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iDeCoは2022年法改正でどう変わる?個人型確定拠出年金iDeCoのポイント解説

2022.04.18

2020年5月29日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立しました。それに伴い厚生労働省が2022年度より施行される確定拠出年金制度の改正の案内を始めています。

改正にはiDeCoの加入条件の拡大や受給受け取り開始年齢の拡大など、私たちの暮らしに関わる重要な内容が含まれています。
今回は2022年4月から変更される改正内容を分かりやすく解説します。

2022年のiDeCoの主な改正内容

2020年5月に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が改正されたことに伴い、2022年度からiDeCoの運用方法が変更になりました。

2022年4月より順次改正される内容は以下の3点です。
・加入年齢の拡大
・企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCoの同時加入要件が緩和
・受け取り開始可能時期の拡大

iDeCo加入要件拡大

現在、iDeCoに加入できるのは60歳未満の公的年金の被保険者と定められていましたが、今回の法改正では主な加入要件が国民年金被保険者となりました。

また、改正後の2022年5月からは65歳未満に加入年齢が拡大されます。

企業型DCとiDeCoの同時加入要件が緩和

2022年10月から企業型DCとiDeCoの同時加入要件が緩和されます。現在、企業型DCの加入者がiDeCoに加入するには所属企業の労使の合意が必要ですが、改正後は原則加入可能になります。

iDeCoの受け取り開始年齢が75歳未満に拡大

現在、iDeCoの受け取り開始年齢は60歳以降70歳未満とされています。

これが2022年4月から、受け取り開始年齢の上限が60歳以降75歳未満に拡大されます。

iDeCo加入可能年齢の拡大

2022年の改正で最も注目されているのが加入可能年齢の拡大ですが、それに伴う加入条件の緩和も大きな特徴といえるでしょう。

今回の改正によるメリットは以下の3点です。

1.加入対象者が拡大される
2.50代以上の新規加入でも受け取りまでの空白期間がなくなる
3.掛金の所得控除が受けられる

現在iDeCoの加入対象者は現在60歳未満ですが、2022年5月より、加入年齢が65歳未満までに拡大されるとともに国民年金被保険者であれば加入できるようになります。
※ただし、iDeCoの老齢給付金を受給した方や公的年金を繰上げ受給した方は含まれません。

今回の改正によって大きなメリットがあるのが、現在の法制度では加入ができなかった60歳以上の方や海外居住者、50代でiDeCoを始められる方です。

現行法では60歳で給付を受けるには10年間の加入期間が必要だったため、50歳以降に加入した場合、加入から10年間経過するまでの間にiDeCoが適用されない60歳以降の空白期間が生じてしまいます。そのため、加入から10年経過し受給開始できるまで税制優遇のない運用をせざるを得ませんでした。

しかし、今回の改正により運用可能期間が延長されるのでその間に形成した資金は非課税となり、通常の運用に比べて給付金は大きくなります。

企業型DC(企業型確定拠出年金)とidecoの同時加入要件が緩和

企業年金の種類は3つあり、厚生年金・確定給付企業年金(DB)・企業型DCですが、勤務先が企業型DCを導入している場合、従業員全員が加入することとなっています。

しかし、企業型DC加入者がiDeCoに同時加入するには所属企業の労使の合意および規約の変更が必要なため、企業型DC加入者約750万人のうちほとんどの人がiDeCoへ加入することができませんでした。

今回の改正により、2022年10月以降はこの労使合意がなくても加入可能になります。

ただし、会社掛金に従業員が掛金を上乗せできるマッチング拠出の場合、iDeCoの同時加入はできないので注意が必要です。
マッチング拠出への加入は導入企業の従業員が任意に選択できますが、マッチング拠出とiDeCo同時加入の大きな違いは、拠出金額の条件です。

マッチング拠出時の掛金
1.上乗せ金額が会社掛金以下であること
2.会社掛金とマッチング掛金の合計が55,000円以下であること

iDeCo同時加入時の掛金
1.iDeCoの限度額20,000円(確定給付型は12,000円)以下
2.会社掛金との合計金額が55,000円(確定給付型は27,500円)以下

マッチング拠出と比較した際のiDeCoのメリットは、会社拠出金額が低い場合でもiDeCoの同時加入の方が多く拠出できるため、資産を大きくしやすいことです。ただし企業型DCでは会社負担となっている口座管理料がiDeCoの口座分別途かかることや、管理しなくてはならない口座が分かれることなど掛金によってはマッチング拠出の方がいい場合もあります。企業DCの内容を精査した上でiDeCoとの併用を検討するとよいでしょう。

idecoの受け取り開始年齢が75歳に拡大

現在のiDeCoの年金受け取り開始年齢は60歳以降70歳未満です。

しかし、2022年4月以降、国民年金受け取り開始年齢が75歳まで繰り下げができるようになったことから、iDeCoの年金受け取り開始年齢も60歳以降75歳未満に拡大されます。
この改正によるメリットは、受給開始時期の幅が広がることで非課税運用が可能な期間が5年も延長されることです。

ただし、注意すべき点は受け取り開始年齢が75歳に到達すると年金での受け取りができなくなることです。iDeCoの受け取りは一時金もしくは年金のどちらかを選択できますが、受け取り開始上限年齢75歳に達すると年金での受け取りができなくなります。

必ずしも運用可能期間ぎりぎりまで運用する必要はありませんので、口座管理費用と運用益、退職金や小規模事業共済などの他の制度との組み合わせ、公的年金の受取開始をいつにするかなど総合的に考えて決めていきましょう。

まとめ

2022年の改正でiDeCoがどう変わるか、について解説しました。
今回の改正ではメリットもたくさんありますが、適用条件やデメリット理解したうえで改正に合わせた資産運用をすることが必要です。
自分に合った受取方法や資産運用を考えながら、4月から適応される改正に備えましょう!

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