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住まいのリフォーム用語集

区分所有者とは?

分譲マンションに住んでいる方は、管理組合の管理規約を読んだことがあるでしょうか? あまり読む機会は多くないかもしれませんが、読んでみると「区分所有者」という単語が頻繁に出てくることに気づくと思います。この「区分所有者」とは、いったい誰を指しているのでしょうか。

 

建物の所有について定められた「建物の区分所有等に関する法律」によれば、区分所有者とは一棟の建物の構造上区分された部分で、独立して住居や店舗などを所有する権利を持った人のことを指します。つまりマンションでいえば、101号室を購入して所有している人はその101号室の区分所有者であるということです。

 

それでは、区分所有者にはどんな義務があるのか、具体的にみてみましょう。

 

区分所有者の義務

区分所有者とは、建物の区分された一部を所有する権利を持っている人であり、主に管理規約で定められた以下の3つの義務があります。

 

1.区分所有者は管理組合を結成しなければならない

区分所有者は共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するため、建物の管理をするための団体(管理組合)を結成しなければなりません。管理組合では主に建物の日常的な管理や、長期修繕計画に基づいた大規模修繕工事の管理(監理)及びそれらに関わるお金(管理費、修繕積立金)の管理を行います。また、実際に管理や工事を行うにあたって集めている管理費や修繕積立金が不足していないか、節約することはできるかどうかなどの見直しも行います。

 

2.管理費及び修繕積立金を管理組合に納入しなければならない

区分所有者は、マンションを購入し所有した後もエレベーターや廊下などの共同で使用する部分(共用部)の維持、管理をするために定期的に管理費及び修繕積立金を管理組合に支払わなければなりません。管理費は管理会社や設備の定期点検等の支払いに、修繕積立金は大規模修繕工事の際に使用されます。

 

3.専有部分の修繕工事等を行う際は管理組合に承認を得なければならない

戸建てと異なり、専有部分について修繕、リフォームまたは建物に定着する物件の取付けもしくは取替えを行おうとするときは、あらかじめ理事長(管理組合役員)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければなりません。この時、施工上に無理がないか、ほかの区分所有者に不利益がないかなどを確認するために、設計図・仕様書・工程表を添付した申請書を管理組合の理事長に提出する必要があります。

 

区分所有者と占有者の違い

区分所有者はマンションの専有部分の持ち主のことをいいますが、占有者とは実際そこに住み使用している人のことを指します。つまり、区分所有者が自分の所有物件に住んでいる場合には区分所有者も占有者も同じ人を指しますが、区分所有者が賃貸物件として貸し出した場合、区分所有者は貸し出したオーナーのことを指し、占有者は借りて住んでいる人のことを指します。

 

ではこの場合、占有者である賃借人は管理規約の範囲外なのでしょうか。確かに管理規約によって義務付けられているのは区分所有者ですが、区分所有者は占有部を住戸として貸し出す際に、占有者に管理規約を守らせる契約をする必要があり、その契約書も管理組合へ提出が必要です。また区分所有者が家族でマンションに住んでいる場合も同様に、同居している家族にも管理規約を守らせる義務があります。

 

占有権と占有使用権について

区分所有者が建物で構造上区分された部分を所有している人であるということは前述したとおりですが、実際、建物には区分所有者の所有である部分とそうではない部分が存在します。区分所有者が所有している場所を「専有部」といい、専有部を使用する権利のことを「占有権」といいます。反対に、区分所有者全員が所有する部分を「共用部」といい、管理組合の管理下に置かれている場所のことを指します。専有部はおもに以下の2つに分けられます。

 

専有部に該当する場所

1.躯体(くたい)を除く天井、床、壁

2.玄関扉の内部

※1と2に含まれないものはすべて共用部になります。

 

ここで「ベランダは?」と疑問を持つ方も多いのではないのでしょうか。実は、ベランダ・ルーフバルコニー・専用庭などは共用部に分類されるものです。これは災害などの非常時に避難はしご・避難扉・パーテーションなどが、整備不良を起こしてしまうリスクがあることや、非常時に使えないようなリフォームをされると困るため、共用部として管理組合が管理をしています。


しかし、「共用部だから」と勝手にお隣さんが入ってきたり、物を置かれたりしたら困りますよね。そのためにあるのが「専有使用権」です。専有使用権とは、共用部の特定の場所を特定の区分所有者が使用する権利のことで、ベランダやルーフバルコニーのほか、駐車場や自転車置き場などが対象になる場合もあります。

 

区分所有者になったら

マンションを購入した時期からかなり経過した方も、これから購入される方も、マンションの居住性や利便性はもちろんのこと「資産価値」という面にも目を向けていただきたいと思います。今すぐ売却する予定がなくても、いつどう考えが変わるかわかりませんし、資産価値を維持・向上させるということは安全で快適に暮らせる環境づくりにもつながります。せっかく気に入ったマンションを購入して区分所有者となったのならば、「住めればいい」ではなく「住んでいたい」となるように取り組んでいくことも大切なことではないでしょうか。