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リフォーム

これで冬も暖か!DIY断熱リフォームで家を暖めよう

2020.10.28


エアコンなどの暖房器具を使っているのに、なかなか部屋が暖まらず、底冷えする寒さを感じることはないでしょうか。家が老朽化して隙間風が入り込むからだと思われがちですが、実は家の中の断熱対策によって改善できる可能性があります。

屋根、壁、窓、床下など、場所によって熱の伝わり方が異なるので、家の中が冷える原因を知り適切な断熱対策をすることで、家の中をより快適にすることができるかもしれません。冬場を暖かく過ごすための効果的な断熱リフォームをご紹介します。

冬に家が寒くなる原因

暖房器具を使っていても、何故か肌寒い……と感じる場合は、外気の冷えが伝わってしまっていることが原因です。家の中から暖房器具で暖めるだけでなく、外気の冷えが家の中に伝わっている原因を特定して、そこに断熱対策を施すことで効果的に家の中を暖めることができます。

窓やドアの歪みや劣化による隙間風

部屋の気密性が低いと外気が入り込みやすくなり、せっかく部屋を暖めても暖房効果が落ちて冷えを感じたり、光熱費が高くなる原因になります。特に窓のサッシや扉などの開口部は、経年劣化や地震によって枠に歪みが生じたり、気密性を高めるためのゴムが劣化することで隙間が空き、冷気が入り込む原因になりやすい場所です。
日常的に見ている分には分からない程度の隙間でも、空気は冷たいところから暖かいところへ流れる性質がありますので、冷気が入り込むことで寒さを感じるようになります。

部屋の空気が冷える「コールドドラフト現象」

上記のようにぱっと見ただけでは隙間が空いているか分からない場所でも、部屋の隙間から冷気が入り込んでいるような感覚をおぼえることがあります。その場合は、エアコンなどの暖房器具で暖めた風が外気で冷えた窓にあたり、冷気になって下に流れ足元が冷える「コールドドラフト現象」かもしれません。エアコンの暖かい風を直接窓に当たらないようにする等、室内に冷気がつたわりにくくするような工夫が必要です。

家の断熱性能が低い

当然ですが窓、床、壁、天井など家全体の断熱性能が低いと冷たい外気が部屋に入り込み、冷えやすくなります。特に部屋の冷気や暖気は全体の50%~70%が窓から出入りをしているといわれていますので、他の部分に断熱材を使用していても、窓サッシが断熱性能の低いアルミサッシなどの場合、断熱効果が低くなってしまうので注意が必要です。

窓の場合は断熱効果のある樹脂サッシにすることによって窓の断熱性能を改善する効果がありますので、床、壁、天井の断熱材の使用とあわせて、窓から冷気が侵入しないような対策を行いましょう。

断熱工法が気候に合っていない

築年数が経っている住宅に限らず、新築住宅であっても、適切に断熱材が設置されていないことがあります。断熱性能が著しく低いと感じた場合は、家の外側か内側のどちらに断熱材が設置されているか、一度、専門家に依頼して確認するのも良いでしょう。

例えば鉄筋コンクリート造の建物の場合、断熱工法は断熱材を設置する場所によって外断熱と内断熱に分かれます。外断熱は柱より外側に断熱材を設置して、家全体を包み込むようなイメージの工法です。柱と外壁の間に断熱材を設置するため気密性が高くなり、暖房効率が良いため寒冷地で特に使用されますが、換気が必要になります。また、建築時の費用が高くなりやすいのも外断熱です。

一方で、柱と間柱の間に断熱材を入れる内断熱は、断熱材の設置工法で多く使われ比較的に設置が簡単で費用もおさえられますが、外気の気温が急激に下がると部屋内部との温度差で、結露が生じる場合があります。

どちらもメリットとデメリットがありますので一概には言えませんが、住んでいる地域の気候に対して断熱工法が合っていないと、断熱材を入れていても性能が追い付かず肌寒く感じる原因になるのです。

断熱リフォームの費用相場と工期

断熱リフォームを検討する場合は地域の気候や予算を見ながら、工法や材料を選ぶ必要があります。住んでいる地域で必要な断熱性能や、費用と照らし合わせながら施工内容を検討しましょう。

壁・屋根の断熱リフォーム費用と工期

 

■壁の断熱リフォーム

断熱リフォームには、大きく分けて「外断熱工法(外張り断熱工法)」と「内断熱工法(充填断熱工法)」の2つの工法があります。

・鉄筋コンクリートの住宅の場合

コンクリート躯体の外側に断熱材を接着させる「外断熱工法」と内側から接着させる「内断熱工法」があります。コンクリートは熱を通しやすい特性があるので、地域や気候によって選択する必要があります。内断熱の場合、屋外の冷気がコンクリートに直接伝わるので、室内の暖かい湿った空気が冷やされて、コンクリート内部に結露が発生しやすくなる特性があります。一般的にはコンクリート躯体を外側からおおうことで、熱を通さないようにする外断熱が採用されます。外断熱は、断熱材を設置する工法が「湿式工法」と「乾式工法」の2種類あります。

湿式工法は、断熱材をコンクリートに接着させる工法で、比較的に温暖な地域で採用される一般的な工法です。乾式工法は、接着した断熱材と外壁材の間に通気層を作って、乾燥させる機能があります。内部結露が生じやすい寒冷地などで使用されることがあります。

・木造住宅や鉄骨住宅の場合

壁の外側に断熱材を張り付ける外張断熱工法と、柱間に断熱材を充填する充填断熱工法があります。外張断熱工法の設置方法は、壁の外側からプラスチック系の断熱材を設置します。充填断熱工法は、機械で壁の内側から発砲ウレタンフォームを設置する「吹込み工法」と断熱材と合板がセットになった材料を設置する「パネル工法」の2種類があります。

更に断熱性能を上げる場合は、内断熱に壁の外側もしくは、内側から断熱材を追加する付加断熱工法もあります。ただ、断熱材の厚みによってコストも高くなるので、地域や気候によって検討する必要があります。寒冷地ではなく、比較的に温暖な地域の場合、充填断熱工法が採用されることが一般的です。


他にも、断熱材を入れずに断熱効果のある塗料で外壁を塗装する方法もあります。その場合、費用は50万~80万程ですが、足場や外壁洗浄を含めると100万を超える場合があります。

■屋根・天井の断熱リフォーム

部屋の天井部分の断熱性能を高めるには、屋根断熱と天井断熱がありますが、リフォームすることで、どのような効果が得られるか、費用や工期をあわせてご紹介します。

・屋根断熱

屋根断熱は、屋根の内側にグラスウール、ロックウール、発泡プラスチックなどの断熱材を設置します。小屋裏収納がある場合は、熱で収納物が変形してしまうこともあるため、断熱性能が低い場合は特にリフォームが必要です。

屋根の断熱リフォームは充填断熱工法と外張り断熱工法があります。

・天井断熱

天井断熱は、部屋の天井部分に断熱材を設置します。断熱材が設置されていないと、エアコンで部屋を暖めても、熱が天井から屋根に向けて逃げてしまいます。屋根断熱されていない場合は、断熱材の暑さを壁の断熱材の2倍にして設置することが一般的です。天井断熱を施工する場合、屋根の形状によって断熱材の施工方法を選びます。

床下の断熱リフォーム費用と工期

エアコンで部屋を暖めても、冷気が下に対流する性質があるので、床断熱の性能が低いと寒さを感じやすくなります。戸建て住宅の場合は床材を剥がさずに床下から断熱材を入れることもできるため、その場合の工期は1~2日と比較的負担が少なく設置ができることも。専門業者にお願いする際の費用の目安は、4LDK(100平米)の戸建て住宅のフローリングをリフォームした場合、40万~80万程です。

窓リフォーム費用と工期

窓の断熱性能を高めるためには、窓ガラスやサッシを断熱性能の高いものに変更するリフォームだけでなく内窓の設置リフォームも検討しましょう。

サッシを断熱性能の高い樹脂のものに交換したり、窓ガラスを複層ガラスに変更することでも断熱性能は向上しますが、マンションでは窓やサッシの半分が共用部にあたるため変更が難しいことや窓自体の断熱性能がそれなりにある場合は、内窓の設置の方が効果を感じられる場合もあります。

手軽にできる断熱リフォーム方法

現在は便利なDIYグッズもありますので専門の会社に依頼せずに、DIYで断熱リフォームをするという方法もあります。本格的なリフォームは費用面で難しい……という方でも、すぐに手に入る材料で断熱性能を上げることができる方法をご紹介します。

窓・窓枠の断熱DIY方法

部屋の暖かい空気の多くは窓から外に流出する特性がありますので、窓やサッシの隙間をふさいだり外から冷気が伝わらないようなDIYで断熱性能を高めることができます。

■断熱シートを貼る

窓ガラスに断熱シートを貼り空気の層を人工的に作って冷気の侵入を防ぐことで、室温が一定に保ちやすくなります。ただし、完全に冷気の侵入を防ぐことはできないので、窓ガラスの表面やサッシの下に結露が付着することもありますので結露が発生した場合は、タオルなどで拭き取るようにしましょう。

■隙間テープ

サッシがゆがんだり耐熱性能を高めるためのゴムが経年劣化している場合は、窓とサッシにある隙間をテープでふさぐことで、冷気が入りにくくなります。サッシ枠用の隙間テープは100円ショップやホームセンターなどでも手に入れることができますので、手軽にできる方法ですね。隙間が見える部分だけでなく、サッシ枠のレール部分と建枠部分の上下左右に貼るとより断熱性能を高めることができます。

■カーテン

ベランダや庭に出られるような窓はサイズが大きく、外の冷気にふれるので、室温に影響を与えやすい箇所です。窓自体の断熱性能を高めるだけでなく、断熱効果が高いカーテンを使うことで、部屋の空気が窓に接触して室温の低下を防ぐ効果があります。

床の断熱DIY方法

床についても熱を通しにくい素材を敷くことで、床下からの冷気の侵入を防ぐことができます。

■コルクマット、ウレタンマット

子どものケガ防止にキッズスペースで使われていることもあるコルクマットやウレタンマットですが、一定の断熱効果もあります。縦横 約45cmで1ピースずつのジョイント式や部屋の畳数で販売しているので、リビングや寝室など滞在時間が長い部屋に敷いておくといいかもしれません。軽くて取り外しできるので、万が一汚してしまっても掃除が簡単です。

■カーペット

カーペットを保温性の高いものに変えることでも足元の断熱効果が上がります。特にウール製のカーペットは繊維の表面に空気の層が多く、断熱性能と保温性が高い素材です。最近のカーペット素材は、衝撃吸収、防音、撥水、滑り止めなどの高機能な商品もありますので、他の機能が付いたものを選んでも良いでしょう。

既存のカーペットを使う場合もカーペットの下にアルミシートを敷いたりすることで、保温性が向上して暖かく過ごせます。より、効果を高めたい場合は、セットで対策すると効果的です。

壁の断熱リフォーム方法

壁材自体を変えることは難しくとも、断熱効果のある壁紙を既存の壁紙の上から貼ることでも部屋の模様替えをする感覚で、断熱リフォームができます。本格的な壁紙の張替えは、既存の壁紙を剥がすので専門技術が必要ですが、断熱効果のあるシールタイプの壁紙ならば専門的な技術や知識はいりません。部屋の模様替えとあわせて張り替えを行うと楽しく断熱リフォームできます。クッションタイプのものであれば、小さな子供が壁にぶつかっても安心など壁紙にも機能がありますので柄だけでなく機能も見て選ぶと良いのではないでしょうか。

風呂や洗面室

風呂や洗面室は着替えや入浴で薄着のことが多いうえ、換気用の小さな窓から入り込んだ冷気で冷え込みやすい場所でもあります。冷気が入り込む窓の断熱対策で冷え込みを緩和しましょう。

■窓にプラスチック段ボール(プラベニヤ)をはめこむ

浴室の冷えは主に外気と接する窓から冷気が入り込んだり、温かい浴室内の空気が冷えた窓で冷やされることが原因として考えられます。そこで、窓枠より少し大きめにカットしたプラスチック段ボール(プラベニヤ)などをはめ込み、浴室内の空気が窓に触れないようにすることや冷気の侵入を防ぐことで冷え込みの緩和が可能です。可能であれば2枚重ねてはめ込むとより高い断熱効果が期待できるでしょう。

■シャワーカーテンを窓に設置する

突っ張り棒などで長さを調節して、窓枠より少し大きめのシャワーカーテンを設置します。プラスチック段ボールの断熱効果が十分にあれば不要ですが、冷気の侵入がおさえられない場合、冷気が漏れてこないように設置します。

まとめ

断熱リフォームは費用が高くて工事の期間が長くなるイメージがありますが、部分的にリフォームをすることや自分で楽しんで出来るDIYから始めることで費用を抑えることができます。毎年冬の寒さに悩まされることもありますが、効果的な断熱リフォームと自分でできる対策を知っておくことで、自分で対応できる箇所と専門家に依頼すべき箇所を判断することが快適な住まいにするための第一歩です。

断熱は冬場だけでなく夏場の冷房効率を高めることにもつながりますので、快適な住まいの確保のため、自分でできる対策とともに必要に応じて専門家への相談を行いましょう。

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