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住まいのリフォーム用語集

管理組合

マンションにおける管理組合とは「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」の第3条にある「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成する(一部、略および抜粋)」という規定に基づいたマンション管理団体のことをいいます。つまり、マンションの所有者は、みなさんが管理組合の組合員ということになります。

ここで「別に普段は何もしていないけれど、管理費を払っていれば、清掃員さんや管理人さんが、点検等をしてくれるんじゃないの?」という方もいるかもしれません。清掃や管理をしている方は、管理組合と契約をして、日常的な管理を代行してくれるだけであり、管理をする立場にあるのは、マンションの所有者である管理組合の役目になります。では、「管理組合って結局のところ何をしているの?」ということを説明していきたいと思います。

 

管理組合の役割とは?

 

「マンションの管理」と一言でいっても色々な仕事がありますが、下記の10項目が代表的な管理組合の役割になります。

 

  1. 共用部分の点検や管理および修理

マンションには、その部屋を購入した方が管理をする「専有部分」と、廊下や消火設備、エレベーターなどを所有者の全員で管理する「共用部分」があります。管理組合ではこの共用部分にあたる場所の点検や整備を行わなくてはいけません。エレベーターや消火設備などは、法律で定められた法令点検もありますので、安全に暮らすためにもそれらの管理をすることは、大切な仕事です。

また、大規模修繕工事の時期が近づくと、工事の管理(監理)も行わなければなりません。大規模修繕工事の際には修繕委員会を立ち上げるなどして、工事会社を決めるところから工事の検査まで、幅広く対応していくことが必要になります。

 

2.区分所有者が支払っているお金(管理費・修繕積立金)の管理

マンションを買った方(区分所有者)は、定期的に「管理費」と「修繕積立金」を払わなければなりません。その管理をするのも管理組合の仕事です。管理費は日々の掃除など、マンション管理を委託している管理会社への支払いや定期点検の際に使用します。一方で、修繕積立金は大規模修繕工事の際に使用します。管理組合では、修繕積立金を長期修繕計画と照らし合わせながら、このままの金額で足りるのか、あるいは長期修繕計画に変更点はないかなども検討していく必要があります。

 

3.建物を建て替える必要が出た際の区分所有者への説明や調査

 建物が古くなり、一部もしくは建物全体の建て替えが必要になった際は、マンションの区分所有者の一定数以上の賛成がないと建て替えることができません。そのため専門家にマンションの現状調査を依頼したり、情報を集めて区分所有者へ説明したりするのも管理組合の仕事です。

 

4.建物の管理に関わる設計図などの書類の管理

 マンションが新築の際に作成された竣工図書※や設計関係の図面なども管理組合が責任をもって管理を行います。これらの書類は修繕工事を行う際や建て替えを行う際に、施工会社建物のことを知るために重要な資料となります。

※建物の工事途中で生じた変更等の内容もすべて反映した最終の図面のこと

 

5.共用部分の保険に関わるお金の管理

 管理費から共用部分の火災保険料や損害保険料などを支払っています。その契約の更新や保険料の支払いは、管理費の管理を行っている管理組合で行います。

 

6.トラブル防止のため専有部分の管理

 基本的に管理組合が管理するのは共用部分だけですが、専有部分の配水管や火災報知機の点検なども管理組合主体で行うことが一般的です。これらは専有部分にありますが、もし故障していたりした場合には、大きなトラブルにつながる可能性があるためです。

 

7.共用部分の変更や運営

 マンションの敷地内や、共用部分に新しい施設を作ったり、エレベーターを取り替えたりする場合も、管理組合が管理を行います。古くなってしまった設備を新しくしたり、時代にあった設備を導入したりすることは、マンションの価値を保つためにも重要なことだからです。

 

8.官公署や町内会とのやりとり

 管理組合は、町内会や官公署との窓口になることもあります。町内運動会などのイベント事が町内会である際は、そういったイベント事の窓口としての役割も管理組合が担います。また、官公署へ届出をしなければならないことが発生した際も、管理組合が窓口として行います。

 

9.安全で快適に暮らすための防犯・防災

 マンションの住民(区分所有者)の防犯や防災の意識を高めることも、管理組合の仕事です。そのために防犯パトロールや消火訓練を行ったり、親睦を深めるためのイベントを企画したりもします。

 

10.管理組合が解散した際のお金の管理

 管理組合は、マンションの区分所有者から管理費と修繕積立金を預かり、活動を行っています。しかし、建物の老朽化などでマンションを建て替えることになった場合、建て替え前のマンションはなくなるので、管理組合も解散になります。その場合は、区分所有者から預かっているお金を清算しなければなりません。その時の状況に合わせて、どのように清算するかを決めるのも管理組合の仕事です。

 

マンション管理は他人事じゃない

 マンション管理については「管理会社がやってくれているから」と、あまり考えてこなかった方も多いのではないでしょうか。冒頭でもいいましたが、管理会社は管理組合の代行サービスであり、その主体が管理会社へと移ってしまっては本末転倒です。あくまでもマンションは管理組合のものであり、その資産価値は組合員一人ひとりの資産価値に影響します。「住めればいい」ではなく、マンションは自分の資産でありマンション管理は自分の資産を守るための重要な仕事であるということを忘れず、マンション管理を行いたいですね。

 

参考文献:国土交通省「マンション管理の基本と改修による再生の重要性」

     国土交通省「マンション標準管理規約」

     国土交通省「マンション管理標準指針 コメント四 建物・設備の維持管理」