住まいの今と未来をつたえる

暮らし

6月27日は「日照権」の日!梅雨時で洗濯物の日向干しができないときの対策方法とは

2019.06.19


6月27日は『日照権の日』です。この梅雨の季節、頭を悩まされる家事の一つ「洗濯」。天気が良い日を狙って洗濯をしたり、布団などの大きなものは休日に日当たりの良い場所に干そう!と思っていても洗濯をしたいタイミングの天気予報がイマイチだったりといった経験をされた方も多いことでしょう。この機会に、日照権の日の由来や日照権の中身について、そして梅雨時に多くなりがちな「陰干し(や部屋干し)」についての対策方法を紹介します。

日照権の日


「日照権の日」がなぜ6月27日に制定されているかをご存知ですか?

日本では地震に強い高層ビルの建築技術が普及し、1960年代に建築物の高さ制限がなくなったことをきっかけに中高層マンションなどの背の高い建物が多く建てられるようになりました。しかしそれに伴い、建築された建物によって影になってしまった近隣住民と建設業者との間に日照権の侵害をめぐっての確執も増えていったのです。それまでは「日照権・通風権」というものは確立されておらず明確な基準がなかったため、中高層の建築物による日照妨害の被害がどんどん生じるようになったようです。

その後、1972(昭和47)年6月27日に違法に建てられた隣家により日照が奪われた問題の裁判において、“日照権と通風権は、人々が健康的に暮らせるように必要なものであり、法的に守られる対象である”という初めての判決が最高裁で出され、「日照権・通風権」が確立しました。このことから6月27日が日照権の日となったのです。

そもそも日照権って何?


日照権とは、「建築物の日当たりを確保して健康的な生活を送る権利」のことです。

日照権は法律や条文によって直接規定されているものではないですが、すでに多くの判例で認められており、保護されるべき権利として確立した権利であると言えます。例えば、近隣にマンションなど高層の建築物が建てられ、日当たりが阻害されることが予想される場合にその建築物が違法であると判断された場合は、建築差し止め請求や損害賠償請求が認められる可能性があります。

そのため、建築基準法では日照の確保等による周辺の居住環境保護のために建築物の高さに次のような基準を設けています。

1.斜線制限
斜線制限とは、採光や通風に支障を来たさないように建築物の高さを規制するものです。その中でも特に重要といわれるのが北側斜線制限で、二種低層住居専用地域や中高層住居専用地域といった住居系の用途地域に適用され、建物を建築する土地の北側の日照等を確保するために設けられているものです。


引用:国交省サイト掲載資料より https://www.mlit.go.jp/common/001053577.pdf

2.日影規制
日影規制は、対象となるエリア内に中高層の建築物を建てる場合において、そのエリア外への日影時間を一定時間以下となるように規制を設けたものです。敷地境界線から一定の距離を超える範囲に対し、条例で指定された一定時間以上の日影を生じさせないように建築物の形態を規制しています。


引用:国交省サイト掲載資料より https://www.mlit.go.jp/common/001053577.pdf

用途地域により異なる基準


斜線制限や日影規制等の基準は、建築物が建てられるエリアの「用途地域」によって異なります。
住環境が優先される住居系用途地域と異なり、工業地域や商業地域といった住環境よりも経済的な利便性が求められるエリアでは日影規制は適用されていません。日照を保護する必要性が比較的小さいと考えられているためです。

基準以内でも違法と判断される場合も


斜線制限や日影規制は形式的に定められた基準であり、建築物がこれらの基準に適合していても日照権の違法侵害であると認められる場合もあります。地域の実情や現実的な利用状況等を総合的に判断し、基準に適合していても被害者が受ける不利益が社会生活上として一般的な受忍限度を超えている場合は違法と判断された例も。日照権は自分の身に降りかかってみないと触れる機会がありませんが、生活を送るうえで日当たりは重要な要素となります。自分の身に起こる前に日照権について知識があったほうが良いのではないでしょうか。

さて、ここまでは日照権についての豆知識を紹介しましたが、6月は梅雨時ということもあり日当たりがほかの建物に阻害されなくても日が出ない日が続きます。洗濯物は乾かず、布団は干せず、湿度は高い、と太陽が恋しくなる季節ですが、ここからは6月の梅雨の季節に絡めて「洗濯(特にこの時期は日向干しができずに多くなりがちな陰干しや部屋干し)」についての豆知識を紹介していきます。

陰干し・部屋干しで気になる臭いの対策方法とは?


普段日が当たる場所でも梅雨の季節では外では干せずに室内干しとなったり、外に干せたとしても日光があたらず陰干しとなる日が多くなりがちです。さて、そのような状況で洗濯物を干す際に付いて回るのが「臭い」の問題。洗濯した衣類が臭くなってしまうのは生乾きによる雑菌の繁殖が原因です。室内干しや陰干しは日光が当たらないためにどうしても乾くまでに時間がかかることで雑菌が繁殖しやすく臭くなってしまいがちですが、対策をすればその臭いを軽減することもできるのです。

対策方法として一番に押さえておきたいポイントは、「洗濯物が“完全に乾いた”ことを確認してから取り込む」ということです!

生乾きのまま取り込んでしまった洗濯物には湿気が残っており、色々な雑菌も一緒に残っています。その雑菌が残った湿気でさらに繁殖し、嫌な臭いを発生させる原因となっているのです。「まだ乾ききっていないけど乾くまで待てないから取り込んでしまいたい」と思っても我慢して、洗濯物を完全に乾かしてから取り込みましょうね。

その他の対策方法


・エアコンや扇風機、サーキュレーターを使用する
衣類乾燥除湿機があればもちろん良いですが、無い場合でも部屋干しするときにはエアコンや扇風機、サーキュレーターを使用することで風通しを良くして早く乾かすことができます。

・アイロンをかけてから干す
アイロン掛けをすることができる衣類等の場合は、スチーム機能オフの状態で先にアイロンを掛けてから干すとで水分が蒸発するので乾きが早くなりますし、シワ予防にも効果が期待できます。

・防臭効果のある洗剤等を使用する
生乾き臭を防ぐために防臭効果のある洗剤や柔軟剤も多く販売されています。抗菌効果の高い商品も多く販売されていますので、好みの商品を選んでください。

日向干しではなく陰干しをしたほうが良いものもある


“洗濯物は天日干しが一番!”と考えている方もいると思いますが、実は、“陰干しをしたほうが良いもの”もあるのです。太陽光には殺菌力があり雑菌の繁殖を抑える効果が期待できる反面、紫外線や遠赤外線による衣類に傷みや色落ちの可能性が。つまり、おしゃれ着専用洗剤で洗うようなデリケートな洋服は陰干しをしたほうが良いと言われています。そのような衣類は洗濯表示を見てみると陰干しが推奨されていることもあるのです。

陰干しをしたほうが良い衣類


・シルク(絹) 紫外線によって黄色く変色しやすくなります
・麻や綿、ウール(毛) 日光によって生地が傷みやすくなります
・ナイロン 紫外線によって生地の変色や生地強度が落ちやすくなります
・色柄物 色落ちしやすくなります

この他にも陰干しをしたほうが良い理由として“衣類の着心地を保つ”ためという点があります。天日干しをしたら洋服が固くカサカサになって着心地が悪くなったという経験をはありませんか。陰干しであれば太陽による生地の傷みを抑えて洋服を着たときのゴワゴワやカサカサといった不快感を感じることも防ぐことができます。

衣類以外でも陰干ししたほうが良いものとしては布団が挙げられます。特に「羽毛布団」と「羊毛布団」を使われている方は陰干しをしたほうが良いでしょう。日向干しで日光のような高温にさらされると動物の毛でできた繊維は壊れやすく、劣化を早める原因となってしまいます。さらに“布団を叩く”と繊維が壊れて寿命を短くしてしまいますので、羽毛布団と羊毛布団を使われている方は「陰干しで叩かずに干す」ようにしましょう。

まとめ:みんなが気持ちよく暮らせるように思いやりを持って過ごしましょう


洗濯物であれば全部まとめて天日干しにしてしまっていたり、羽毛布団をバンバンと叩いて寿命を短くしてしまっていたりと、これまで知らぬ間にうっかりとやってしまっていたことがあった人もいるのではないでしょうか。きちんとした方法で大切に扱うことで、それを着用・使う人の気持ち良さが変わるだけでなく、お気に入りのものを長く愛用できることにも繋がりますよね。

建物建築についても同様で、自分のことだけを考えて建築して周辺住民の方と揉めながら過ごすハメにならぬように、周辺の方と楽しくお付き合いをしながら過ごすことのできる環境を目指した家づくり・建物づくりをしていきたいですね。

「日照権の日」を通じて、日々の暮らしや住まいについて考える時間を設けてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせはこちら

タグ TAG