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渋谷再開発2018年版|2020年に向けた渋谷の大規模再開発の全貌を調べてみた

2018.08.13


▲2027年度頃の渋谷駅周辺のイメージ (上空よりのぞむ)(提供:東京急行電鉄株式会社)

2020年の東京オリンピック開催に向けて、東京23区では急ピッチに再開発が進んでいます。中でも最も注目すべきエリアが渋谷駅周辺の大規模再開発です。現在進行中の再開発がすべて完了するのは2027年とまだ先ですが、来る2020年に向けて、渋谷の街は一体どう変わるのでしょうか? 早速、調べてみました。

東急グループが主体となった4つの再開発が渋谷の街を変える


再開発が進む渋谷駅周辺

渋谷駅周辺は、長年にわたり各鉄道会社が増設や移設を繰り返した結果、東西南北に分断されてしまい移動しにくいという課題を抱えていました。そこで今回この再開発を主導している東急グループが、快適な歩行者導線「アーバン・コア」やデッキを整備することで、JR線や東京メトロとの移動を快適にする歩道が完成します。また「エンタテイメントシティSHIBUYA」というコンセプトのもと、それぞれのエリアに新たな4つの大規模複合施設が2018年~2023年度までに開業し、渋谷はまさに変貌を迎えます。


▲渋谷駅周辺開発全体像(提供:東京急行電鉄株式会社)


▲渋谷駅周辺動線 立面図(提供:東京急行電鉄株式会社)

<東急グループが実施している駅周辺の再開発事業>

1.「渋谷ストリーム(旧渋谷駅南街区プロジェクト)」事業主:東京急行電鉄、2018年秋開業予定

2.「渋谷スクランブルスクエア(渋谷駅街区開発計画)」事業主:東京急行電鉄、東日本旅客鉄道、東京地下鉄、2019年度開業予定

3.「東急プラザ渋谷(道玄坂一丁目駅前地区)」事業主:東急不動産他、2019年秋開業予定

4.「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」事業主:東急不動産他、2023年度開業予定

また東急グループ以外にも民間が主体となっている渋谷界隈の再開発事業がいくつかあります。たとえば、老朽化に伴って建て替え工事が決定している「渋谷区役所」・「渋谷公会堂」は、三井不動産・三井不動産レジデンシャルが、高級分譲マンションとセットで開発を進めています。また、「NHK放送センター」や「渋谷パルコ」など、渋谷の文化やファッションを発信してきた施設などの建て替えも決定しています。

1. 「渋谷ストリーム」まもなく開業!


▲渋谷ストリーム外観(提供:渋谷ストリーム)

2018年秋に開業予定の「渋谷ストリーム」。旧東横線渋谷駅のホームおよび線路跡地を利用した再開発事業「旧渋谷駅南街区プロジェクト」のランドーマークとなる商業施設です。
日本初上陸のレストランを含めた30店舗が集まる商業ゾーン、渋谷エリア最大級のオフィス棟、ホテルやホールなども備えた大規模複合施設になります。さらに渋谷駅周辺は緑も少なく、人々が憩える場がなかったことを解消するため、今回、この地を流れる渋谷川を美しく再生させ、川沿いに遊歩道や広場を整備し、マルシェやビアガーデンなども開催されるそうです。すでに再生された渋谷川や、周囲の並木道などの全貌が少しずつ見えてきました。秋開業が待ち遠しいですね。


▲渋谷川の再生イメージ(提供:渋谷ストリーム)

2. 渋谷随一の超高層タワーが2019年度に開業!


▲渋谷駅街区(宮益坂交差点方面より望む)(提供:渋谷駅街区共同ビル事業者)

渋谷の待ち合わせスポットの代名詞「渋谷ハチ公前」。この一帯も大きく変貌を遂げようとしています。現在進行中の「渋谷駅街区開発計画」によれば、3つの棟からなる複合施設を2027年までに随時開業していくのだそうです。
最初の開業は2019年の「渋谷スクランブルスクエア」。なんと地上47階 地下7階に及ぶ、渋谷随一の超高層タワーになります。注目なのは、最上階に完成する屋外・屋内からなる展望施設です。約230mの超高層タワーからは、都心の景観はおろか、富士山までも見晴らせる大パノラマビューが楽しめます。超高層ビルの屋上を開放した施設としては日本最大級の規模になるのだそう。これは一度訪れてみたいですね。


▲渋谷駅街区 東棟屋外展望施設俯瞰(提供:渋谷駅街区共同ビル事業者)


▲渋谷駅街区 東棟屋外展望施設と富士山の眺望(提供:渋谷駅街区共同ビル事業者)

3. 2019年秋、「東急プラザ渋谷」が装いも新たに開業!


▲道玄坂一丁目駅前地区(提供:東急不動産株式会社)

かつて「東急プラザ渋谷(旧:渋谷東急ビル)」があった道玄坂一丁目。ここに、「渋谷東急ビル」として開業したのは1965年。2015年3月に49年の歴史に幕を下ろした「東急プラザ渋谷」ですが、2019年秋に、道玄坂一丁目駅前地区の一角にスケールアップしてオープンします。
2階部分は渋谷駅とデッキでつながり、ダイレクトにアクセスできるようになるほか、1階には空港リムジンバスなどが運行するバスターミナルと観光支援施設も設置。さらに、世界中を魅了する総合エンタテイメントレストランなども備え、生まれ変わる「東急プラザ渋谷」が再び渋谷駅西口の顔になる日も近そうです。

4. 渋谷駅桜丘口地区にも大規模複合開発が2019年に着工!


▲渋谷駅桜丘口地区(提供:東急不動産株式会社)

渋谷区桜丘町・道玄坂1丁目及び渋谷3丁目地区にて進められている「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」の完成は2023年度とまだ先ですが、こちらは先にでてきた3つの再開発事業とは異なり、渋谷区に住んでいる人、働いている人、また、外国人ビジネスマンなどの生活支援を伴った大規模複合施設になるそうです。たとえば、健康機能等を有する国際医療施設や、サービスアパートメント、子育て支援施設などが備わるとのこと。
さらに、産学連携による渋谷発のビジネス・企業を育成する起業支援施設なども予定されているそう。ここから再び渋谷発のベンチャー企業が続々と誕生しそうです。

参照:https://shibuyastream.jp/release.pdf

参照:https://www.jreast.co.jp/press/2015/20150703.pdf

参照:https://www.tokyu-land.co.jp/news/b62d6b5badd12555e5d57dd6ed236a22.pdf

参照:https://www.tokyu-land.co.jp/news/pdf/662.pdf

渋谷区役所やNHK放送センターも建替えへ


建て替えが決まったNHK放送センター

東京五輪の開催(1964年)に合わせ、在日米軍向けの住宅「ワシントンハイツ」の跡地に建てられたのが、「渋谷区役所」と「渋谷公会堂」です。こちらも建物の老朽化と耐震補強などが背景にあり、現在建て替え工事が進行しています。
総面積約1万2418㎡の敷地の中には、新庁舎(2018年度完成予定)、新渋谷公会堂(2019年度完成予定)、敷地北側には、区から土地を借りる“定期借地”という形態で、事業者である三井不動産・三井不動産レジデンシャルが「パークコート渋谷 ザ タワー」を分譲します。地上37階建て、高さ121m、総戸数414戸の大規模タワーマンションはラグジュアリーな共用部も設えます。都心の摩天楼を眼下に望む一等地に住まうという特権を手に入れたい方は、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか?
また、代々木公園に隣接している「NHK放送センター」も一番古い施設が1965年開業と、52年もの歳月が経ち、老朽化による建て替え工事が決定しました。今回の建て替えで、災害時でも放送に支障をきたさないよう免震機能の強化と、次世代高画質放送への機能拡充を備えた施設にグレードアップするようです。延べ床面積26万㎡にも及ぶ敷地の建て替えは3工期に分かれて2020年より実施されるので、オリンピックイヤーには間に合いませんが、渋谷のランドマーク的な放送局がどう変貌するのか、大変待ち遠しいですね。

参照:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/shisaku/tyousha/index.html
参照:https://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/pdf/20160830.pdf

その他にも多くのエリアで再開発が進行中

渋谷駅から少し離れた南平台や、明治神宮方面へ行く途中にあった宮下公園なども、オリンピックイヤーに合わせて続々と再開発や整備が進んでいます。

・南平台プロジェクト(2019年3月完成予定)
オフィス(延べ床面積:約46,954㎡、地上21階・地下1階)
参照:http://www.tokyu-fudosan-hd.co.jp/news/pdf/684

・渋谷区宇田川町計画「Abema Towers」(2019年完成予定)
オフィス、分譲マンション(延べ床面積:約37,949.43㎡、地上21階、地下2階)
参照:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=21508

・渋谷PARCO建て替え(2019年完成予定)
商業ビル(延べ床面積:約63,830㎡、地上19階、地下3階)
参照:http://www.parco.co.jp/business/shoppingcomplex/shibuyaparco.php

・新宮下公園等整備事業(2020年3月末完成予定)
公園と商業施設、18階建ての高層ホテルが開業
参照:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/news/miyasita_kettei2015a.pdf

まとめ

2020年のオリンピック開催に向け、大きな変貌を遂げようとしている渋谷はまさに再開発の真っ只中。再開発とはそこにあったビルなどを壊して新しく建て替えること。だからこそ、一時的にオフィス不足などの課題も生み出します。そもそも渋谷は慢性的にオフィス不足であり、かつて渋谷に本社を置いていたグーグルやアマゾンなども従業員数の増加に伴い移転したといったこともありました。現在、再開発に伴いビルの取り壊しが進んでいる中で、その課題はますます加速しているといえるでしょう。ただ、今回グーグルが渋谷ストリームに本社機能を戻すように、少なくとも2020年以降に渋谷が変貌を遂げれば、かつてここから育っていった企業が戻ってくる可能性も大いにありそうです。そういう意味でも、かつて「渋谷」がITベンチャーの次々と生まれる「ビットバレー」と呼ばれた時代が、再興する未来が近いうちに来るかもしれません。今後の発展がますます楽しみな街といえるでしょう。

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