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大規模修繕工事が始まる! そんなとき私は何をすればいいの?

2017.12.26

新築でマンションを購入してから時が経ち……管理組合から、大規模修繕工事が始まると連絡がきたけれど「私は、一体何をすればいいの?」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。初めての大規模修繕工事であれば「住んでいるところで工事って、何が起こるの……?」と思いますよね。誰だって経験のないことは不安なもの。でもあらかじめ日常生活の何が変わるのかを分かっていれば、安心して大規模修繕工事を迎えられます。今回は大規模修繕工事で居住者がすべきことや、注意点をご紹介したいと思います。

1.工事説明会に参加する

大規模修繕工事の際は、必ずといってよいほど工事説明会(着工前説明会)が開かれます。工事説明会では工事に携わる人から工事内容や注意点について説明があります。この時に、駐輪場や駐車場を利用中の自転車や車に対して移動の依頼があったり、通行制限についての説明があったりしますので、必ず出席しましょう。また、工事に関わる人がどのような人なのかを見る機会にもなります。安全対策やその他設備のことで不安な点があればその場で質問することもできますので、安心して大規模修繕工事にのぞめます。なお、工事説明会では、あらかじめ以下のポイントをおさえておけば安心です。

工事説明会で知っておきたいポイント


①車や自転車の移動場所
車をよく利用する人が確認すべきなのが、車の移動についてです。足場が駐車場にはみ出る場合や資材の搬出・搬入経路としてスペースの確保が必要な場合は、一定区画の車や自転車を一時的に、もしくは全工期中の移動を依頼される場合があります。マンションの敷地内や近隣の月極駐車場への移動が一般的ですが、身体が不自由などの理由で移動が困難な場合は、早めに相談することをおすすめします。

 ②荷物を置いてはいけない場所
大規模修繕工事は工事内容によって、玄関前やバルコニー内の荷物を室内に保管する必要があります。バルコニーは基本的に何もない状態にしなければなりません。廊下側が施工範囲に入るかどうかは劣化具合によりますので、廊下を片付ける必要があるのか、荷物を一時保管できる移動場所があるのかなどを確認しておきましょう。すべて屋内保管の場合もあれば、マンション内のスペースに置き場を設けてくれる場合もあります。

工事中の植木鉢の置き場について

③木鉢置き場の場所
バルコニーの荷物を片付ける際に困るのが植木鉢。屋内に置いておくと枯れそうで不安……という人のために、マンション内のどこかのスペースに余裕があれば、植木鉢置き場が設けられる場合もあります。戸数が多いマンションでは1世帯当たりの置ける鉢数が決まっていることもありますので、植木鉢の多い方は個数も含めて確認をした方がよいでしょう。

2.防犯対策をする

大規模修繕工事で怖いのが不審者の侵入です。普段は窓を開けて外出したとしても、5階までのぼって、ベランダから進入する不審者というのは滅多にいないと思いますが、大規模修繕工事中で足場がかかっている状態だと話は違います。足場がかかっている際は、以下のような注意点を確認しておきましょう。

足場がかかっている際の注意事項


①窓は必ず補助錠までつけよう
普段、高層階に住んでいる方は、出かけるときに窓を少し開けておくこともあるかもしれませんが、大規模修繕工事中は絶対にNGです。なぜならいくら足場の出入口の防犯対策をしていても、足場についている侵入防止フェンスをよじ登られたり、足場を覆っているメッシュシートを切られてしまい、足場内へ不審者が侵入してくる可能性があるからです。外出時は必ず窓の施錠を確認し、在宅時に窓を閉める際も、補助錠を使用して防犯対策をしっかり行いましょう。

②子どもやペットが足場にのぼらないように注意しよう
大規模修繕工事中は、ベランダの外にいつもはない足場があるというだけで、子どもが興味をもってしまいますよね。足場上の安全対策は大人がのぼることしか想定されていませんので、子どもがのぼってしまうと大人よりもはるかに危険です。バルコニーから小さなお子さまが足場に上がれそうなものは工事がはじまったらすぐに撤去しましょう。また足場は近寄ってはいけない本当に怖い場所だということをお子さまに刷り込むことも必要です。同様に犬や猫をベランダに出している方も注意が必要です。普段と同じようにベランダに出すと、足場を伝ってよそのお宅に行ってしまう可能性があります。大規模修繕工事中は塗料塗りたての可能性があったり、作業員が入ってきたりと心配要素が多くなりますので、ベランダへ出すことはおすすめしません。

3.バルコニーの荷物を片付ける

工事が始まったらバルコニーの荷物は早めに片付けてしまいましょう。「少しの私物なら残しておいても問題ないですよ」といわれる場合もありますが、その残した私物を移動させながら工事が進むので作業の手間を取らせますし、塗料などで汚されてしまう可能性もゼロではありませんので、私物はできる限り片付けましょう。それでも、なかには片付けに困るものもがあった場合……そんなときはどうすればいいのでしょうか。

バルコニーに片づけに困る私物がある場合


①床敷きタイルがある
マンション購入時に床敷きタイルをひいたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。大規模修繕工事の際はタイルの下の床を工事するので、床敷きタイルも撤去の対象となることがほとんどです。床敷きタイルは基本的に撤去を行い、敷きなおしが可能な場合には室内保管をしておき、工事が終わった後に敷きなおします。この際、自分で行うことが難しい場合には施工会社に相談すると別の専門会社を紹介してくれたり、オプション工事として施工してくれたりします。困ったときは、まず相談してみましょう。

②室内への移動が難しい物置などがある
ベランダを普段から物置場として使っていて、大きな物置が置いてあったり、替えのタイヤが置いてあるので室内で保管するのは難しいという場合は、施工会社に相談すると足場に固定して保管してくれたり、移動を手伝ったりしてくれます。スチール物置などは中身だけ室内保管になる場合もありますので、この際いらないものは捨てて、できるだけ物の量を減らしておいたほうがよいでしょう。

③処分したいものがある
普段はあまり手をつけることがないベランダですが、いざ片付けようとしたらいらないものがたくさんでてきた……ということもあるのではないでしょうか。ベランダの広さに比例して不用品の量も増える傾向があるようですが、各家庭では運ぶのが難しいものがでてきたりもします。そんなときには、施工会社に相談してみると、運搬を手伝ってくれたりそこまで大きいものでなければ処分してくれたりもしますので、一度聞いてみるのも手かもしれません。

4.洗濯物は掲示板などを確認してから干す

工事用掲示板を確認しよう

大規模修繕工事中に一番困るのが洗濯物です。作業がベランダで行われる日は粉塵が飛んでしまったり、塗料が付いてしまったりということもあるので、洗濯物を干すことができなくなります。そのためマンションのエントランスなどに設置される工事用掲示板で通知されたり、最近では専用ホームページで洗濯物が干せる日かどうかを確認することができることもあります。作業内容によっては1週間近く洗濯物が干せなくなることもあるので、室内干し用の便利グッズを用意したり、コインランドリーを利用したりしてうまくこの期間を乗り切りましょう。

5.網戸をはずす

ベランダの窓に付いている網戸もはずす必要もでてきます。なぜならば網戸は窓よりも外側にあるため、窓枠のシーリング打ち替え工事の際に網戸があると施工ができないからです。網戸のはずし方は色々ありますが、網戸をはずすタイミングになったら、網戸のはずし方が記されたお知らせチラシが配られるので、工具としてドライバーだけ用意しておけば一人でも簡単にはずせることがほとんどです。もしも網戸の開閉が硬すぎたり、がっちりはまってしまっていてうまく取れない場合は、施工会社に相談してはずしてもらいましょう。

いい工事は協力から

大規模修繕工事は面倒なことが多いですが、居住者と工事に関わるすべての会社が協力してこそできるもの。意外と居住者がすべきことが多いなと感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、居住者の協力があってこそ、より高い品質の工事が期待できます。大規模修繕工事で使われるのは居住者のみなさんが毎月支払っている修繕積立金です。修繕積立金を無駄にしないためにも大規模修繕工事に関心を持ち、積極的に大規模修繕工事に参加していきたいですよね。また、どの項目にも共通していえることは「困ったら現場事務所へ問い合わせる」という点です。慣れない大規模修繕工事で不安なまま過ごすよりは、少しでも快適に過ごせるよう、分からないことがあれば現場事務所へ問い合わせましょう。

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