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初の試み!国交省が944事例からマンション大規模修繕工事の「相場」を公表

2018.05.14

これまで不透明感が強かったマンション大規模修繕工事の「相場」が国土交通省から公表されました。同省は昨年の5月から7月にかけて、直近3年間でマンション大規模修繕工事の設計コンサルタント業務の実績がある企業へアンケートを実施し、134社944事例のデータを回収して実態を調査。全体の相場感のみでなく、戸数規模別のデータにも集計されており、マンション管理組合等が自らと同規模のマンション群におけるデータをもとに大規模修繕工事検討の参考にすることができます。

適正な工事発注をするための参考資料として活用されることに期待

マンション大規模修繕工事の発注では、施工会社の選定に際して、発注者である管理組合の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタントの存在が指摘されていました。国交省では平成29年1月にも通知を出しており、注意喚起を図るとともに相談窓口を設けていますが、それに引き続き、管理組合の大規模修繕工事の発注等に際して適正な実施の参考となるよう今回の調査が行われ、集計データが提供されたものです。

国土交通省のホームページにて公表されている「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、今回の調査項目は以下のとおりです。


・マンションの概要(戸数、床面積、階数、築年数、大規模修繕工事回数 等)
・大規模修繕工事※1の工事金額※2
 ※1計画修繕やグレードアップのための改修工事(耐震改修工事は除外)
 ※2直接工事費(共通仮設費、現場管理費、一般管理費、消費税相当額は含まない)
・大規模修繕工事の工事内訳
・設計コンサルタント業務実施内容及び実施期間
・設計コンサルタント業務従事技術者の業務量※3
  ※業務量については、技術者の職能に応じた業務量(人・時間)をサンプルとして収集
・回答企業の概要

あわせて、調査結果をマンションの個数規模別に9分類して集計しており、自らと同規模のマンション群における工事金額、工事対象範囲、設計コンサルタント業務、設計コンサルタント業務実施時間についても参照することができるとのことです。

944事例から判明した大規模修繕工事の統計データ

今回の国土交通省の調査結果から判明した大規模修繕工事の統計データは以下のとおりです。

・大規模修繕工事は概ね、1回目は築13~16年前後、2回目は築26~33年前後、3回目以降は築37~45年前後の時期に実施されている

 

・大規模修繕工事の内訳は外壁関係(外壁塗装及び外壁タイル)が24.0%、防水関係(屋根防水および床防水)が22.0%、仮設工事が19.2%となっている
・2回目の大規模修繕工事では給水設備、3回目の大規模修繕工事では建具・金物等が多くなる特徴が見られる

 

・戸あたり金額は50~75万円が13.8%、75~100万円が30.6%、100~125万円が24.7%となっている※3
 ※3 直接工事費(共通仮設費、現場管理費、一般管理費、消費税相当額は含まない)


・㎡あたり金額では5,000~10,000円が31.8%、10,000~15,000円が41.1%、15,000~20,000円が10.0%となっている※3
 ※3 直接工事費(共通仮設費、現場管理費、一般管理費、消費税相当額は含まない)


・設計コンサルタント業務の内訳は、工事監理が40.3%、設計が31.8%、調査・診断が15.2%、施工会社選定協力が8.1%、長期修繕計画の見直しが3.6%となっている

・設計コンサルタントの業務量については、100人・時間までが30.3%、100~200人・時間が31.1%、200人・時間~が8.7%となっている

・設計コンサルタントの業務実施期間は、6ヶ月~1年が16.2%、1年~1年半が29.5%、1年半~2年が18.8%となっている

 

戸数規模別に9つに分類して細かくデータ分析

今回の調査では944事例全体での統計データのみでなく、マンションの規模(戸数)毎に9つに分類して、大規模修繕工事回数「1回目」「2回目」「3回目以上」のおける「工事金額」「工事対象範囲」「設計コンサルタント業務量」「設計コンサルタント業務実施期間」が集計されています。9つの分類と各分類別のデータは以下のとおりです。

・20戸以下


・21~30戸以下


・31~50戸以下


・51~75戸以下


・76~100戸以下


・101~150戸以下


・151~200戸以下


・201~300戸以下


・301戸以上

分からないことがあれば相談してみよう

分譲マンションでは、12年程度の修繕周期で大規模な修繕工事(長期修繕計画に基づく計画修繕工事やグレードアップのための改修工事)を行うことが一般的(長期修繕計画作成ガイドライン等による)とされています。また、大規模修繕工事により計画的な修繕を行いつつ、マンションの資産価値を維持・向上させるためには、将来予想される修繕工事等を計画し、これに基づいた修繕積立金の額を設定し、積み立てること必要です。しかし、一般的なマンション管理組合では大規模修繕工事に詳しい専門家が理事会や修繕委員会メンバーにいないことが多いため、今ある長期修繕計画や積立金額の設定が適正なものか判断することは難しいと思います。今回の調査結果は大変参考になる資料ですのでぜひ活用していただきたいと思いますが、それでも不安や疑問に思うことがある場合は、国のガイドラインの参照や相談窓口も活用しましょう。

【国土交通省HPにおいて基本的な考え方を公表しています】
・長期修繕計画作成ガイドライン等
 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html
・改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル
 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000050.html

【相談窓口について】
マンションの大規模修繕工事等に関する、管理組合や区分所有者の皆さまの疑問や相談については、下記の相談窓口において、建築士等によるアドバイスを実施しています。
・(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター
 https://www.chord.or.jp/reform/consult.html
・(公財)マンション管理センター
 http://www.mankan.or.jp/06_consult/tel.html


出典:国土交通省ホームページ添付資料「マンション大規模修繕工事に関する実態調査(概要)」より
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html

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