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相鉄線の東急直通運転で注目の東横線・綱島の再開発を徹底調査

2018.11.30

▲新駅開業に伴い再開発が進む綱島周辺(提供:株式会社マーキュリー)

昔ながらの商店街と緑豊かな公園に囲まれた街「綱島」。2018年に藤沢SST(サスティナブル・スマート・タウン)に続き、最新のテクノロジーを駆使した“次世代型スマートシティ”を目指す綱島SSTが開業し、米アップルの研究拠点も入居しました。さらに2022年度には新駅の開業と駅周辺に大幅な再開発が予定されています。そんな注目の「綱島」エリアを徹底調査してみます。

東急東横線の沿線・綱島ってどんな街?

神奈川県横浜市港北区にある「綱島(つなしま)」は、東急東横線の沿線駅で1926(大正15)年に開業した歴史のある駅です。開業時は「綱島温泉」駅という駅名で、その名前の通り地下から湧いた高濃度のラジウムの温浴施設と駅を作ったのが始まり。そんな歴史ある「綱島」ですが、この街に住んだことのない人にとっては、名前を知っている程度で何があるか分からない…という声も多く聞かれます。
住んでいる方の声を聞いてみると、東横線(急行)を利用して横浜駅や渋谷駅まで直通かつ10分圏で行けるアクセスの利便性や、400店舗も加盟している商店街が駅前にある買い物の利便利便性、下町情緒のあふれる環境の良さのほか、駅から歩ける範囲に「綱島古墳(綱島公園)」「綱島市民の森」がある緑の豊かさなど、子育てファミリーからシニアまで多世代が住みやすいといった評価の高い街でもあります。

あの米アップル社の研究拠点が綱島に


▲綱島SST全景(提供:野村不動産ホールディングス株式会社)

そんな綱島エリアに2018年に大きなトピックスがありました。それは米アップル社が技術開発を行う本格的な研究拠点「YTC」を綱島に設置したというもの。このことにより一挙に街の雰囲気がグローバル化したというのです。
この「YTC」が入っているのが「綱島SST(サスティナブル・スマート・タウン)」と呼ばれる再開発エリアで、この「SST」とはパナソニックが進める工場跡地などの企業不動産を活用したプロジェクトのこと。国内では「藤沢SST」に続き、第2弾のプロジェクトとなり、官民一体の共同プロジェクトとして慶應義塾大学と連携したイノベーションラボや水素を使った新エネルギーの活用、街全体のエネルギーの最適化など “次世代型スマートシティ”を目指した取り組みを日々おこなっています。
「綱島SST」内には大型ショッピングセンター「アピタテラス」が開業したり、スマートシティ構想を取り入れた分譲マンションも竣工し、この先進の街づくりに魅力を感じて移住してくる家族が大幅に増えました。

先行して2019年度に相鉄線とJRの直通線が開業

綱島エリアで今後期待されているのが、新駅「新綱島」駅の開業です。まず先行して進んでいる相鉄線・JR直通線についても押えておきましょう。相鉄線(相模鉄道)は、横浜駅から海老名駅を運行する「相鉄本線」と二俣川駅から湘南台を運行する「相鉄いずみの線」から構成される相鉄グループの鉄道です。神奈川県の中央部を走る大手私鉄でありながら、東急線やJRとの相互乗り入れがなく、都内に出るためには横浜駅などから乗り換えが必要でした。そのネックを改善するため計画されたのが、2019年度下旬に開業予定の相鉄・JR直通線です。


▲2022年までに延伸予定の2つの直通線(参照:東急電鉄株式会社リリース※2016年時点)

現在、JR東海道貨物線として使われている「羽沢」駅の近くに、JRの新駅が開業し延伸予定です。先日その駅名が横浜を代表する国立大学の名前をとり「羽沢横浜国大」駅に決定されました(地図上では羽沢(仮称)と記載)。この「羽沢横浜国大」駅と相鉄線「西谷」駅の直通運行を開始することで、渋谷駅や新宿駅方面へ相鉄線1本でアクセスできるようになるのです。朝のラッシュ時で1時間あたり4本程度、日中は1時間あたり2~3本と運行本数は少なく感じるものの、待望の都心直結が叶うことで、沿線の住人の利便性は大幅に解消されるといえるでしょう。合わせて新駅周辺には商業施設やマンションとなる中高層ビル2棟などが計画されています。

2022年に「新綱島」駅開業 相鉄線と相互運行開始予定

綱島エリアでは2022年に相鉄・東急直通線の開業が予定されています。こちらは相鉄線「西谷」駅と東急東横線がつながり、朝のラッシュ時で1時間あたり10本~14本程度、日中は1時間あたり4~6本ほどの直通運行が開始。この相鉄・東急直通線の開業に伴い、沿線には新たに2つの駅が新設されます。その1つが現在の綱島駅の東口駅前に開業される「新綱島(仮称)」駅です。綱島エリアでは、新駅開業に向けた再開発工事が着々と進行中です。新駅に直結して区民文化センターや商業施設、240戸ほどの分譲マンションをふくむ28階建ての高層ビルが同年度に開業する予定のほか、駅東口では2026年度までに約330戸程度の分譲マンションと商業施設などが含まれる高層複合ビルの計画などもあり、今後ますます生活利便性が高まりそうです。


▲綱島駅東口駅前における再開発計画の想定範囲(提供:横浜日吉新聞)

相鉄・東急直通線のもう1つ予定されている新駅が「新横浜(仮称)」駅の開業です。こちらは東海道新幹線「新横浜」駅の付近に開業予定だといいます。綱島から新幹線に乗るには、東急線で菊名に出てJR横浜線に乗り換えになりますが、新駅の開業により新幹線駅までダイレクトアクセスが叶います。乗換時間の手間などが短縮になることで、関西方面へ重たい荷物を持って出張やお出かけしていた方にとっては大きなトピックスとなりますね。

新駅開業や再開発計画に伴い、マンション価格も右肩あがり

街の価値が上がると不動産価格も上がるもの。その条件はいくつかありますが、再開発や新駅誕生などで将来への期待感が醸成されると不動産価格も上昇する傾向があります。新築マンションの動向に詳しい株式会社マーキュリーのデータによれば、綱島エリアで直通線や新駅開業の計画決定された2012年は平均坪単価が大幅アップしています。さらに2014年以降の駅前再開発の検討開始以降は、右肩上がりとなっています。不動産業界でも今、注目のエリアとなっているのが分かりますね。


出典:2011年~2017年に販売された綱島駅を最寄りとする分譲マンションサマリー(マーキュリー調べ)


▲再開発エリア周辺の新築マンション販売実績(提供:株式会社マーキュリー)

まとめ

今回は綱島エリアの新駅開業と再開発の情報をお伝えしました。新駅開業や相互直通運行などのトピックスはなかなか頻繁に出てくるものではありません。だからこそ計画決定などのニュースによって、街への期待が高まるのも事実です。これから相鉄線・東横線の沿線で住宅を探している方は、鉄道会社のホームページなどで情報を得てみることをおすすめします。(情報は2018年10月現在のもので、今後開業年などは変更になる可能性があります)

※本記事に記載されている会社名および商品・サービス名は各社の登録商標または商標です。

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