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ミニマリストになると出費が減るのはなぜ?【ミニマリストおふみの相談室】

2021.01.08


ミニマリストについて調べたことのある方は「ミニマリストになると無駄な出費が減ってお金が貯まる」という話を聞いたことはありませんか。ミニマリストの方へのインタビュー記事でしばしば見かけるミニマリストとお金の関係ですが、なぜミニマリストになると無駄な出費が減るのでしょうか。

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「ミニマリストになると出費が減る」という話をよく聞くのですが
どうして物を減らすと出費が減るのでしょうか。
物を減らす前と後で、どのように行動が変わったのか教えてほしいです。

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ミニマリストになると出費が減る、確かによく聞く言葉です。
何度か雑誌の取材も受けていますが、ミニマリストと節約を絡めた企画もよく見かけてきました。

ミニマリストになると出費が減るのか?

「片付けをする期間は一時的に出費が増えることもあるが、概ね正しい」が多くの人に当てはまる答えかなと思います。

まず、物を減らすことで無駄な買い物は減ります。これは間違いないです。
自分が何を持っているか把握できるようになるので、同じような物を買わなくて済むようになります。
探し物や無くし物もなくなるので、同じ物をいくつも買うこともなくなります。
物を捨てるという作業を繰り返すことで、「これまで無駄な買い物をしてしまっていたな」という反省から無駄な買い物を控えようという意識が高まり、物欲自体も落ち着く場合が多いです。

上記の理由から、概ね出費が減ります。

ただし、物の入れ替えが発生して一時的には出費が嵩む場合もあります。物量が大幅に減るということはこれまでと何かしら生活が変わるということ。
子どもが成長して服を買い替えるように、生活が変化すると必要なものが入れ替わっていくものなのでしょう。

物を減らすことで出費がかさむ場合もある。ただし一時的なもの。

例えば、これは私の実体験ですが、
かつて服は安物ばかり買っていて、その多くがセール品や古着だったためにサイズが合っていなかったり、色味が自分に合うものではなくても妥協で選んでいることが多かったです。クローゼットの中は、言ってみれば”二軍の服”ばかりでした。
二軍の服を手放して一軍だけに絞ると、今度は着る服がなくなりました。

そこで、数は少なくてもいいので一軍の服を持ちたいと考え、1シーズン10着を目処に服を買い替えました。
自分にとって”一軍の服”かどうかは値段によらず、似合う形や色でその年に着たいテイストの服であればファストファッションでもブランドものでも構いません。
似合うものを吟味するために、色やサイズが豊富にあるセール外の時期に、じっくり試着して買うことを徹底していました。

服の整理をした一年目は、春夏秋冬それぞれの季節で買い替えが発生したので、一時的に出費が嵩みました。
ただし、翌年からはクローゼットの中には自分に合う一軍の服だけがある状態になったので、買い替えも少なくて済み、出費は減りました。
生活が変化するその過渡期には、多少出費は発生するものだと考えておいた方がいいかもしれません。

こういった生活の変化による一時的な出費は服に限りません。
例えば、物を減らしたことで収納が不要になり手放しました。そうなると粗大ゴミの処分費用がかかります。処分費用の他にも、防災の観点から一人でも持ち上げられる重さの家具に買い替えたり、掃除のしやすさを重視するようになり、掃除しやすい形状の家具に買い替えるといったこともありました。そうすると一時的に家具の買い替え費用が発生します。

または、物量を劇的に減らせたから、住居の面積はもう少し小さくて良くなり駅近や築浅の物件、好きな土地への住み替えも視野に入れられるようになって、自分にとって好条件の家に引っ越すことで費用が発生する場合もあるでしょう。このように大型ゴミの回収、家具の買い替え、家の住み替えで一時的出費が嵩むことはあると思います。
ただしこれも一時的なものです。

家賃を下げられれば、引っ越し費用を差し引いても長期的には節約になりますし、自分にとって好条件の家に住めれば生活環境の向上になります。
これらのことのために使ったお金はとても”前向きな出費”だったと感じています。
こうしたらもっと暮らしが良くなるだろうな、という希望に満ちた出費というか。

住み替えや家具の買い替えはせずに物を減らすのみの場合もあるかと思います。その場合は、単純に減らせば減らすほどスペースにゆとりが生まれて、特に大きな出費もなくゴミの処分費用がかかるくらいだと思います。なので、物を減らした上で生活スタイルも変えた場合は一時的に出費がかさむ場合もある、ということを頭に入れておいていただけたらと思います。

さて、次は物を減らすと出費が減るという部分にフォーカスを当ててご説明していきます。

1.探し物や無くし物がなくなるので同じものをいくつも買うことがなくなる

物を減らすと出費が減るというメリットを最も感じられるのがこれだと思います。探し物や無くし物がなくなるので、同じ物をいくつも買うことがなくなります。

例えば黒のカットソーを持っていたとします。服の収納場所がまとまっていて、どこに何があるのかという”物の住所”を把握できていれば、その服を着たいと思った時にきちんと取り出して着ることができます。
しかし、収納場所が点在していると目的の物を探すのが一気に難しくなります。どこにあるのかわからないので手放したかと思ってもう一度買い直した後に、探していた物が出てくるということはよくある話です。
これは以前の私の話ですが、一軒家に住んでいた頃、服の収納場所が4箇所に点在していました。

洋室のクローゼット、ベッド下収納、和室の押入れの中の衣装ケース、洗濯物を畳んだものがしまわれずに出しっぱなしになっているソファの上の4箇所です。これに加えて、冬場は服が乾くのに一週間かかっていたので、廊下の物干しスペースにかかっている可能性もあります。洗濯前で洗濯カゴに入っている可能性も。
そうなると、これらの6箇所のどこかにあるけれどどこにあるのかわからないという状態になります。
当時は持ち物の住所を決めるという発想がなかったので、カットソーはその時々で収納場所も方法もバラバラでした。ある日は畳んで和室の衣装ケースにしまったかと思えば、次はハンガーで干したままクローゼットに吊るして収納したり、その次は畳んだまましまわれずソファに積み上げてあったり。毎回大捜索する必要があったのです。

その上、たまに思い出したように服を手放したりもします。
そうなると、朝の支度をしているときに黒のカットソーを着たいと思っても、自分が本当にその服を今も所持しているのかわからなくなってきます。そして出かけた先で、既に持っているものに似たようなものをいくつも買ってしまったりしていました。

物を減らしてからは、一つ一つの物の住所を決めるようになりました。
住所さえ決まっていれば、どこにしまっていいか片付けのたびに悩まなくて済みます。いざ使う時も探す必要がなくなります。また、物の在処を家族に尋ねられて説明する際も、住所が決まっていればズムーズに場所を示すことができます。例えば今の我が家での服の住所に関していえば、押入れの中段の左半分に吊るしておく服を収納し、畳むものは押入れ下段の衣装ケースにしまうと決めています。よそゆきの服でニット類以外のものは吊るして収納、カットソーやインナーとニット類は畳んで収納しています。

このルールを徹底するようになったので、黒のカットソーは押入れ下段の衣装ケースの左手前に入っています。そこ以外にしまいようがないので、一発で目的のものを取り出すことができます。物の収納場所はジャンル別に一箇所にまとめるが吉です。ここさえ探せばOKという状態にしておくのです。そうすれば自分が何を持っているのか把握できるので、似たようなものをいくつも買うということがなくなり、無駄な出費をなくせます。
また朝の支度のたびに大捜索しなくて済むので毎日の支度もストレスフリーになります。

2.足るを知ることで、似たようなものをいくつも買わなくなる

無駄な出費を減らせる二つ目の理由として、”足るを知る”ことで似たようなものをいくつも買わなくなるということが挙げられます。
これは服やバッグなどファッション系のもので顕著かもしれません。

例えば私の場合でいえば、以前は似たようなコットンのショルダーバッグをいくつも持っていました。しかし、買い物している最中は家に似たようなものがあることをすっかり忘れているんですよね。用途が被っているとか、素材が近いとか、これを買うなら別のTPO用のバッグの方が足りていないとか、そういうことがすっぽ抜けていました。無防備な買い物とでも言えばいいのか、物欲をコントロールすることも自分の持ち物を把握することもなく、無邪気に買い物していました。

今は、ジャンル別におおまかな定数を設けるようになりました。トートバッグは1つ、きれい目のバッグは1つ、アウトドア用は1つ、など用途別に数を定めています。(化粧品などは厳格に個数で区切るのではなく、ポーチに入るだけという上限”量”を設けています。)出先で自分好みのコットンショルダーバッグに出会っても、以前なら気に入ったという理由だけで買っていたところを、「コットンのショルダーバッグは既に1つお気に入りのものがあるので、もう十分に満たされている」と満足感を得られるようになりました。

人は好みのものに目がいくので、いくらでも似たようなものに惹かれて、無意識に似たようなものを買ってしまいがちです。用途別の定数を決めて自分の持ち物を把握できていれば、そのジャンルについてはすでに気に入ったものを持っていると気付けるので、冷静になり衝動買いを防げます。定数を決めることは、物欲のストッパーになるのです。

また、「今年の冬は10着で着回す」など制服を決めておけば、セールで衝動買いすることがなくなります。
セールは、もともと狙っていたものがあればお得に買えるチャンスですが、特に目的のものがない状態で足を運ぶと、お得さにつられてつい何かしら買いたくなるものです。
セールは性質上どうしても、色やサイズが揃っていない状態になるので、本当はMが合っているけど残っているLを買う、本当は黒が欲しかったけど茶色にする、などもっとも似合うものを吟味して買うということが難しいです。そうなると買い物の成功打率が下がります。
セール開始より前にその季節の服を揃えておくことができれば、セールで慌てて買う必要がありません。定価で買ったとしても、買い物で失敗することが減れば、無駄な出費も減らせます。

3.物を減らして物欲が落ち着き「次のボーナスは投資に充てよう」という風に消費から投資に意識が変わった

ここまでは、物を減らすことで出費を減らせるという話でしたが、さらに進んで、逆に資産を増やせるという話をしていきます。
無駄な出費が減って節約になっただけでなく、物欲を抑えられたことで逆に資産を増やすことができました。

物を手放すうちに、無駄な買い物をしたことを反省するようになります。
そして、何かを買う前に一呼吸置いて「これは本当に必要なものだろうか?」と考えられるようになります。
そうすると物欲が落ち着きます。
そして、入ってきたお金を消費するのではなく投資したいと考えるようになりました。

私は今から5年前に片付けを開始したのですが、その年のボーナス月に変化がありました。
それまでは「ボーナスが入ったら何を買おう?」と考えることがほとんどだったのですが、その年は「ボーナスが入ったら何に投資しようかな?」という考えが自然と浮かびました。
思考が消費マインドから投資マインドへとゆるやかに切り替わっていったのだと実感しました。

そして結果的には月々の投資信託を開始しました。いくつかの商品を組み合わせて買いましたが、5年間の成績は+26%(元本比126%)となりました。
10万円預けれていれば2万6千円プラス。
100万円預けていれば26万円プラスです。

もちろん投資なので情勢と投資先によってはマイナスになる可能性もあるのですが、そこは物を減らしてメンテナンスや掃除が楽になったことで生まれた自由時間を充てて勉強するなり、詳しい人にアドバイスをもらうなりして無理のない投資をするのがいいかと思います。金融商品を買うだけが投資ではないですしね。語学や資格の勉強など、自分への投資に充てても良いですし。消費から投資へと意識を切り替えてみるのはおすすめです。

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