住まいの今と未来をつたえる

特集

実家の物を減らしたい!片付けるコツは?【ミニマリストおふみの相談室】

2020.12.04

年末年始は実家に帰る方も多いと思いますが、実家を出て何年も経っているのに自室の物がそのままになっていたりしませんか。今回のおふみの相談室は実家に置いてある物を片付けたいMさんからの相談です。自室の物だけでなく実家全体の物を減らすにはどうしたら良いのでしょうか。

============================

毎年年末に実家に帰省するのですが、実家を出てから時がだいぶ経っているにもかかわらず自室に置いたままの物が多く、片付けをしたいと思っています。しかし、実家に置いたままの物は捨てる決心がつけられないものの、自宅に持っていくほどではない物(卒業アルバムや制服、色紙や手紙、学生時代に大好きだったグッズや漫画など)が多くなかなか捨てることができません。
自室だけでなく実家全体でも物が多いので (母の昔着ていた着物が入った大きな箪笥、幼少期の成長記録、来客用の布団、大きな本棚2つ分の父の書籍、その他の有象無象等)
先々も考えて実家全体の物も減らしたいのですが、どうしたら良いでしょうか。

(Mさん)
============================

こんにちは、おふみです。
ご相談のメッセージをいただきありがとうございます。

実家の片付けって悩ましい問題ですよね。
自分がすでに家を出ている場合、置いてきた自分の荷物と、自分以外の家族の持ち物という二つの問題があります。
自分の荷物については、今に至るまで手放せない物なので難易度は高いかもしれませんが、自分の意思で捨てるかどうか決められます。踏ん切りと気持ちの決着で解決可能な範疇です。
しかし、ご家族の持ち物については、自分の持ち物ではないので勝手に要・不要を判断することはできません。
また、ご家族がどれくらい片付けに意欲的かにもよります。

問題を分解しながら順番に考えていきましょう。

1.実家に置いてきたものを片付けたい

まずは自分の荷物について。
今の住まいに持ってきていない時点で、日常使いはしていないものです。
手放したいけど踏ん切りがつかないのであれば、自分の気持ちを納得させることができれば手放す決断ができるはずですし、悩んだ末に残したいと思ったものがあれば今の住まいに持ってくるという選択肢もあります。

現在に至るまで手放せずにいるのは、いくつかの理由が隠れていると思います。
1.実家に帰っても片付けにそこまで時間を確保できない。
2.置いておけるスペースがあるから判断が甘くなる。
3.思い出の品なので手放す踏ん切りがつかない。
このあたりが理由ではないでしょうか。

まずひとつめ。
実家に帰っても片付けに思ったより時間を確保できない場合がほとんどです。
久しぶりの帰省では、家族との時間も持ちたいし、地元の友人にも会いたいし、実家でゆっくりもしたいとなると、なかなか本腰を入れて片付けができないのではないかと思います。

一日がかりの片付けをしようと思うとなかなか時間の確保が難しいのであれば、帰省している期間、1日に引き出し1段ずつ片付けをするというのはどうでしょうか。本棚一区画ずつでもいいですし、とにかく簡単に取りかかれるサイズ感に区分けして、少しずつ片付けをしてみることをおすすめします。
片付けは自分が動かないと進まないので、あまり時間が取れない実家への帰省中でも気楽に取りかかれるような仕組みをつくってコツコツやるしかありません。

今の住まいの片付けは定期的に行なっていると思います。同じように、まるで自分がこの帰省期間の後もそこに住み続けるような感覚で片付けをしてみてください。ご実家にお住まいのご家族は、ご相談者さんが今の住まいに帰った後も実際にその家で住み続けるわけです。
簡単に取りかかれるサイズにしてコツコツと。今の住まいでも実家でも、これが片付けの強力な味方になってくれる方法です。

次にふたつめ。
置いておけるスペースがあるから判断が甘くなるのではないでしょうか。
実家って大抵、今の自分の住まいよりも広いですよね。
特に、かつて自分が暮らしていた分のスペースがあるので、そこに物が置けてしまうんですよね。本棚が一台あれば、それが満杯になるほど物を収納してしまいがち。埋める空間があれば埋めたくなるのが人間というものです。

しかし、例えばですが、もし近々実家をリフォームしたり、引っ越しするとなったらどうでしょう。
大急ぎで、なおかつ判断厳しめでどんどん物を手放すと思います。相当整理が進むでしょう。

そこでひとつの提案として「引っ越しするつもり」で片付けをしてみるのはいかがでしょうか。
あるいは「殺虫剤を焚く」といった、実際の目標を立ててもいいと思います。燻煙型や霧型の殺虫剤となると寝具や食器類などに薬剤がかからないよう袋に入れて密封すると思いますが、物を退避させるのは一仕事。軽い引っ越しのような大変さです。不要な物を退避させるのは面倒なので、この機会に不要な物は手放してしまおうと踏ん切りがつきます。
実際、私が先日自宅で焚いた時は、可燃ゴミ5袋、不燃ゴミ1袋分のゴミを捨てることになりました。(詳細に関しては、ペットのいるご家庭の場合は、説明書などをよく読んでご判断ください。)

片付けにはモチベーションが必要です。
今の住まいなら、「日々の生活において視界をすっきりさせて気分よく暮らせるようにしたい」という思いがモチベーションになりますし、片付けると自分の暮らしが快適になるので、片付けに対する報酬が明確です。

しかし、自分が住んでいない場所となると、モチベーションを保つのが難しくなると思います。そこがすっきりしていてもしていなくても、今の住まいに戻れば関係なくなってしまうので、頑張りに対する報酬を実感しづらいからです。
なので「もし実家が引っ越しするなら」というような架空の締め切りを設定したり、「3日後に殺虫剤を焚く」というような実際の締め切りを設定してみて、やる気が湧くように工夫してみましょう。

みっつめ。
今に至るまで手放せないということは、思い出の品なので手放す踏ん切りがつかないのではないでしょうか。
ここで、思い出の品をどう残して・手放すかについてお話ししたいと思います。

2.今の住まいに持ってくるほどではないけど、思い出深い物をどう残し・手放すか

先述の通り、今の住まいに持ってくるほどではないということは、日常的に使うものではないということ。
つまり、思い出として所持していたいという物が残されているのだと思います。
ご相談文には、下記のようなものが手放せないと書かれています。

>>実家に置いたままの物は捨てられないものの
>>自宅には入らない物(卒業アルバムや制服、色紙や手紙、学生時代に大好きだったグッズや漫画など)が多くなかなか捨てることができません。

まず、思い出の品は「残す上限」を設けるのが良いかと思います。
これは実家でも今の住まいでも言えることですが、あるジャンルの物が際限なく増えてしまうのを防ぐには、上限を設けるのがおすすめです。

今の住まいで思い出の品を残したいと思ったら、例えばA4サイズくらいの箱を1つ用意して、そこに収まる分だけ思い出の品をしまう「思い出ボックス」をつくるのです。
この箱を超えそうになったら、中身を見直して、写真に撮ったりして思い出は残し、実物は手放します。
上限を設けることで、際限なく増えていくのを防げます。

ただ、実家の場合は一箱どころではないサイズや量の思い出の品が残っていることが多いかと思います。
制服も卒業アルバムもかさが大きいものですしね。
ひとつひとつ、手放し方と合わせて考えていきましょう。

まず卒業アルバムについては、ご相談者さんお一人のものというよりは、ご両親の持ち物でもあると思います。
家族の写真アルバムが家族みんなのものであるように、子育ての記録として残したいと考えるご家族も少なくないのではと思います。こちらについては一度ご家族に確認してみて、不要だということならご相談者さんで手放すかどうかを判断されるのがいいかと思います。
ちなみに、卒業アルバムをスキャンしてデータ化するサービスもあるので、探してみてください。

https://www.album-concierge.com/

こちらの「卒業アルバムもページスキャン1ページ~」というサービスでは、1枚30円でスキャンしてくれるようです。
もし、それほどお金をかけてまで残したいと思えないのであれば手放し時ではないでしょうか。

制服
つぎに制服について。制服が手放せないのは、思い出深いからだと思います。
その制服は思い出に浸るために定期的に取り出して眺めたりしているものでしょうか。能動的に取り出して思い出に浸るために鑑賞しているのではあれば、残してもいいかもしれません。しかし、片付けの際に目について、そのたびに「手放そうか、でも捨てるには思い出深いものだからな」と躊躇しているのであれば、気持ちがほとんど「手放したい」に傾いているのではないでしょうか。

制服を手放すことは思い出を手放すようで後ろめたいと感じるかもしれませんが、物それ自体がなくなっても、学生時代の思い出は消えません。
写真に撮って思い出として残し、実体のある物としての制服は手放してしまってもいいと思います。
もしまだ当時と制服のデザインが変わっていなければ、その制服を必要としている後輩に譲るのはいかがでしょうか。私は卒業と同時に、近所の女の子に譲ったのでもう制服が残っていません。
もし、もう既にデザインが変わっていたり、傷みがあって人に譲るのは難しいと感じるようであれば、手放してしまいましょう。

学生時代に大好きだった漫画
また、学生時代に大好きだった漫画については、電子化してみてはいかがでしょうか。
本を物体として持っていたいという思いはありますか?
その物体自体に意味があるとか、とびきり思い入れがあるのであればまた別なのですが(例えば当時好きな人と貸し借りしたとか、内容以外の要素も大事な思い出であるとか。または装丁込みで好きな本であるとか。)

そうでなければ、裁断してスキャンしてPDF化(自炊)してもいいと思いますし、それが億劫なら本自体は買取に出して手放し、電子版で新たに買い直してもいいと思います。電子版を買い直すほどではないなと思ったら、潔く手放してしまっても良いと思います。また読みたくなった時に電子版を買い直しましょう。
ただし、絶版になっていて電子版も発売されていない本であった場合は、実物を残すなり自炊するなりして情報にアクセスできる手立てを検討しましょう。

ここからは、特に難易度の高いもの。
物を手放す上で特に難易度が高いのは、思い出深くて、サイズが小さくて、代えがきかないものです。

学生時代に大好きだったグッズ
これは難しいですね。
手放した後に万一手元に戻したいと思っても、同じ物は手に入らないでしょうし、手放す時には本当に自分を納得させてからでなければなりません。
グッズも1つ2つなら思い出ボックスに入れて保管するという手もあるでしょうけれど、
いくつもあったり、サイズの大きなものも含まれているとすると、どれもこれも残してはおけないですよね。
数が多いのであれば、2、3個実物を残して、残りは写真に撮影して手放すのはいかがでしょうか。

手放す難易度の高いものについては、初めの方でも書きましたが、「引っ越しするとすれば」という想像をしてみましょう。
もし二週間後に実家を引き払ってご家族が海外に赴任するとしたら、という想像をしてみてください。
実家にあるものは、ご相談者さんの今の住まいに送ることになるとします。

そうした場合、実物を残したいと思いますか?それなら手放すだろうなと思いますか?
それなら手放すな、と思ったのであれば実物は手放して良いサインかと思いますし、
それでも悩むなと思うのであれば、もう少し期間をおいて、次回の帰省時に判断するのでも良いと思います。

グッズを手放す上で、もし年数が経っていても価値がありそうなものであれば、一度メルカリなどのフリマアプリやオークションサイトで、同じものが出品されていないかチェックしてみましょう。買取価格を確認してみて、需要があるようであれば出品しても良いでしょう。
出品しても落札・購入されなさそうだったり、出品自体が億劫に感じる場合は、潔く処分しましょう。
物を手放すことで、風通しのよい空間を得ることができます。また、空いた空間には新しいことが舞い込みます。

色紙や手紙
これも思い出深くて手放す判断をするのは難しいものですよね。
ところで、手紙はどれくらいの量がありますか?
ここ5年の間に、それらの手紙を読み返したことはありましたか?
手紙って思い出そのものですよね。読み返していなくても、物として持ち続けることに意味があるものでしょうし。
これを手放すのはかなり難しいと思います。数が膨大で、なおかつ中身が日常のなにげないやりとりだったとすると、一枚一枚写真に撮ってデータ化するのもちょっと違うような気がしますしね。

持っていることに意味があるのであれば、持ち続けてもいいかもしれません。とてつもなく膨大な量だとさすがに厳選が必要ですが。
こればっかりは替えがきかないので、ご相談者さんの気持ちの折り合いがついてからでないと手放せないものです。帰省のたびに手放すかどうか検討することにして、ゆっくり判断されるのがいいかと思います。

3.この先を見据えて、実家にある”家族の物”を片付けたい

ここまでは、自分で判断できる自分の持ち物の範疇でしたが、
ここからは人の持ち物になってきます。さらに難易度が上がります。
あくまで手放すことができるのは持ち主本人だけなので、家族ができることは、判断をサポートしたり、物を運んだり捨てたりする手伝いだけです。

詳しくお伺いした際に、ご祖父母が高齢になってきていて、本人だけでは物を捨てる・残す・配置を変えるといった判断をすることや、物を実際に動かすのも一苦労であること、物を減らしたいという意思が本人にあり家族に手伝ってほしいと考えているという話をお伺いしました。
本人が物を片付けたくて手助けを求めている状態なので、サポートする上での心構えについて考えていきたいと思います。

人の物の片付けを手伝う上で心がけたいのは、考えの違い。
例えば「ここをすっきりさせたい」という言葉ひとつとっても、どの程度のすっきり感を想定しているのかはわかりません。
家族だからとツーカーで話が通じるとは考えずに、どれくらいの物量にしたいと思っているのか?今日はどれくらい減らすのを目標にしているのか?など、言葉をどんどん分解して、互いに共通認識を持てるようにしたいところです。
また、例えばネットで画像を検索して、理想に近い物量のものを一緒に見て「これくらいを想定してる?」「これよりはこっちの画像の方が近い」というように、イメージの共有をしてみましょう。

そして、要不要を判断するのは本人にしかできません。
「こんなのもう使わないでしょ」という決めつけをせずに、
「これは最近、例えば一年以内に使った?今後使う予定はある?」
といった形で、フラットに問いかけができると良いですね。

>>自室だけでなく実家全体でも物が多いので (母の昔着ていた着物が入った大きな箪笥、幼少期の成長記録、来客用の布団、大きな本棚2つ分の父の書籍、その他の有象無象等)
>>先々も考えて実家全体の物も減らしたいのですが、どうしたら良いでしょうか。

母が昔着ていた着物が入った箪笥
「母が昔着ていた着物が入った大きな箪笥」とありますが、このあたりは嫁入り道具でしょうか。長年暮らしてきた家にある物は思い入れの強いものも多いと思います。それこそ踏ん切りが必要になると思います。

そこで、手放すかどうかを決める「ものさし」のようなものを用意しておけると良いです。
例えば、ひとつは災害があったときに危なくない部屋づくりをすること。
「災害があったときのことを考えると、タンスの上には物がない方がいいから、ここにある物は手放そうか」など。

災害時における家庭内の被害の30~50%は家具類によるものだそうです。(東京消防庁より)
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-bousaika/kaguten/handbook/02.pdf

安全に暮らすために、大型家具は固定する。
不要な家具があれば手放すということをしていきましょう。
また、災害時に限らず日常的にも、怪我をしない安全な部屋づくりをしたいところです。
動線上にものを置かない、転ばないような部屋にするためにものを減らそう、といった「安全な部屋づくり」という共通認識があれば、物を手放す判断の際の指針になります。

大きなタンスは運び出すのも一苦労です。他の家財道具や、家を傷つけないように養生をしたりと手間がかかります。
男手があって自力で持ち出せそうなら、車に積んでゴミ処理場に持っていってもいいでしょうし(自治体によって持ち込めるものなども違うと思いますので、事前に確認してみてください。)
それが難しければ、不用品回収業者に連絡して引き取りにきてもらうのも手です。

幼少期の成長記録
これは物自体に思い入れがあるでしょうし、
そもそもデータ化して管理しましょうというのも、一定以上のデジタルに親しみのある世代に対してでないと意味がない方法だと思います。
そして替えのきかない物なので、ご本人の踏ん切りがつくまで無理に手放すことを促さず、じっくり決めてもらうのが良い類の物かと思います。

来客用の布団
最近はお泊まりをするような来客はあったでしょうか。布団を最後に使ったのはいつでしょうか。
来客用布団をレンタルするサービスもありますし、
使用頻度が低く、お手入れに手間をとられるのであれば、レンタルサービスを利用すると割り切って、手放しても良いでしょう。

大きな本棚2つ分の父の書籍
お父様は電子書籍に親しみはあるでしょうか。
ご相談者さんの漫画を手放したいというお話のところでも紹介しましたが、「自炊」といって、本を裁断してデータ化してタブレットやスマホで読書することも可能です。
この裁断機とスキャナーをレンタルしてくれるサービスもあるので、二泊三日などで借りてスキャンして電子化するのもありです。
本をスキャンするためのスキャナーは、所謂一般的なスキャナーのように1枚1枚原稿を差し替えて読み込みするわけではなく、厚みのある分量の紙もごそっと一気にセットして自動で読み込むので便利です。

とはいえ、それでも裁断してスキャンするのは手間です。
「この本はここまでの手間をかけるほどではないかな」と思ったら、古本買取に出しても良いでしょう。背表紙を撮影して送ったら査定をしてくれる宅配買取サービスもあります。ごそっと箱に入れて送ったら査定してくれるサービスもあります。古本屋まで本を持って運ぶ必要もないので、おすすめです。

まとめ
思い出の品は難易度が高いものですが、ひとつひとつ向き合えば手放していけるものです。
実家に帰省した際に片付けも目的のひとつと考えて、片付けの時間を確保して少しずつ取り組んでいってみていただけたらと思います。
ご実家の片付け、ご家族と一緒にご無理なく頑張ってください。

おふみさんへ相談をしたい方はこちらよりご応募ください。
皆様のご応募お待ちしております。

タグ TAG