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住まいのリフォーム用語集

延べ床面積とは?

近年、新築住宅ではなく中古住宅を購入してリノベーションやリフォームをして住む方や、ご自宅をリフォームして長く住まれる方が増えてきています。リノベーションやリフォームは住み替えよりもリーズナブルですし、自分の好みをカタチにできることや、住み慣れた今の家に愛着がある方にはピッタリです。では、このリノベーションやリフォームを検討する際、必ず出てくる「延べ床面積」という言葉はご存じでしょうか?これから、延べ床面積について説明します。

延べ床面積とは

延べ床面積とは、壁に囲まれた建物内部のすべての床面積を合わせた面積のことを言います。たとえば2階建ての家ならトイレやお風呂、階段なども含めて1階と2階すべての床面積を合わせたものが延べ床面積となります。ただし、壁に囲まれていない外部の設備(バルコニーから2mの範囲・外部階段等)や、そもそも床のない場所(吹き抜け部分等)は延べ床面積に含まれません。さらに、床面積の中には壁や柱の面積も一部含まれますので床面積=床のある場所の面積とはなりませんので、注意しましょう。 延べ床面積と似た言葉に建物面積がありますが、この2つは同じものを指し、主に容積率を算出するのに用いられます。容積率とは、敷地面積と延べ床面積の比率のことです。容積率についての紹介はまた改めてリフォーム用語集に追加する予定です。

より開放的な増築・リノベーションに活かせる

延べ床面積を最大限に広げたいというのは多くの方が思うことですが、前章でご紹介した通り場所によって容積率の基準が異なるため同じ広さの土地であっても、同じ延べ床面積の建築・増築が出来るるとは限りません。しかし延べ床面積に含まれないようにリフォームすることで、容積率の規制が厳しい地域であっても、これまでよりも快適な空間を作ることが可能になります。では、延べ床面積に含まれないものとはどのような部分でしょうか。 戸建てを例にすると分かりやすいと思いますが、代表的なものはウッドデッキや庇などです。バルコニーやべランダも該当します。これらは奥行きが2メートル以内であれば延べ床面積に含まれません。次に、ロフトです。高さが1.4メートル以下、ロフトの面積がロフトのある部屋の面積の2分の1以下、且つはしごが折り畳み式などになっていて固定されていないという条件が満たされていれば延べ床面積に含まれません。さらにビルトインガレージも、延べ床面積の5分の1以下であれば除外されます。さらに、地下室も含まれません。ただし、天井が地盤から1メートル以下、住居用であること、かつ、全床面積の3分の1以下であることという条件があります。 延べ床面積に含まれないこれらのものを知っておくことで、増築・リフォームの際の選択肢を増やすことができるのではないでしょうか。たとえばウッドデッキは奥行き2メートルもあればテーブルやチェアを置いてランチスペースにすることができますし、ガーデニングを楽しんだりすることができます。また、ロフトは収納以外にもお子さんの秘密基地や、趣味の物を保管場所、書斎として活用するのも良さそうですね。。ビルトインガレージは車だけでなく自転車やバイク置き場、不用品の保管庫としても活用できるでしょう。平面の駐車場よりもビルトインガレージの方が汚れにくく、防犯面でも安心です。 次に延べ床面積と固定資産税の関係についてお話します。固定資産税とはご存じの通り、土地や建物にかかる税金で、固定資産税課税標準額×標準税率で計算されます。固定資産税課税標準額とは土地や建物の価値に対する金額のことですが、大規模なリフォームをした場合は建物の価値が上がり、その結果固定資産税も上がる可能性が高いと言えます。「うちのリフォームも固定資産税がアップしてしまうのではないか」と不安な方もいらっしゃるでしょう。結論から言えば、固定資産税が上がってしまう可能性があるのは、増築などで床面積が増えるリフォームです。例えば壁紙や床の張替え、2つの部屋の壁を抜いて1部屋にするといったリフォームであれば床面積は増えませんので、固定資産税がアップする心配はありません。一方、2階建てを3階建てにする、敷地内に部屋を増築するといった場合は床面積が増えますので、それに伴い固定資産税が上がります。また、大規模リフォームでは「建築確認申請」をしなければなりません。 建築確認申請とは、各都道府県や市の担当者に建築確認の手続きを申し込むことを言います。この手続きをすると、建築主事や指定確認検査機関が、あなたのリフォームが建築基準法に即しているかを確認します。これは違法建築を防ぐために、設けられている手続きです。では、ウッドデッキやサンルームを増築する場合はどうでしょうか。結論から言えば、周囲をガラスで囲まれていたり屋根があったりする場合は建築確認申請をしなければならず、固定資産税が上がる可能性が高いと言えます。不安な方は、まずリフォームをお願いする会社に建築確認申請をしなければならないリフォームなのか、固定資産税が上がってしまう恐れがあるのかを確認してみましょう。 増築で固定資産税が上がるのが気になる、という方が知っておきたいのは「容積率不算入」についてです。「容積率不算入」とは、容積率の算出方法に関する規定のことを言い、一定の基準を満たせばあれば容積率の計算に使われる延べ床面積に含まれないという規定のある工事がこれに当たります。例えば2階建ての住居に地下室を作る場合、1階と2階の面積が50平米とすると、地下室も50平米以内にすれば容積率不算入になります。また、ロフトは天井高さ1.4m以下で、面積が接する階の面積の1/2未満であれば容積率にはカウントされません。そして、「ベランダやバルコニーを増築したい」とお考えの方に是非お伝えしたいのは、「外壁から2メートル以内であれば延べ床面積にカウントされない」ということです。2メートルあれば、かなり広々としたベランダやバルコニーが作れそうですね。このように、固定資産税を変えずにリフォームする方法や容積率不算入などについて知っておくことで、よりお得なリフォームが可能になります。

まとめ

リフォームの際に、延べ床面積について知識を持っておくことはとても有効だということがお分かりいただけたかと思います。住宅用語には延べ床面積以外にも、混同しやすい言葉が多いため、あらかじめ各用語の違いをきちんと確認しておくことが、リフォームで失敗をしないためのコツの1つになると言えるでしょう。