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毎月の修繕積立金の適正金額は?不足すると怖いマンション修繕積立金

2018.12.26


新築・中古に関わらず、マンションを購入する場合に、継続的にかかる費用のひとつとして見ておかなければならないのがマンション修繕積立金です。建物の安全性やマンションの資産価値の維持及び向上に必要となる大規模修繕工事や改修工事のために、区分所有者は全員毎月定められた額を納めなければなりませんが、近年修繕積立金が不足する懸念が高まっているマンションが増えていることなどが問題になっています。あなたのお住まいのマンションや購入予定のマンションでは、現在予定している修繕計画を実施できる修繕積立金が着実に積み立てられていたり、また、必要な修繕積立金の設定となっているでしょうか。今回は、修繕積立金が不足する理由、修繕積立金の適正額などについて紹介していきたいと思います。

社会問題化している修繕積立金不足はなぜ起こるのか?


マンション修繕積立金の不足により、マンション管理が危機的な状況に陥る可能性がある、というニュースを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。修繕積立金が不足してしまう理由を考えるにあたり、まずはマンション修繕積立金についてあらためてきちんと理解しておくことが大切です。分譲マンションを購入してから毎月発生する費用には、管理費と修繕積立金があります。マンションの共有部分の設備などを日常的に管理するための費用として使われる管理費に対し、十数年に一度といった頻度で行われる外壁や屋上などマンションの共有部分の長期的な機能維持のために行う、大規模修繕工事の準備資金として積み立てる費用が修繕積立金です。しかし、日本経済新聞社の調査によると、全国にあるマンションの約7割で、修繕積立金が国の指標とする水準に達していなかったのだそう。今後10年、20年と経過するにつれ、マンション管理業界の人手不足やバブル前後に建てられたマンションの老朽化などが影響し、マンションの管理事情はより深刻化していく可能性が高いとも言われていますし、修繕積立金に大きな関心が寄せられているテーマのひとつとなっていることは確かです。マンション修繕積立金が不足してしまう主な原因としては、次の2つがあげられます。1つ目は、大規模修繕工事や改修工事に対しての長期修繕計画が甘く設定されていたケースです。新築マンション販売時は購入希望者のマンション価格への印象をよくするために修繕積立金が低めに設定されているケースもあるようで、当初の設定からなかなか現実的な値上げをすることができずに、結果として修繕積立金が不足してしまうというケースも増えているようです。そして2つ目は、修繕積立金滞納者が増加してしまい、修繕積立金が不足してしまうケースとなっています。

修繕積立金が不足しているマンションはどうなる?


では、実際にマンション修繕積立金が不足してしまうと、マンションはどうなってしまうのでしょうか。修繕積立金が計画通りに積み立てられずに、修繕積立金の合計額が不足してしまうと、マンションの維持管理に必要な大規模修繕工事や改修工事を行うことができなくなってしまいます。そのため、建物を健全に維持管理することができなくなってしまい、築年数の経っているマンションでは漏水やタイルの剥落といった危険も伴うことに。また、日本のような地震大国では、耐震への対策を取っておくことも必要になりますので、お住まいのマンションの築年数や耐震性によっては、耐震補強工事が必要になることもあるかもしれません。
マンションに限らずあらゆる建物は経年劣化しますので、きちんとしたメンテナンスができないということは建物の老朽化を加速させることになってしまいます。必要な時期に、必要な箇所へ、必要な大規模修繕工事や改修工事を計画通りに行えなければ、マンションの外壁などの劣化による外観の美しさだけではなく、外壁の剥離補修や屋上の防水加工などのあらゆるメンテナンスができないことによる、断熱効果・遮音効果の低下や漏水などのリスクも高めてしまいます。また、マンション居住者の毎日の生活への快適性・安全面への影響はもちろん、エントランスをはじめとした設備の陳腐化や防犯面へも影響が出てしまう可能性も否定できません。あらゆる面でマイナスとなってしまうマンション修繕積立金不足を防ぐためには、住民の一人一人がマンション管理について真摯に向き合うことが大切となるのではないでしょうか。

適正な修繕積立金はいくら?相場と適正額を調べる方法


現在マンションにお住まいの方が毎月積み立てているマンション修繕積立金ですが、マンション管理と修繕積立金に関するニュースなどを聞き、自分が支払っている額が果たして適正な金額なのかなと不安に思っている方も少なくないのではないでしょうか。また、今後マンションの購入を予定している方でも不安に思っている方がいるかもしれません。マンション修繕積立金は、低すぎても高すぎてもよくないと言われているのをご存知でしょうか。低すぎる修繕積立金は前述したように、マンション居住者の毎日の暮らしに不安の影を落とす原因となってしまいますが、高すぎる修繕積立金の場合は、将来何らかの理由でマンションを売却しなければならない際など、購入者側の大きな不安材料となってしまう可能性が考えられます。さらに、修繕積立金があらかじめ低く設定されているマンションでは、今後大きく修繕積立金の値上げがされたり、大規模修繕工事の際の不足分に対して一時金が徴収されたりすることも考えられますので、毎月の修繕積立金が適正かどうかについて知っておくことは、区分所有者全員(=居住者全員)に関わってくると言えるのではないでしょうか。マンション修繕積立金の目安となる相場や適正額の計算方法については、国土交通生省が公表しているデータで確認することができますが、修繕積立金は建物の築年数が浅いほど低く、充実した設備を持つタワーマンションや大規模マンションでは高く設定されている傾向にあります。「専有床面積あたりの修繕積立金額」×「専有床面積(㎡)」+「機械式駐車場がある場合の加算額」で、目安となる修繕積立金の適正額を算出することができますが、15階建て未満のマンションでは180円から220円程度、20階建て以上のマンションでは210円前後が相場とされることが多くなっています。

まとめ

マンション修繕積立金が不足してしまう背景や、それに伴うリスクなどがお分かりいただけたと思います。マンションは大切な住まいであると同時に、ご家族にとっての大切な資産でもあります。あらゆる面でマイナスとなってしまうマンション修繕積立金の不足ですが、それにより引き起こされてしまうさまざまな状況は毎日の生活の上でも大きな不安となるだけではなく、マンションの資産価値をも下げてしまうことにもなりかねません。修繕積立金はマンション居住者の方が、自分たちの将来のために積み立てる大切な管理費用です。安心して快適に住むことのできるマンションを守るためには、管理組合の理事会任せにするのではなく、きちんとした大規模修繕工事と改修工事の計画が立てられているか、その長期修繕計画に沿った現実的な修繕積立金の額が定められているのかなどといった点をひとりひとりが考えることも大切です。ぜひマンションの住民みなさんで一丸となり、充実したマンションの維持管理に向けての一歩を踏み出されてみてはいかがでしょうか。

参考資料
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/ms_shinchiku/ms_knowhow/m0mss010/
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33697250R00C18A8TJ1000/
https://allabout.co.jp/gm/gc/451502/http://www.daiwa-shuzen.com/column/column15.html
https://www.sn-reform.co.jp/reform/facility/
https://www.snreform.co.jp/reform/renewal/
https://www.kashiwabara.co.jp/apartment/point/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%80%90%E9%9C%87%E5%9F%BA%E6%BA%96
https://www.e-mansion.co.jp/bbs/thread/629078/res/1-40/

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