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ペット不可→ペット可マンションに?変更に必要な管理組合の手続き

2019.03.20


以前はペット不可が当たり前だったマンションや団地ですが、昨今のペットブームで新築時からペット可の物件が増えてきています。それに伴い、新築時はペット不可だったマンションでも賃貸や分譲販売の選択肢を増やすため、ペット可に変更するマンションもあるのだそう。では、ペット不可の規約をペット可に変更する場合には、どのような手続きや対応が必要となるのでしょうか。ペット不可をペット可にした場合のメリット・デメリットとともに変更の方法を知っておきましょう。

ペット可マンションの動向

一昔前はマンションや団地といった集合住宅では犬や猫などの大きな動物は飼育できないことが当たり前の風潮でしたが、昨今のペットブームによりペット可の集合住宅も増えています。少し古いデータになりますが、(株)不動産経済研究所の調査によるとペット可のマンションは1990年代後半から増え始め2007年の段階では東京で販売された新築マンションのうち80%以上がペット可になったそう。ペットフード協会が行った平成30年度の全国犬猫飼育実態調査によると犬や猫を飼育している世帯率は約10%とのことですので、ペット可マンションに対する需要・供給はともに増えていると考えてよさそうです。

しかし、近年のペットブームをうけ新築マンションでは80%以上がペット可で販売されるようになっているものの、築20年以上のマンションなどではペット不可を規約に定めているマンションが多いようです。そんなマンションでペットを飼いたいという区分所有者が多くなったり、賃貸で貸し出している区分所有者からペット可で貸し出したいという声が上がったりした場合にはどのように対処すべきなのでしょうか。

ペット可マンションにするメリット・デメリット


今までペット不可のマンションであった場合、ペット可にするためには管理規約の変更が必要となりますが、管理規約を変更しペット可にすることによって下記のようなメリット・デメリットも考えられます。

メリット
・ペットを飼いたかった居住者がペットを飼えるようになる
・売却時、賃貸時ともに対象者の選択肢が増える

デメリット
・ペットにまつわる騒音・臭いなどのトラブルの発生
・ペットの散歩などで共用部を使用した場合の臭い・汚れなどの発生

このなかで特に注意すべきはペットを飼育している居住者とペットを飼育していない居住者間でのトラブルの発生です。管理規約に頭数制限や動物の大きさの制限をしていても、ペットが原因でトラブルになってしまう可能性はあります。よくあるトラブル事例としては

・鳴き声や足音がうるさい
・排泄物の臭いやペットの体臭がする
・規約違反がおきている
・マナーが守られていない

といったトラブルがありますが、こういったトラブルが大きくなってしまうと管理組合で対応しなければならなくなる場合もありますので注意が必要です。管理規約の変更自体は区分所有者の4分の3以上の賛成があればできますが、トラブルが起きないよう管理規約の変更の際にはペット可に反対の方の意見も尊重し、ペットを飼育される居住者も飼育していない居住者も皆が快適に過ごせるよう管理規約の変更だけでなく「飼育細則」を定めておきましょう。
飼育細則の一例としては下記のような細則があります。

1.動物の種類、大きさ、頭数を限定するもの
例1:うさぎ、小鳥、ハムスター等を基本とし犬または猫を飼育する場合には1世帯5㎏までの個体を2頭までとする。
例2:猛獣及び猛禽類の他、毒をもつ動物の飼育を禁ずる。

2.飼育している動物を管理組合で把握できるもの
例1:動物の飼育をする場合には理事会にその旨を申告し、承認を得なければならない。

3.飼育するうえでのルール
例1:ペットの飼育は専有部分のみで行い、ペットを共用部分に放さないこと。
例2:ペットを専有部分から外に連れ出す際には共用部分では専用のキャリーに入れるか抱きかかえ、共用部分を歩行させないこと。

4.違反者への措置
例1:飼育者が本細則事項や理事会からの指示に反する場合、理事長はその動物の飼育を禁止することができる。
例2:飼育禁止者は速やかに新たな飼い主を探すなど適切な措置をとり、再度動物を飼育してはならない。

5.マンションの実情に合わせた規定
例1:動物の飼育を許可された者は、管理組合指定の動物飼育を示すシールを玄関に貼付しなければならない。

ペット可マンションにするために必要な手続き

ペットの飼育可否については管理規約にて規定されているため、ペット不可のマンションからペット可のマンションに変更する場合にはマンション管理規約変更の手続きが必要になります。

1.理事会・専門委員会等での検討
管理規約の変更を行うに際して、理事会にて検討しましょう。世帯数が多かったり反対意見が強いなど、長期的な検討が必要と考えられる場合などは、必要に応じて専門委員会を立ち上げて検討を行う場合もあります。また、居住者へのアンケートも実施し、規約変更に伴う細則についての検討も行いましょう。

2.説明会の実施
規約を変更する前に理事会で検討した規約や細則について説明会を実施します。ペットの飼育に関するルールを周知するとともに、反対派の方にも理解を得られるようにしましょう。

3.総会での決議
規約の変更は総会での特別決議が必要です。特別決議は区分所有者の4分の3以上の出席および議決権の4分の3以上の賛成が必要となります。

4.規約の作成と広報
総会での決議が完了したら、変更した管理規約を全組合員に配布して周知します。賃貸物件として借りている世帯にも変更が伝わるよう、掲示板などを利用して工夫もしましょう。

皆が気持ちよく住めるマンションへ

分譲マンションの場合は、区分所有者が居住者の場合が多くなりますので生活環境が変わる管理規約の変更は住民の理解を得ることが第一となります。総会の決議で可決されてもその後居住者間トラブルを招かないよう、ペット反対派の方々の意見も反映させながら皆が納得して、よりよいマンションコミュニティに発展できるような規約・細則づくりを心がけましょう。

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