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マンション共用部をバリアフリーにしたい!必要な手続きとお金の話

2019.04.15

高齢化が進む現代。住居のバリアフリー化を希望する人が増える一方で、工事に必要な手続きや、必要な金額がいくらなのか、分からない事も多いものです。マンションの、特に共用スペースのバリアフリー化ともなると、そもそも可能かどうかすら判断がつきません。戸建の工事であれば情報もたくさんありますが、マンションの場合は中々想定しづらい事も多く、工事自体を諦めてしまうなんて人も多いのではないでしょうか。しかし、たとえマンションの共用スペースであっても、バリアフリー工事が不可能なわけではありません。マンションのバリアフリー化に伴う手続きや、必要な金額など様々な情報をご紹介します。

マンション共用部の変更に必要な手続き


そもそもマンションの共用部をバリアフリー化する事は可能なのでしょうか。先に結論を述べると、共用部の変更は可能です。ただし、その工事が共用部の形状または効用の著しい変更を伴う場合と、軽微な変更である場合とで必要な手続きが異なってきます。共有部分の形状の著しい変更としては、共有部分を改装してエレベーター室へと変更する事、また効用の変更としては、集会室を改造して店舗へ転用する事などの例が挙げられます。これは区分所有法17条と18条の違い(大規模変更を伴う際は17条を、軽微の変更は18条が適用される)によっても区分されており、変更を考えている際はどちらの条文が適用されるかを考える必要があるのです。

まず、著しい変更を伴う際は管理組合を通して特別決議を開き、区分所有者および投票によって3/4以上の賛成を得るなど、区分所有法によって定められた手続きをする必要があります。(3/4以上という数字は管理規約により過半数まで下げる事も可能。)更に専用部分にも影響が出るなどの場合は、これらの賛成票の他、専用部所有者の承諾を得る必要もあります。一方、共有部分における工事が必要であり、且つその工事が軽微な変更を伴うものである場合は、管理組合集会を開き、区分所有者に決議を取る必要があります。

ただし、先に挙げた決議が3/4以上の賛成票を得なければ決定出来なかったのに対し、軽微変更の場合は過半数以上の賛成数でも認められるという点に違いがあります。また、特定の種類の軽微工事であれば特に決議を取る必要もなく、管理組合の判断のみで工事を行える規約を設ける事も可能です。バリアフリー工事については、例えば階段にスロープを併設するなどの工事を行う場合は普通決議を、エレベーターを新設するなどの場合には特別決議を要する可能性があります。マンションによっても、取り付けたい設備によっても、どの程度の規模の工事になるのかはマンションごとに状況が変わります。

マンションのバリアフリー化に必要な金額


マンションのバリアフリーと聞くと戸建と比較した場合にあまりイメージが沸かないかもしれません。マンションの個室であれば戸建てとそう変わらないのかと想像出来ますが、共用スペースの工事にもなれば一体いくらかかるのか、想像できないですよね。マンションの共用スペースも含めたバリアフリー工事の費用面について紹介します。まず共用スペースの工事例としては、床面をノンスリップ化する、点字ブロックを設置する、エレベーターを新設する、外部入り口を拡張させるといった事例が挙げられます。費用面についての例を挙げると、入り口付近のスロープの設置と10か所の段差解消を含めた工事で計350万円。スロープ設置を滑り止め用タイルのついたスロープ1か所設置した例で250万円~400万円。またエントランス(3箇所)のノンスリップ化と段差のスロープ取り付け、手すり設置を合わせて150万円程度。エレベーターの新設(4人乗り・車いす対応・各階停止・地震対応)で2300万円かかったという事例もあります。

個室内のバリアフリー工事に多くある事例として、室内のドアを引き戸にかえる、室内の段差を解消する、浴槽などの段差や手すりの取り付け、廊下の手すり取り付け、床材を滑りにくく柔らかな素材に変更するなどの工事が挙げられます。マンション個室内でバリアフリーを考えると、最も安くて5万円前後で出来る工事として手すりの取り付けなどが挙げられます。手すりの取り付けだけであれば手すり代が2万円、設置や補強代が3万円程度であり、大体が5万円程度で済みます。次に10万~20万円程度の工事として挙げられるのが、引き戸に交換するなどのリフォーム。車いすなどの生活であれば、扉を開閉させるだけでも重労働ですが、引き戸にすれば必要最低限の力で、また車いすでの移動も便利です。50万円~100万円程度であれば、だいたい浴槽のリフォームに充てる事が出来ます。身体に不自由を抱えている人にとっては浴槽はどこよりも悩みの種。扉の交換や床の張替え、手すりの取り付けや開口部の拡張工事によって、より安全性の高い浴槽に変更する事が可能です。100万円以上の工事は、室内でのエレベーターの工事などがこれにあたります。

バリアフリー化に利用できる地方公共団体の補助制度


高齢化が進む現代では、マンションのバリアフリー工事は年々増加の傾向にあると言えます。同居家族から介護や支援を受けて生活が出来るならばまだしも、一人暮らしをされている高齢者にとっては、毎日の生活で不便に感じる事は決して少なくありません。特にマンションの上階に住んでいる方にとっては、ほんの少しの外出すら深刻な問題となり得ます。自分の老後をより安全に、安心して過ごせるようにと、今では40代や50代でバリアフリー工事を依頼する人もいるほど。こうした背景もあり、今後も更に増加の傾向が続く事が予想されるマンションのバリアフリー化ですが、費用面は出来る限り安く抑えたいものです。

そんな方はぜひ地方公共団体や国から出ている補助制度を利用してみましょう。実は、殆どの地方公共団体が工事に伴う補助制度を設けており、ネットから自分が住んでいる地域がどういった補助制度を設けているのかを簡単に検索する事が可能です。例を挙げると、江東区のマンション共同スペースの改修援助を目的とした「マンション共用部分リフォーム支援・利子補給制度」、文京区の「マンション共用部分改修費助成」、墨田区の「分譲マンション共用部分リフォームローン償還助成」、東京都以外でも、例えば神戸市では共用スペースの改修工事の一部補助などを行っています。各自治体にはそれぞれ特徴をもった制度が存在します。審査基準も対象となる支援分類も、各自治体ともに異なりますので、詳細については各自治体に直接問い合わせてみてください。また、バリアフリー以外にも、耐震に関しては国から補助される制度も設けられています。例えば、住宅・建築物安全ストック形成事業と呼ばれる補助制度は、耐震改修などを促進させる為に設けられている制度であり、国が地方公共団体に対し耐震改修工事の費用の数割を負担するというもの。これらの助成金を上手く利用し、難しいバリアフリー化も実現可能です。ご活用ください。

共用部のバリアフリー化で長く住める住まいへ


高齢化社会が進むにつれて平均寿命も伸び、老後の期間が昔と比べて随分と長くなってきました。それに伴い老後をより豊かに、安心して暮らせるかどうかが重要視され始めています。より豊かな老後を過ごす為には、安全な生活を送る事が何よりも重要。バリアフリー化の流れはこうした時代の背景を受け、今後も増々伸びていくものと考えられます。戸建てであれば自分の好きなように工事が出来ますが、マンション住まいであればスペースも限られてくる上に、共有部分の工事ともなると分からない点が多く、腰が引けがちですよね。しかしバリアフリー工事であれば共用部分も思っている以上に許可がおりやすい上、地方公共団体から補助制度も受けられる可能性があります。マンション暮らしだからと諦めてしまう前に、工事が可能かどうか管理組合を通して確認し、検討してみるべきでしょう。長く住める住まいを確保する為には、行動する事が大事です。自分が動き辛くなってしまう前に、一度家族で検討される事をお勧めします。

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