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【ミニマリストおふみの相談室】買い物欲に負けない!お気に入りのものだけに囲まれて生活するには?

2023.01.20

今回のミニマリストおふみの相談室は「買い物欲に負けてしまい、なかなかお気に入りのものだけに囲まれた生活ができない」というお悩みです。ウィンドウショッピングに行った先で気に入って買ったけれど、後から冷静になってみると必要なかった……といった経験は多くの方があるのでは。おふみさんが最近の経験を見つけた、物欲に”打ち勝つ”のではなく”いなす”方法について解説してくださっています。

「自分のお気に入りに囲まれて生活するにはどうしたらいいですか?(買い物欲に負けてしまいます)」
というご相談をいただきました。
メッセージお送りくださりありがとうございます。
短いご相談文ながら、共感する方は多いのでは。
買い物欲を満たすために何かものを買うと、後から振り返った際にお気に入りの条件を満たすものではなかったり、欲しい優先順位が高いものではなかったりと買い物の失敗を生みやすくなってしまいますよね。

「お気に入りのものに入れ替える」と「買い物欲を刺激しない」という二つのことについてお話したいと思います。

「お気に入りのものに入れ替える計画」を立ててみる

ご相談者さんは現状お気に入りに囲まれていないということで、つまり、ものの入れ替えが必要だと考えているのですよね。
でも多くの場合、今持っているもので使えるものもあるだろうし、さらに予算もあるしで、今すぐに自身を取り巻く全てのアイテムを入れ替えるのは現実的ではないかと思います。
すぐにではないですが、着実にお気に入りに囲まれた生活に近づくために、まずはアイテムの入れ替え計画を立てみましょう。
今年はこれとこれを入れ替える、壊れたらこのアイテムを入れ替える、と決めるのです。

計画を立てる際には、現状のどこが気に入らないのかを書き出します。家具の天板の色がバラバラなのが嫌、照明と家具のテイストが揃っていない、など具体的に書くと同じ失敗を避けられます。
そして、理想の空間の写真を集めます。
ショールームやカフェ、お寺、ホテルなど理想の空間に足を運んでみて、その空間のどこを心地よく感じるのかを書き出してみるのもおすすめです。部屋の表にものがなくて床が見えているところが好きなのか、木の温もり感が好きなのか。部屋にあるものの素材や物量、インテリアのテイスト別に好みを洗い出してみましょう。

その条件をもとにアイテムを選定して、今後買い変えていくものをリスト化します。

購入時期も大まかに決めてみましょう。楽しみな予定があると、日々の仕事の励みになります。ボーナスの入る年2回、誕生日とクリスマスに、などなど、いつ何を買い替えるのか決めてみましょう。

計画を立てるのはお気に入りに囲まれた空間をつくるだけでなく、今すぐは無理でもいずれお気に入りに囲まれた生活を送ることができる、と自分を安心させる意味もあります。そもそもお気に入りに囲まれていない状態で焦燥感を感じるのは、「この先もずっとお気に入りのものに囲まれた暮らしができないのでは」と見通しが立たないからだったりしないでしょうか。
綿密に立てた計画表が手元にあると、着実に理想のお部屋に近づいていっていると感じられて安心します。

買い物欲をいなす上で効果的だったこと

加えて「買い物欲に負けてしまう」というお悩みも書いてくださっています。
お気に入りのものだけにしたいのに、買い物欲に負けて計画にないものを買ってしまう。つまり理想とする空間に不要なものが増えてしまうということだと思います。

買い物欲って、どんなときに沸くことが多いでしょうか。
SNSを見ている時が多かったりしませんか。
SNSは欲を刺激するようにできているので、見れば見るほど人の持っているものが魅力的に感じられてきます。
SNSで人が素敵に暮らしている様子を見た時に、「このアイテムを取り入れてみたら素敵な暮らしができるかも」という気持ちになったことのある方は多いのでは。

かく言うわたしも、昨年の夏頃はここ数年で最も物欲が刺激された時期でした。それとどう向き合ったのかをお話しながら、買い物欲との付き合い方について探っていきたいと思います。

昨年、仕事がハードな時期が続いていました。
書籍関係の仕事が2本同時進行という状態が半年以上続いたためにかなりオーバーワーク気味で、毎晩23時過ぎまで仕事して、食事とお風呂と寝る前に横になっている時間以外は仕事しかしておらず、丸一日休んだのも何ヶ月前なのかわからないといった状態でした。
そんな時、寝る前にSNSで好きなアカウントの投稿を見るのがささやかな癒しの時間でした。Instagramの発見タブで流れてきたジュエリーアカウントが大好きになり、過去投稿も遡って愛読するように。巧みな文章力で愛用ジュエリーを手に入れたエピソードや、どう活用しているかが熱く語られていて、読めば読むほどジュエリーというものが大好きになっていきました。そして、ジュエリーに対する愛情と、忙しすぎるが故の現状への不満がかけ合わさったことで、大きな物欲が育っていました。
あまりに忙しすぎて、「ご褒美がないとやってられない!!!」という精神状態に陥っていたのです。

それまで所持していたのはメッキのアクセサリーばかりだったので、年齢を重ねて地金のジュエリーが欲しいと感じる年代だったというのもあり、使いこなせる分は持ちたいと思いましたし、実際必要だと思うアイテムは買いました。しかし、それ以上に加速して収集してしまいそうなほど、ジュエリー熱が盛り上がっていました。

そんな加速した物欲はどうなったかと言うと……ハワイに行ったら物欲がなくなりました。
旅行中の8日間、普段見ているSNSを一切絶ったのです。

ジュエリーアカウントも暮らし系アカウントも一切見ず、ハワイの歴史やグルメ・観光情報だけを調べて出歩き、隙間時間は海に面したホテルのカフェで波の音を聴きながら空と海と行き交う人をぼーっと眺める日々を過ごしました。
すると、あのあり余るほどの大きな物欲が、海にすーっと流れていったかのように消えていたのです。物欲は嘘みたいに凪の状態に。食べ物を別として、欲しいものが本当に何もない状態になりました。
この体験は、物欲が溢れて困っている人にとって何か参考になるのではと思いました。

要因はいくつかあったと思います。
街を歩く人はみんないい意味で気が抜けて多幸感に溢れていました。バチバチに化粧している人はあまりおらず、装いもリゾート感溢れる派手色のTシャツに短パンにビーサンみたいなリラックススタイルの人が多く、そもそも好きなものを自由に着ている人が多いと感じました。
誰しもが肩の力が抜けていて、「人目を気にして化粧やおしゃれを頑張らなくてもいいや」という気持ちになっていきました。
誰も人の装いを気にしていない。それより目の前の夕日に夢中。そこにいる人がおしゃれでもそうでなくてもなんでもいい。自由。そんな感じ。
思えば日本にいる時はどこにいても何を着ても常に「ダサく見えてないかな?」と心配する気持ちがありました。それが手放せて、目の前の好きなものに集中できる感覚が、本当に心地よくて快適でした。

そして私は思いました。暮らしにもっとあの感覚を取り入れたい、と。
人目を気にした「見栄」よりも自分の心の心地よさを重視して生活する感覚を持って暮らしたいなと思いました。
とはいえ、人は社会で生きているので、1から100まで全て自分の好きなように、人目は一切気にしないという生き方は難しいと思います。でも、その比率を意識して、「あ、今、人目を気にしすぎていた」と思ったらバランスを取る、ということならできるのではないかと思っています。

帰国して日常に戻ってからは、またSNSを見始めて、多少物欲が戻りそうになったのですが、そんな時はあのハワイでの感覚を思い出すようにしています。すると、日本にいながら物欲を海に流しているような感覚になります。これは物欲に「打ち勝つ」というより「物欲をいなす」という言葉の方が近いです。頑張ってねじ伏せなくても、自然に手放せる感じ。

ご相談者さんがSNSで物欲を刺激されているとしたら、一度SNS断ちしてみませんか。
断つまでは難しかったとしても、「一度、物欲を疑ってみる」のは良い方法かもしれません。
何かを見てそのアイテムが欲しい気がしてきても、「刺激に対する反応でしかないのかも」と疑ってみるのです。
気になるアイテムがあれば、手元の買い替えリストを眺めて、それと照合しましょう。今欲しい気がするものは、このリストに加えて良いものか?理想の部屋に本当に必要なのか?と。
そして、刺激から少し距離を置く。たとえば長期旅行は急には無理だとしても、人目が気にならない場所で空や海、川、湖、木々などの自然をぼーっと眺めてみませんか。

わたしの場合はそんな風にして物欲をいなしました。
何か少しでもお役に立てる部分があれば幸いです。

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