住まいの今と未来をつたえる

特集

安心してペットと暮らそう!ペット共生住宅『アニドックマンション』って?

2018.07.16


アパートやマンションで最近少しずつ増えてきたと感じるペット可の物件。筆者はミックスとノルウェイジャンフォレストキャットの2匹の猫と暮らしているのですが、ペットと一緒に快適に暮らせる物件を探すのはいまだなかなか大変です。そんなペット住宅業界に「ペット可」ではなく「ペット共生」をテーマにした『アニドックマンション』というものがあるのをご存知ですか? ペット可住宅とペット共生住宅ではどう違うのか、ペット共生住宅『アニドックマンション』を手がける「anidoc」代表取締役の野中さんに聞いてきました。
※画像はanidocホームページより
※『アニドックマンション』はアニドック株式会社の商標登録です。

ペット共生住宅『アニドックマンション』はここがすごい

「ペット可」ではなく、ペットと共に暮らす「ペット共生」の考えを軸に作られている『アニドックマンション』ですが、ペット可の住宅といったいなにが違うのでしょうか。『アニドックマンション』が大切にしている「HARD」「SOFT」「SERVICE」「IoT」の4つの柱について聞いてきました。

「HARD」
犬や猫と暮らすのに必要な設備のあれこれ。世の中にはさまざまなグッズが存在しますが、そのほとんどは個人で使うことを想定されたものばかり。マンション付帯の住宅設備としてペットのための設備があるマンションは少ないですよね。グッズでは解消し切れなかった数々のお悩み、アニドックマンションなら解決してくれるそう。今回はその一部を紹介します。

・うんちシューター

ペットを飼っているとどうしても発生するのが排泄物の臭い問題。特に犬を飼っている方は外での排泄物を袋に入れて持ち帰り、自宅で処理をすると思います。しかし、大型犬になると排泄物の量も多く、自宅のトイレに流すことも困難なので夏場は特に臭いが気になってしまうもの。そこで活躍してくれるのがこちらの『うんちシューター』。外から帰ってきてここに捨てるだけで、排泄物の処理が完了してしまうそうです。朝夕の散歩時間に多量の排泄物が捨てられることを想定して作られているため詰まりにくく、住空間に排泄物を持ち帰る必要もないとのこと……なんて素敵! 臭い問題以外にもゴミ捨て場に捨てにいく作業も省くことができたりと、自宅から排泄物問題がまるっと消えるのはとてもありがたいですね。

・犬床

犬や猫は元々、土や砂の上を走っていた動物なので、フローリングのような滑る床だと足腰に負担がかかってしまいます。特にダックスフントやコーギーと暮らしている方は、ヘルニアに気をつけて生活していますよね。なかなか自分ではリフォームすることもできない床ですが、そんな方におすすめなのがanidocプロデュースの『犬床』です。
その名の通り肉球が滑りにくいフローリングとなっているので足腰への負担が少なく、ささくれもできにくいので肉球に傷をつけるリスクも下がるんですって。これならドリフトしながら走り回る姿にハラハラせず、屋内でも思いっきり遊んであげることができますね。

「SOFT」

通常のアパート契約時には、部屋の使用条件や損傷箇所の責任所在などの規約が書かれた契約書にサインをして契約を行いますが、入居後に規約を気にすることは多くないと思います。
ペット可物件についても同様にペットと暮らすことについては許可されていても、その飼いかたについては飼い主に委ねられることが多いため、モラルのない飼い主が近くにいると正しくペットを飼っている方まで肩身の狭い思いをしてしまうことも……。
それを防止するためにアニドックマンションでは通常の契約書とは別に、ペット関連規約が存在するんだそう。住宅内でペットを飼う際の規約や各ペット用施設の施設細則・説明書など、規約を細かく作ることによって住んでいる人が全員ルールを守って施設を気持ちよく使えるように、という工夫とのこと。また、規約とは別にマナーブックもあるそうなので、入居者全員がマナーについて共通認識を持っていられるのも安心です。
また、ペット可の住宅にはペットを飼っていない方も住んでいますが、そのためペットがいない住民の方とトラブルになってしまうこともあるんだそう。しかし、アニドックマンションはペットと暮らしたい方、もしくはペットと暮らしている方が入居するため、その心配がないんだとか。むしろお散歩のタイミングが似ている近隣の方と仲良くなれることも。ご近所づきあいが昔と比べて希薄になったといわれている今こそ、こういったコミュニティの築き方もあるのかもしれません。

SERVICE

ペット共生マンション『アニドックマンション』では、anidoc独自のサービスも。たとえば『animo』というモバイルサービスでは、ちょっとしたペットの心配事を獣医師に質問できるサービスもあります。これを活用すれば動物病院に連れて行くかどうかの相談ができるので、安心ですね。
また、獣医師の往診サービスもあるので動物病院にいく時間がなかなか取れない方や、動物病院にいくことが大きなストレスになるペットでも、受診しやすいというメリットも。更に2カ月に1度発行される『PeikuMagazine』で注目商品やサービスをいち早く知ることができるというサービスもあるので、知りたいことをいち早く知ることができます。

「IoT」

「ペットとIoT」と言うと、いまいちイメージがつかないかもしれませんが、最新の技術を使えばお留守中のペットの様子を知ることも。こちらの『リモカ』では、水を飲みに来た動きを検知してペットの様子を自動録画してくれます。外出先からその録画を見ることも可能ですし、カメラを起動させてライブ動画を見ることも可能です。水飲み場とセットにすることで、確実にペットの様子をとらえることができるのはなかなか画期的。さらにはスピーカーがついていて、外出先から声をかけることもできるので、寂しがりなペットのストレス軽減もできます。
住宅のIoTも進んできていますが、IoTの力でペットのストレス軽減や飼い主の不安を軽くすることができるのはうれしいです。

『アニドックマンション』生みの親にインタビューしてみた

前述した以外にもペット共生マンション『アニドックマンション』には、ペットと暮らすうえでうれしいことが盛りだくさん。いったいどのようにして『アニドックマンション』は生まれたのでしょうか。anidoc代表取締役の野中さんにインタビューしてきました!

――ペット共生住宅アニドックマンションで大切にしていることはなんですか?


野中さん)住んでいる居住者様がトラブルに巻き込まれないことが一番大切なことですね。これまでのペット可住宅というのは、築年数が古くなったことによる空室率の上昇を防ぐためにペット可にしたという建物が多くあります。しかし、ペット可住宅では隣にペット嫌いの方が住んでいてトラブルに巻き込まれてしまうというリスクがあるんです。

――ペット可の住宅とはまったく別のものなんですね


野中さん)供給する側の気持ちがまず違いますね。私たちは古くなってきたからペット可のマンションにするのではなく、ペットが好きな方が入居して快適に過ごせるマンションをつくっているんです。なのでそもそもトラブルがおきにくいですし、ペットのお世話をしやすい環境づくりをすることによってマナーやモラルが守られるマンションになります。

――ご入居者の方は犬を飼ってらっしゃる方が多いんですか?


野中さん)犬のほうが散歩などで外に出る機会が多く、住宅難にもなりやすいので犬を飼っていらっしゃる方が多いですね。猫は家の中で飼うことが可能なので、隠れて飼っていてトラブルになるケースもあるようです。

――ペット可物件でのトラブルというのはやはり多いんですか?

野中さん)そうですね。ペット可住宅というのはペットを飼ってらっしゃる方を守るルールがないんですね。たとえば『アニドックマンション』では1人暮らしの方向けのサポーター制度というのがあり、それに登録しない限り1人暮らしの方は入居することができません。このサポーター制度というのは、たとえば入居された方になにかトラブルがあり、帰宅できなくなってしまったとします。そうした場合に連絡を受けた管理会社がサポーター登録をされた方に連絡をとり、ペットを保護してもらうという形をとっています。ペットを1人で飼うということ自体は可能でも、そういった制度を設けていないと本当に安心してペットを飼うことができないんですね。また、こうしたペット飼育に関してルールを設けることによって「居住者の方の責任なのか」「社会的な問題なのか」「管理会社の問題なのか」を明確にできるので、結果的に安心して暮らすことができるようになります。私は長年ペット共生型の住宅をつくって管理してきましたが、たくさんのトラブルを見てきました。その中で貯まってきたノウハウをアニドックマンションに活かしているんです。

――ペットを飼う上で住環境というのは大切なんですね


野中さん)そうですね。実際にあった例なのですが、入居時にお会いしたら犬も飼い主の方も見るからに元気が無い状態だったのに、アニドックマンションに住んで半年ほど経ったら見違えるように犬も飼い主も元気になってお礼を言いに来られたということがありました。事情を聞くとほとんどペット可の住宅がない時代だったため、隠れて犬を飼っていたそうなのですが、犬を飼っていることを隠すためにいろいろな苦労をされていたんですね。『アニドックマンション』に引っ越してきてそのストレスがなくなったため、飼い主が元気になって、犬も元気になったということだったんです。人間とペットというのは精神的に繋がっているんだなと思いました。人間が生活する上で「衣食住」というのは、ひとつでも欠けては生活ができないんです。まだ日本ではペットと暮らす住環境というのは30年ほどの歴史しかありません。諸外国からみたらまだまだ建物を建てる側も、提供する側も、住む側もノウハウというのが足りないんです。

――諸外国と日本の違いというのはなんですか?

野中さん)もともと靴を脱ぐ住文化の国ですから居住設備という点で諸外国とは異なる点が多くありますし、ペットと屋内で暮らした歴史というのが短い分飼育のマナー・モラルという面でも遅れているところがあります。その部分を建物を提供する側が設備や規約によって整えることで、良い住環境や周囲との関係性を築いていけるんです。ただ、建物の設計をする方や管理会社にノウハウがないと、管理会社、オーナーさん、居住者の方全員にとっていい結果にはなりません。そういった部分をノウハウのあるanidocがサポートすることによって、全員が満足できる良い住居にすることが実現できます。

――いい住環境を提供するとともにモラルやマナーの底上げをしていきたいという面もあるんですね


野中さん)ペットと暮らせる物件が増えれば、ペットに関連したトラブルも増えてきます。その時にペットに関する規約やルールがないと、ペットを飼っている方の立場が弱くなってしまい身を守ることができません。ただペット可にするのではなく、規約やルールを作って守ってもらうことでマナーやモラルを底上げしてトラブルを防ぎ、ペットを飼っている方の身を守りやすくするというところも大切です。

――最後に、一番広まってほしいルールやマナーというのはありますか?


野中さん)たまに「犬は吠えるのが当たり前」という方がいらっしゃいますが、これは飼い主側の問題であって当たり前の話ではないということですね。犬は人間に影響されていますので、飼い主次第で天使にも悪魔にもなります。飼っている猫種・犬種のルーツを学べばしつけの方法や、それぞれに合った環境も分かりますし、しつけの方法も一遍通りではなく性格に合わせて行うことが大事です。それを多くの方に知ってほしいですね。

住まいだけではなく文化も作るアニドックマンション

話を聞いてみてペットと暮らす住環境というのが住戸の供給数という面だけではなく、設備や規約というソフト面からもアプローチしている点にアニドックマンションの想いを感じました。快適に住める環境を整えると同時に、ペットとの住文化を作っていくという『アニドックマンション』のアプローチは、ペットと暮らす方全員の光となりそうな気がしました。ペットと暮らす文化がもっと進歩して、より快適な環境でペットと暮らせる日が来るとうれしいです。

取材協力
アニドック株式会社
http://04.anidoc.jp/

タグ TAG