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気になるメンテナンス費用!タイルのほうがトータルで安いって本当?

2018.01.15

新しくマンションを購入する際、マンションの修繕費や管理費を気にされている方も多いのではないでしょうか。特に中古マンションの場合、大規模修繕工事の時期が迫っているという場合もありますので、とても身近な問題となります。
修繕費を考える際に見ていただきたいのが、マンションの外壁が吹き付けタイル(塗装)か、あるいはタイル張りになっているかということです。どちらもそれぞれメリットがあるのですが、タイル張りは最初の費用は高いけれど、維持費や修繕費まで含めて長い期間で考えると、結果的に安いという意見が目立ちます。本当にタイル張りのほうが安いのでしょうか? ここでは吹き付けタイルとタイル張りのメリット・デメリットを比較してみたいと思います。

タイル張りのメリット

・見た目に高級感が出る
タイル張りは、吹き付けタイルに比べ高級感や重厚感が出やすいといわれ、これが人気の理由のひとつとなっています。また、色褪せに強く長期間美しい見た目を保つことができます。

・コンクリートを守る力が強い
一般的に、吹き付けタイルよりもタイル張りのほうが強度が高く、コンクリートを劣化から守る力が強いとされています。吹き付けタイルの場合は地震などで塗装面にヒビが入り、その隙間から水分が浸入してしまうリスクがあります。

・メンテナンスが安価に済む
吹き付けタイルは10年程度ごとに塗り替えが必要になりますが、タイルは耐久性が高いためよほど劣化していない限りは張り替える必要がありません。メンテナンスも高圧洗浄程度で済むため、長期間で考えた場合にメンテナンス費用が安価に抑えられるということがいえます。

では外壁はタイル張りのほうがトータルで安い? 抑えておきたいデメリット

タイル張りのメリットに関しては前述の通りですが、「外壁はタイル張りのほうがトータルの費用も安くなるし見た目もいいので、いいこと尽くし!」というには、多少疑問が残ります。確かにタイル張りはメリットも多いのですが、下記のようなデメリットがあることも抑えておきたいところです。

1.打診調査が必要
平成20年の法改正により、タイルの劣化・損傷の調査の規定が以下のように変わりました。

つまり、今までは手の届く範囲を打診するだけだった打診調査が、平成20年以降は10年経った時点で※全面的な打診調査が義務付けられたのです。この法律は不特定多数の人が出入りする映画館などの施設が対象で、マンションに関しては地方自治体の判断によりますが、住んでいる地域によっては全面打診調査を行わなければなりません。全面打診調査の義務が課されてしまうと、例えタイルに浮きが無く張替えの必要がなかったとしても、足場を組む必要があります。足場の架設工事は大規模修繕工事の中でもかなり費用の割合を占める工事ですので、他の箇所の劣化具合がたいしたことがなくても、必ず10年後には大規模修繕工事を行うことが必要となるわけです。
※3年以内に外壁改修等が行われることが確実である場合、または別途歩行者などの安全を確保するための対策を講じている場合を除く

2.技術の更新ができない
タイルというのは基本的に劣化に強いため、最初に貼ったタイルをそのまま使うことが前提となりますが、吹き付けタイルは十数年過ぎた時点で塗りなおすことになります。これは一見塗りなおしの費用がかかってしまい割高に感じますが、塗りなおすことで建設時よりも技術の進歩した最新の塗料を使うことができるため、次の大規模修繕工事までの期間を伸ばすことができ、結果的に修繕費用を安く抑えられることにつながります。また、クリーニングをするのではなく塗りなおすため、落ちきらない汚れを気にすることなく塗りなおして綺麗にすることができます。

3.張替え費用が高い
タイルが安いといわれているのは、あくまでも「張替えの必要が無い」という事を前提としており、万一新築時の施工不良などで全面的な張替えが必要となってしまった場合などは、多額の費用が発生します。中古物件を購入する場合は、打診をしてみることも可能ですが、新築の場合にはまだ浮きが発生していないため、タイル張り物件を購入する場合には、居住した後に浮きが出てくるリスクも考慮する必要があります。

結局、タイル張りと吹き付けタイルはどちらがお得?

結論からいうと、タイル張りと吹き付けタイルは、一概にどちらが安いということは言えず、結局はケースバイケースです。それぞれのメリット・デメリットがあるということを理解しておくことが必要です。メンテナンス費用という側面だけでの比較はもちろんですが、仮にメンテナンス費用でタイル張りの方が高かったとしても、将来売却を検討された時の価格がメンテナンスにかかった費用以上に高く設定できれば、結果的に安いともいえます。住まいでもあり資産でもあるマンションですから、よく吟味して納得のいくものを購入することが一番ではないでしょうか。

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