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ずっと金利が一定だから安心! 住宅ローン「フラット35」とは?

2018.06.15


マンションなどの住宅を購入する際には、一度に数千万円単位のお金が必要となります。なかなか高額なお金を一度に支払える人は少ないため、たいていの方が住宅ローンを借りて、何十年かに分割して返済していくということになります。そんな住宅ローンの中で、よく耳にすることが多い「フラット35」。あなたはこのローンをご存知でしょうか? 今回はなかなか理解することが難しい「フラット35」について、マネーの専門家が詳しく解説いたします。

そもそも住宅ローンには2種類の金利タイプがある


住宅ローンには大きく分けて「固定金利型」「変動金利型」2種類に分かれます。

1.「固定金利型」
「固定金利型」は、借入当初から完済までの適用金利があらかじめ確定しているため、ずっと金利が変わらず返済額が一定です。また「固定金利」の中でも、返済期間のすべての金利が固定になる「全期間固定金利型」と、一定期間の金利を固定する「固定金利期間選択型」という特約が付いた住宅ローンもあります。このローンの場合、固定期間は2年・3年・5年・10年・15年・20年などから選択できます。この時金利を固定する期間が短いほど金利は低くなり、長いほど高くなるのが一般的です。固定期間終了後は、原則として変動金利型となりますが、再び固定金利選択型を選ぶこともできます。

2.「変動金利型」
一方で返済途中でも金利が変わり返済額が増減するのが、「変動金利型」と言われています。「変動金利型」の場合、半年ごとに金利が見直されますが、多くの変動金利型の住宅ローンは、返済額が5年間固定されています。住宅支援機構によると、住宅購入者の中で変動金利の住宅ローンを組む人は50.4%ともいわれていますが、急激且つ大幅に金利が上昇した場合、金利額が返済額を超えてしまう場合もあるので注意が必要です。

住宅ローン「フラット35」とは?

「フラット35」は先述した金利タイプのうち、ずっと金利が変わらない全期間固定金利型の住宅ローンに該当します。この「フラット35」は、住宅金融支援機構が民間金融機関などと協力し、2003年に誕生した住宅ローンで、銀行、信用金庫、信用組合などの金融機関のほか、ノンバンクなど、幅広い窓口で利用することができます。借入時(資金受取時)に返済終了までの借入金利と返済額が確定するため、仮に返済中に市場金利が上昇し、その時点の「フラット35」の借入金利が上昇した場合でも、資金受取時に確定した借入金利で返済を続けることができます。将来のライフプランを立てるうえでも、返済額が固定なのは大きなメリットです。

金利は「どこで」、「いくら借りて」、「何年で返すか」によって決まる

「どこで」
「フラット35」の金利は各金融機関から毎月の月初に、月の金利が発表されるので、金利は金融機関ごとに異なります

「いくら借りて」
「フラット35」は物件価格の100%まで融資可能ですが、融資率90%以下の場合と90%超の場合で金利が異なります。融資率が90%以下の場合に比べ、90%超の場合は金利が高くなり、審査も厳しくなりますので、できれば10%以上の頭金を準備できるようにしましょう。

「何年で返すか」
また返済期間に関しても、20年以下と21年以上で金利が異なり、返済期間が20年以下の場合、21年以上よりも金利が低くなります。ただし、金利が低くなるからといって無理に返済期間を20年以下にすると毎月の返済額が多くなってしまいますので、ライフプランに合わせて慎重に決める必要があります。

住宅ローン「フラット35」の4つのメリット


1.
金利がずっと変わらない安心感
「フラット35」の最大の特徴は、借入期間の金利が固定されていることと言えるでしょう。一部、途中から金利が上がる段階金利型のものもありますが、この場合でも将来の金利はあらかじめ確定しています。借入時に将来の返済額や総返済額を確定できることで、毎回の返済額や総額が把握できるという安心感とともに、将来のライフプランを立てやすいというのが特徴です。

2.ローン審査のハードルが低く、比較的通りやすい
「フラット35」は年収による返済負担率(年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上は35%以下)は決められているものの、勤続年数は問わないなど、転職したばかりの人や自営業の人などでも比較的申し込みやすくなっています。ただし、一般的な住宅ローンよりも建物の基準は厳しくなっており、土台・基礎の安全性、住宅の耐久性など、住宅金融支援機構の技術基準をクリアする必要があります。一般的な新築マンションなら問題ないとは思いますが、中古物件などで「フラット35」の借入れを検討する場合には、購入予定物件が技術基準を満たすかどうかを不動産業者や工務店に事前に確認をしておきましょう。

3.保証料0円、繰上返済手数料0円
住宅ローンの借入に際して、一般的に必要となる保証人および保証料は必要ありません。また返済中に繰り上げ返済や返済方法の変更を行う場合でも、その手数料はかからないことも大きな魅力です。ただし、一部繰り上げ返済をする場合の最低金額は100万円ですので、繰り上げ返済をするにはまとまった資金が必要となる点に注意しましょう。

4.リフォーム実施で、さらに金利が引き下げに

「フラット35」には新築住宅の購入だけでなく、中古住宅を購入してリノベーションをしたり、戸建ての性能を向上させるリフォームを実施するとこで、さらに金利が引き下がる特約がつきます。例えば、「フラット35」Sでは、省エネルギー性、バリアフリー性、耐震性などを備えた質の高い住宅を取得される場合に一定期間金利が引下げされます。また、中古住宅を購入して性能向上のためのリノベーションをすることで、一定期間金利が引下げられる「フラット35」リノベというものもあります。性能向上というところをサポートしてくれるのも魅力の1つです。

まとめ

「フラット35」は、前述したとおり「長期金利固定型」の住宅ローンなので、毎月一定であることに安心できる方、また金利上昇のリスクを避けたい方におすすめのローンです。借入時の審査において勤続年数や年収の要件は比較的緩くて借りやすいのも魅力的。ただ、逆に返済中に市場金利が低下し、その時点の「フラット35」の借入金利が低下した場合でも、資金受取時に確定した借入金利で返済が続くというデメリットもあるので、注意が必要です。メリットやデメリットをしっかりと理解したうえで、家族構成や今後の家計の収支のバランス、現在の手元に余裕資金があるか等、総合的に考え自分にあった住宅ローンを選びましょう。

岡本 大輝
ファイナンシャルプランナー

広告代理店にて不動産領域の業務を経て、現在は新築分譲マンションのマンションギャラリーにてFP個別相談会を中心に活動。

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