り越えられる高さでは外部からの侵入を防ぐことはできません。そのため、盗難やイタズラなどのトラブルが発生しやすいのです。

こうしたトラブル防止に役立つのが防犯カメラの設置やマンション外部と駐輪場の間にオートロックを設置するなどの設備面での対策です。防犯カメラを設置する場合は「防犯カメラで監視中」といったステッカーを貼ることで狙われにくくなる効果も期待できます。

 ②駐輪場の利用規約を作る

駐輪場での居住者間トラブルの原因として、利用規約が設けられておらず居住者間のマナー意識の差ができてしまうことが挙げられます。わずかな隙間に駐輪したことで両側の自転車が出しにくくなった、無理やり取り出そうとして隣の自転車を倒して傷をつけてしまったなどのトラブルの基に。こうした問題を防ぐためには駐輪区画を整理して利用者を明確にしたうえで、利用規約を作ることが効果的です。利用者と利用場所がわかっていれば規約でも定めやすく、万が一トラブルになった場合も対処がしやすくなります。


まとめ

多くの居住者が利用する駐輪場はトラブルが発生しやすい場所といえます。一言で駐輪場トラブルといっても内容は多岐に渡りますが、共通するのは管理組合や建物オーナーとして駐輪場の管理・整備を行う必要があることです。駐輪場が荒れていると放置自転車も置かれやすくなってしまい、さらなるトラブルを生んでしまうことも。そうなる前に管理組合・建物オーナーとして駐輪場の管理をしっかりと行いましょう。

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