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管理組合で加入している保険を把握していますか?万が一に備えたい保険の話

2019.05.10

個人でも生命保険や火災保険などに加入している家庭は多いと思いますが、マンションの管理組合でも保険に加入していることをご存知でしょうか。例えば、個人で加入している火災保険はあくまでも専有部分を対象とした保険ですので、管理組合が所有し責任を負っているマンションの共用部分については、管理組合で専用の保険に加入する必要があります。自分のマンションが加入している保険の種類、保障内容、保険料などを把握していますか。マンションで発生した事故は、そのままマンションの資産価値や管理費・修繕積立金などに影響しますので、あなたのマンションは万が一に備えられているか確認してみましょう。

マンション管理組合で加入することが多い保険は?


管理組合で加入する保険にも種類がありますが、個人で加入している保険と同じように多くの管理組合が加入している種類の保険と、立地や築年数など必要に応じて加入している保険があります。

保障内容や金額により加入する保険会社を選ぶこととなりますが、多くの管理組合が加入している保険には下記のような3種類があります。

火災保険


国土交通省が公表しているマンション標準管理規約にも記載されている火災保険は、管理組合で加入していることがほとんどです。個人でも火災保険に加入されている方が多いかと思いますが、個人の火災保険では廊下などの共用部分の補修を補うことができません。また火災保険は多くの場合、火災以外の損害も対象としています。落雷、水漏れ、風災、雪災などといった共用部の不具合や自然災害によるトラブルは、補償範囲内であることが多いようです。

例えば給水管が劣化によって破裂してしまい、数部屋の電気系統が壊れてしまった場合。これは共用部分である給水管の管理不足に起因していますので、管理組合負担で修繕を行う必要があります。被害状況にもよりますが、漏水によって電気系統などが故障してしまった場合の修繕費用は数百万円かかることもあるのだそう。それを管理組合が全額負担するとなると、戸数によっては管理費や修繕積立金では賄いきれない可能性もあります。火災保険は火災だけでなく、こういった修繕にも対応しているので加入している管理組合が多いのですね。ただし火災保険は地震・津波・噴火による被害や、それらが原因で発生した火災等の損害には対応していませんので、気を付けましょう。

施設賠償責任保険


共用部の管理不備による賠償を補償してくれる施設賠償責任保険は、火災保険の特約として加入できることも多いようです。火災保険は火災に限らず漏水などでマンションに修繕が必要となった場合などを対象としていましたが、施設賠償責任保険ではマンション敷地内の建物や設備の不備が原因で第三者(居住者・来訪者・物)に損害を与えた場合を補償する保険です。

例えば前述の給水管の劣化による漏水の例では、この漏水によって居住者の専有部分まで水が回って住戸が水浸しになる可能性もあります。実際にそういった場合には内装の復旧や家財・電化製品の買い替え費用などの賠償が必要となりますが、その際に施設賠償責任保険を使って賠償ができるのです。

漏水のように物の買い替えや修理などで済めばまだ良いですが、例えば外壁補修の不備でタイルが落下し怪我人が出た場合など、人に損害を与えてしまった場合は多額の賠償となる可能性がありますので、施設賠償責任保険についても加入する管理組合が多いのは納得です。

個人賠償責任保険


管理組合が管理する共用部分の不備による賠償保険は前述した2点がありますが、その他に個人の過失による賠償をカバーする保険に管理組合で加入することもできます。先ほどの漏水の例では共用部分である給水管の劣化が原因でしたが、仮に漏水の原因が居住者の使用している洗濯機の不具合だった場合には、原因となった世帯の区分所有者が賠償責任を負うこととなります。このような万が一の場合に備えて、個人賠償責任保険に管理組合で加入したり、管理組合加入の火災保険の特約としてつけることができるのです。区分所有者同士の問題と言ってしまえばそれまでですが、区分所有者同士のトラブルがこじれると管理組合が間に入って対応しなければならない場合もあります。そういったトラブルを起こさないという意味でも、加入している管理組合が多いのかもしれません。

マンション管理組合で必要に応じて加入する地震保険


マンション管理組合として加入していることの多い保険についてはわかりましたが、加入していない管理組合も多いのが地震保険です。火災保険で説明した通り、火災保険では地震・津波・噴火による損害は補償されません。しかし、大きな地震が定期的に発生している日本では住んでいるマンションがいつ大災害に見舞われてもおかしくないかと思います。

各世帯で地震に備えていて仮に家の中が無事だったとしても、共用部分の廊下やエレベーターなどが壊れていつまでも使えない状態では、生活することができません。首都直下型地震も懸念されていますので、津波被害などが懸念される場所や地震マップで危険と予想されている場所のマンションでは、加入しておいた方が良いかもしれません。また、地震保険はどの会社でも同じ補償内容・保険金額ですので、比較検討で悩む必要がないという点では比較的加入しやすい保険ともいえます。

気を付けたい保険料の値上げ要因


マンション管理組合で保険に加入する場合、世帯数にもよりますが保険料は年間百万円~数百万円にものぼります。管理費のなかでも大きな金額となる保険料ですが、人間の保険と同じく建物の条件によって保険料に変動があります。例えば築年数が経てばそれだけ危険性があがるとみなされるため、同じ補償内容であれば保険料が上がるようになるのです。そして築年数の他の値上がり要因として、損害率※が大きかった場合も、翌年の保険料に大きく影響します。

築年数が経過してしまうことは仕方がないですが、損害率によって保険料が大きく上がることは避けたいですよね。損害率を上げないために管理費で負担できる金額に関しては保険を使わないといったことも一つの手ですが、そもそも保険を使わなくていいように普段から共用部分を管理しておくことがなによりの値上げ対策といえそうです。
※支払い保険料に対する受け取った保険金の割合(Ex.100万円の保険料に対して150万円の保険金を受け取った場合は損害率150%)

管理組合で加入する保険は一個人で決めることができない分、難しい面もありますが状況によって補償内容の見直しや保険会社の見直しが必要なところは個人の保険と同じです。マンション用の保険も複数社から提供されていますので、必要な補償内容、考えられるリスクなどを加味した上でマンションに合った保険はどれなのか定期的に見直して、万が一に備えましょう。

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