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マンション修繕積立金が足りない!大規模修繕工事の際に活用したい3つのプラン

2018.11.15


マンションの定期的な修繕や長期的な管理において、キーワードとなってくるマンション修繕積立金。個人はもちろん、多くの管理組合が将来的な修繕工事を見越して、準備をしていると思いますが、数年に一度、数十年に一度といった頻度で発生する大規模修繕工事の際には、修繕積立金が不足してしまうケースも決して少なくありません。とくに、建物の老朽化が進んでいる物件が多くなってきた近年は、こういったケースが増えていると言われています。そこで活用したいのが修繕積立金の資産運用やローン。今回は、不足時期によって上手に活用したい3種類のプランについて、見ていきたいと思います。

プラン01:マンションすまい・る債


長期的に修繕積立金の不足が予想される場合の計画的な管理や、いざという時のサポートとして役立つのが、住宅金融支援機構が扱っている「マンションすまい・る債」という債券です。主な特長としては次の4点があげられます。

・利付が10年債となっており、年に1回2月頃に利息が定期的に支払われる
・1口50万円からの購入と最大10回までの継続した積立が可能
・第1回目の債券発行日以降に1年以上が経過していれば修繕工事や同等の目的に対しての換金が可能
・住宅金融支援機構が正式に国の認可を得て発行している債券

さらに実際に積立をする管理組合に下記のような特典も設けられています。

・住宅金融支援機構の大規模修繕工事用ローン「マンション共用部分リフォーム融資」を利用する際の金利が年に0.2%引き下げられる
・同機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用する際の保証料が20%ほど割り引きとなる
・セミナーやメールマガジンなどでマンションを管理するためにプラスとなる情報を得られる機会が多く設けられている

募集時期が設定されている積立てとなっていることもあり、積立てはいつでも開始できるわけではありませんが、要件を満たせばどなたでも積み立てすることは可能です。下記の要件を満たしている方は利用を検討してもいいかもしれません。

・沖縄県を含まない地域に所在する区分所有建物としての分譲マンション
・機構の融資利用を視野に入れた上でマンション共有部分の大規模修繕工事を計画している管理組合
・管理規約を定めている管理組合であること
・長期修繕計画期間が20年以上であること
・反社会的勢力と関わりがないこと

プラン02:リコーリース


大手リコーグループの持つリース会社であるリコーリースでは、マンション管理組合向けに、「マンション管理組合ローン」というサービスが用意されています。マンション管理組合ローンは、融資対象となる地域が、東京・神奈川・千葉・埼玉の4都道府県限定のローンですが特長としては下記のようなメリットがあります。

・借入れ限度額が2億円
・金利が契約締結時から最長10年変わらない固定金利
・保証料や融資手数料などが不要
・修繕積立金としてだけではなく幅広い資金使途に対応できる

返済方式としては、実質年率の固定金利が1.70%から3.00%かつ、返済期間が2ヶ月から10年までという条件を持つ元利均等方式と、実質年率の固定金利が2.50%かつ、返済期間が1ヶ月から1までという条件を持つ一括返済方式があり、諸々の細かい条件などが多少異なります。両者に特に顕著な違いが見られるのは、資金使途についてです。元利均等方式として契約をする際は、マンション共有部分の大規模修繕工事のための修繕資金として運用できるだけではなく、耐震・免震工事を目的とする資金、金利の高い大規模修繕工事ローンからの借り換え目的、マンション敷地内のエレベーターや駐車場などの施設の新増設や取り替え目的など、さまざまな使途に利用することができるのが強みです。一方で、一括返済方式としての契約をする際には、マンション共有部分の修繕、耐震・免震工事などを目的とする助成金や公的融資金を受けるまでの繋ぎ資金としての利用が可能ですので、数ヶ月程度の短期間の融資を受けたい際などにも便利に活用することができるでしょう。そのほか、リコーリースの取引企業に勤務している方を対象にした「多目的ローン」は、さまざまな用途に利用することができる心強いローンです。

プラン03:ルーヴィス(管理受託からの立替)


横浜を拠点として事業を展開するルーヴィスでは、日本が直面している人口減少とも大きな関わりのある「住まい」が持つ問題について、プロパティマネジメントサービス「R-PM」を通して、さまざまなアプローチを提案しています。建物管理のサービスのひとつである「タテカエ」は、マンションの大規模修繕工事で発生する費用をルーヴィスが「修繕協力金」として立て替えてくれ、それをオーナー・入居者側が工事後に回収家賃から分割で返済していくというシステムです。メリットとしては

・大規模修繕工事によって住まいとしての建物の価値が向上する
・築年数が古い物件でも大規模修繕工事が可能
・特定の金融機関からの借入れが不要
・別のローンを返済中などの状況下でもサービスを利用できる
・金利変動のリスクを伴わない資金運用
・修繕協力金の上限が8000万円と高額
・分割返済期間が5年から10年ほどを見込まれている
・ルーヴィスに賃貸管理を依頼することによりマンションの管理そのものが大きく簡略化される

などて挙げられます。
タテカエの利用可能な対象物件については、一部を除いた東京都内と横浜市内の物件であること、ルーヴィスの不動産管理サービスを利用していることなどの諸条件がありますが、マンションだけではなく、アパートやビルまでが含まれますので、条件によってはとても便利なサービスとなるでしょう。

まとめ

今回は、住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」、リコーリースの「マンション管理組合ローン」「多目的ローン」、ルーヴィスの「タテカエ」の3つのプランをご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。マンションの共用部分の管理や建物の維持や修繕のために、管理していかなくてはならない修繕積立金。物件によってもさまざまですが、マンションの大規模修繕工事は、10年から15年に1度程度の頻度で行われることが多くなっています。また、近年増加傾向にある、月々の修繕積立金が値上げされる場合や大規模修繕工事のために一時金が徴収されるような場合には、マンションが新築された当初から入居している方も、中古として購入して途中から入居している方も、同等の負担義務が課せられるケースがほとんどです。マンションの長期的な管理においては、居住している個人の意見よりも管理組合総会の決断が優先されますので、マンション居住者それぞれが事前にある程度の知識を得て、今回ご紹介した方法も含め検討を重ねていくことが必要かもしれません。

参考URL
https://www.jhf.go.jp/loan/kanri/smile/about/bosyu.html
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO79265850U4A101C1PPE001
https://www.j-anshin.co.jp/service/daikibo/column/repair/shortage.html
http://www.r-lease.co.jp/psnl_loan/apartment/loan/index.html
http://www.r-lease.co.jp/mp/01/
https://www.kenbiya.com/ar/ns/jiji/item_service/3298.html
https://www.roovice.com/r-pm/

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