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何デシベルから騒音になる?音量の目安と基準値で分かる騒音問題と対処方法

2022.06.14

騒音というのは個人によって感じ方が大きく異なります。その目安となる騒音を測定するときに「デシベル(㏈)」という単位が使用されていますが、いったい何デシベルから騒音となるのでしょうか。同じ音や音量でも環境や時間帯により伝わり方が違うため、騒音レベルや基準も状況に対応したものでなければなりませんが、どのように基準値が設定されているのか、また騒音トラブルに発展しやすい事例と対処方法について解説していきます。

騒音レベルの基準や目安になるデシベル(㏈)って?

騒音に限らず一般的に音の大きさを測定するときの単位としてデシベル(㏈)が使われていますが、そもそも「デシベル」って何を表しているのでしょうか。

音の大きさを表す単位として「デシベル(㏈)」がよく使われていますが、これは省略形であり本来この単位は電力や電流などにも使われる単位です。音の大きさに限定する場合、正確には「㏈ SPL」と記載するのが正しいのだそう。

音は物体の振動や空気の瞬間的な膨張や収縮で発生し、その際、空気に圧力変化が生じます。これを「音圧」といいますが、音圧の単位「パスカル(㎩)」で音の大きさを表現するには数値として把握しづらいことから「デシベル」表示が考案されました。

騒音レベルの基準は何デシベルから?

音というものは感じ方に個人差があり、どの程度の音が騒音レベルとされるのか、その線引きは難しいものです。

環境基本法では基準値が設定されており、住宅地域の騒音の目安としては住宅の場合45-55デシベル以上とされています。ただし、音は周りの環境や時間帯、季節によっても聞こえ方が異なってくるため、各自治体などによっても独自の目安が設けられている場合も。

ここでは環境基本法を基に昼間と夜間に分けて基準となる目安を解説していきます。

昼間の場合の基準

環境基本法によると昼間の望ましい基準値は次のように設定されています。
・療養施設など静穏を要する地域:50デシベル以下
・主に住宅が多い地域:55デシベル以下
・住宅のほかに商業、工業施設のある地域:60デシベル以下
※ただし、道路に面している場所においては上記に10デシベル程度プラスされます。

ちなみに目安の値としては50デシベルでエアコン室外機の音を近くで聞いた程度、60デシベルで普通の会話やデパートの店内くらいの音の大きさなのだそうです。

夜間の場合の基準

夜間の基準値は、目安として次のように設定されています。
・療養施設など静穏を要する地域:40デシベル以下
・主に住宅が多い地域:45デシベル以下
・住宅のほかに商業、工業施設のある地域:50デシベル以下
※ただし、道路に面している場所においては上記に10デシベル程度プラスされます。

夜間は昼間よりも低めの設定となっているため、近隣トラブルを避けるためにも音の発生には注意が必要です。

騒音基準を超えてトラブルになりやすい生活音と対処方法

生活音は近所に迷惑をかけているという自覚のないことが多いため、知らず知らずのうちに騒音レベルの音を発している場合が多いものです。また、うるさいと感じていても簡単には引っ越しできないことや近所とのトラブルは避けたいという思いから、騒音によるストレスを感じていてもつい我慢してしまい、睡眠障害やうつ病など健康に悪影響を及ぼす結果になったりもします。特に、生活音が原因で近隣とトラブルになるのは一戸建てよりもマンションなどの集合住宅での事例が圧倒的に多いようです。

自分の発する音と、周りから聞こえてくる音では感じ方に違いがあることから騒音の判断は難しいものではありますが、ここでは騒音トラブルを招きやすいケースをご紹介します。

【隣室・上階での深夜の騒ぎ、話し声によるトラブル】

友人・知人を招いて深夜まで騒いだり、大声を出したりすることで隣室や上階とトラブルになるケースです。当事者は特に騒いでいるつもりがなくても、深夜は声や音が伝わりやすいため、トラブルとなりがちです。

【掃除機や洗濯機などの家電から生じる音によるトラブル】

洗濯をする、掃除機をかけるなどの日常生活ではあたりまえの行為でも、深夜や早朝などの時間帯に発生する家電の音がトラブルを招いてしまうことも。たとえそれほど大きな音でなくても、一定時間響く音や振動で睡眠が妨げられたり、ストレスに感じたりする人もいます。

【楽器・音楽・テレビの音によるトラブル】

好きな音楽を聴くときや、テレビを見るときは、つい夢中になり音量を上げがちです。昼間と同じ音量でも、夜間は騒音レベルに該当する場合があるので注意が必要です。自分にはお気に入りの音楽でも、他人には雑音として不快な音に感じることもあります。特に暑い季節や換気のために窓を開けているときにはイヤホンを使用するなどの配慮が必要です。

また楽器の練習をする場合は、ある程度防音効果のある室内に改良する、自宅以外の専用練習場所を探すなど、未然にトラブルを防ぐ工夫をした方が良いかもしれません。

騒音トラブルの被害者になった場合の対応方法

もし自分自身が騒音被害を受けたとき、どのような対応をすればよいのでしょうか。

例えば、建設工事や航空機・交通騒音などの場合は騒音の測定で判断しやすいですが、共同住宅内で発生する騒音の場合は、必ずしも数値のみで判断できない部分もあります。自分で動くよりも、まずは貸主や不動産業者、管理組合など、第三者に入ってもらい、判断を委ねてみることが大事です。

また、相談する前に次のようなことは詳細を記録しておきましょう。
・騒音がいつから発生しているか
・人の声、機械音など、どのような音なのか
・騒音が発生する時間帯や頻度
・どこから音が発生しているか
・睡眠不足など身体への影響

第三者によって注意喚起など、何らかの対処をしてもらっても改善されない場合は、次の手段として弁護士や警察に相談するという方法もあります。しかし、相応の金銭や手間、ストレスが発生しますので、可能であれば引っ越しを検討した方が良いかもしれません。いずれにしても、人との関わりがありデリケートな問題でもあるため、騒音は大きな問題にも発展しかねません。一人で解決しないようにすることが大切です。

まとめ

線引きがあいまいな騒音ですが、何デシベルという目安があり、それが日常生活のどれくらいの音なのかを把握しておくことで、騒音トラブルの加害者になることを防ぐことができます。また、被害者になった場合はひとりで抱え込まず第三者に相談し、トラブルがこじれて二次トラブルになることを防ぐ、ということもポイントです。特に集合住宅で起こりやすい騒音トラブルですが、お互いに気を付けることで快適に暮らせる住環境にしたいですね。

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