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管理組合が無い&機能していないマンションはどうすればいい?

2020.06.05


マンションに「管理組合」があるのは当たり前という認識の方が多いと思いますが、実は管理組合が無い、あるいは管理組合の存在はあるが機能していないというマンションも稀に存在します。管理組合が無い・機能していないことによって、マンション内の環境悪化や建物劣化が進むなど、お持ちのマンションの資産価値を大きく下げてしまう可能性も。もしマンションに管理組合がないという方は早急に対処することが必要です。ここでは管理組合の正しい知識と必要性を改めて確認し、存在していない・機能していない場合の対策を考えていくためのヒントをご紹介していきます。

管理組合結成は所有者の義務


そもそも管理組合とは何か、どのような役割があるのかはご存知でしょうか。管理組合とは、分譲マンションを購入した際にそのマンションの所有者である区分所有者によって結成することが定められている組合のことを指します。管理組合のうち、中心となってマンションの維持管理を進めるための業務を行う理事会が存在し、月1回程度を目安に自分たちのマンションをどのように管理を行なっていくかを話し合う場が設けられています。マンションの所有者には実際に購入して住んでいる人はもちろん、賃貸用に購入してご自身は別の場所に住んでいるという区分所有者も管理組合に加入する義務があります。

マンションの管理には様々な業務内容がありますが、主なものとして、組合員から集めた管理費の会計や使い方の検討といった運営のほかに、マンション共有部の清掃やゴミ出しのルール、設備の点検などといった日常的なメンテナンス業務、そして経年劣化に伴う補修や改修、また十数年に一度おこなう大規模修繕工事の計画などが含まれます。マンション管理には専門的な知識を要するものも多いため、日常的な管理はマンション管理を専門にしている会社(以下、管理会社)に任せているマンションが多いのが現状です。実際の日常管理やメンテナンスは管理会社が受け持つようになっていても、その管理費用や修繕積立金の予算などの検討や決定はに関しては管理組合の意思決定機関として位置づけられる総会や、理事会で決定された計画に基づいて設定されるため、計画がしっかりされていないと管理が疎かになったり、後になって想定していなかった修繕費など急な支払い請求が来たりするなどの問題が発生することも少なくありません。管理組合の体制が整っていないことで依頼する管理会社選びも疎かになり、気がついたら自分たちのマンションの管理には適さない管理会社に管理を任せ問題が発生したケースもあります。

管理が不十分では住んでいる方の毎日の暮らしの質低下につながりますし、資産として売却をするとなった時にも管理組合がないことや機能していないことを不安視されて売れない、といった資産価値を下げる原因にも。これはマンションを購入する側の立場に立ってみると当然のことで、マンションを部屋そのものだけでなく建物全体で考えた時に、管理が行き届いていないマンションは果たして長期的に価値を保てるのかどうかという不安が生じます。そうなると多くの金融機関の住宅ローン審査が通らなくなり、それに伴って不動産会社も、キャッシュ購入する買い手しか見つけることができなくなり、売却できるチャンスも低くなっていきます。

管理組合が無いとどうなっちゃうの?


様々な管理業務を担うマンションの管理組合ですが、管理組合がないとどうなってしまうのでしょうか。管理組合が存在しないことでマンションの価値が下がるというのはよく言われていますが、具体的な問題を見ていきましょう。先に説明したように、管理組合の業務内容には建物の清掃や設備の定期点検などが含まれています。そのため、それらの業務が機能していないとなると衛生面での問題や、設備の不具合が頻繁に起こるなどの問題が発生する可能性があります。少しの不具合であればすぐに修繕可能かもしれませんが、点検されていないとトラブルが起きるまで劣化箇所の発見ができませんし、専門の改修会社を呼んだ場合の立会いや支払いの管理など、共用部の維持管理は重要事項となります。これらを管理組合としてでなく一人の個人で対応するのは難しいだけでなくその後のトラブルの元になりますのでやはり管理組合の存在は重要です。

こういった修繕工事が滞ってしまうとさらに劣化が進み、マンションの老朽化が進んでしまう悪循環に陥るのです。こまめにメンテナンスをしておけば軽度の修繕が済んだものでも、放置していたことで大規模な修繕が必要になるケースや、修繕不可能で建て替えをするしか選択肢がない、もしくは使用不可能になるまで待つしかないといった住居者にとってますます住みづらい環境になってしまうケースも考えられます。また、ゴミ出しのルールや騒音問題なども集合住宅では発生しがちな問題ですが、管理組合が無いと仲裁役となれる存在がいないため、大事に発展してしまうことも考えられます。このようなことが、複数の住人の間で発生するとマンション内の雰囲気が悪くなりますし、更なるトラブルを招いてしまうことにつながりかねません。
この他にも、設備のメンテナンスを怠ったために早急な修繕が必要になり通常料金よりも修繕費用が高くなってしまう場合や、そのような対応が続くと修繕積立金が不足して管理費の大幅な値上げをせざるを得ないなど、様々な問題が重なって発生することにつながります。そしてこのように曖昧な管理のもとでは住みたくないと、良識のある人は出て行ってしまい、居住者の質も悪くなる一方です。空室が増えることによって管理がさらに行き届かなくなり、更なる資産価値の低下が進むという悪循環を招きます。管理組合運営を通じて建物の健全と居住者間のコミュニケーションも向上させましょう。

まず、管理組合が存在しないという場合は管理組合を設立するのが問題解決に向けた第一歩です。ただし、形式上設立するというだけでは意味がありません。管理組合が機能していないという場合も含め、改めて管理規約を制定し、管理における計画を立てて円滑な運営体制を整えることが大切です。この時に、マンションの規模や年数に応じた適切な計画を立てることがポイントです。日常的な管理に必要となる支出と、長期的な改修において必要と見込まれる修繕積立金に分けて会計を管理します。こうすることによって日々の運営と、今後の維持管理で必要な金額を計画することができ、必要なメンテナンスを行う骨組みができます。

また、月に1回程度の定期的な理事会を開催し、状況把握をすることもスムーズな運営を行うためには重要です。毎日の生活を送る居住者や管理組合員から出た要望や、災害など何らかの突発的な問題で修繕計画を修正する必要性が出た場合などに、定期的な理事会があることですぐに検討することが可能になります。管理組合によっては、居住者同士の行事やクラブ活動を積極的に行なうことで繋がりを形成したりコミュニケーションを深めているところもあるようです。ただし、全ての居住者が行事に積極的に参加できるわけではないので、所有しているマンションの状況に応じて適切な運営内容を検討することが大切です。適度な居住者間のコミュニケーションは、日頃のちょっとした意見や悩みを交換するための貴重な時間としても機能します。居住者トラブル防止の観点からも、管理組合を通して居住者同士の連帯感と快適な生活を保ち、同時にマンションの資産価値を守っていきましょう。

まとめ


マンションを購入すると必ずその管理が必要になります。本来は必ず存在すべき管理組合ですが、古くに建てられたマンションなどの場合、管理組合が無いということも稀にあります。マンションを購入する前には必ず確認をすることが大前提ですが、もし購入後に無いということが判明した場合や、理事会が長期間行われていないなど、うまく機能していないことがわかった場合には、大きな問題に発展する前に早急に改善することが必要です。マンション管理には様々な業務がある上に専門的な用語や知識を必要とする内容も多いため、何かと後回しにしてしまう方も多いですが、ご自身の住まいの快適性や資産価値を守っていくためには管理組合の円滑な運営が必要不可欠です。実際の管理業務は管理会社に委託することもできますが、管理における予算配分や内容の制定は管理組合が自分ごととして捉えて責任を持つことが求められます。管理規約の制定、理事会の運営を通して組合員同士のコミュニケーションを取り、お互いに快適な暮らしができるように心がけていきましょう。

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