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住まいのリフォーム用語集

修繕積立金とは?

修繕積立金とは、マンションの区分所有者が長期修繕計画書に基づき、大規模修繕工事に向けて積み立てを行うお金のことを指します。区分所有者の方は1ヶ月に1度または数ヶ月に1度の周期で、管理組合に修繕積立金を支払っているのではないでしょうか。管理組合に支払っているお金は2種類あることをご存知ですか? 1つが管理費、もう1つが修繕積立金です。まとめて一定額を支払っているため、目的や内訳を理解されないまま支払っている方もいるかもしれませんが、実際にこの2つは別々に管理され使用されています。まずこの2つの費用の違いについてきちんと理解しましょう。

管理費と修繕積立金の違いについて

1.管理費 管理費とは、マンションの住環境・資産価値を維持向上させるための管理に使われるお金のことを指します。契約している管理会社の費用や設備点検費などに使用され、主に清掃などの日常的な管理や点検を行うことを目的としています。 2.修繕積立金 修繕積立金とは、マンションの大規模修繕工事や、突発的な修繕工事が必要になった際に使用するお金を指します。十数年ごとに行われる大規模修繕工事の際に一括で全額の集金を行うと各世帯の負担が大きいので、定期的に積み立てることで負担を軽くすることを目的としています。

長期修繕計画と修繕積立金の関係

みなさんは「長期修繕計画書」という書類を見たことはありますか? ピンとこない方も多いのではないでしょうか。長期修繕計画書とは、マンションの経年劣化具合を予想して、どの時期にどの程度の規模の修繕工事が必要となり、そのためには月々どの程度の金額を集めなければならないかをしめした書類のことをいいます。長期修繕計画はマンションの分譲時にはすでにあることが一般的ですが、マンションの各部の劣化状態はそのつど見なければ分からないうえ、新しい技術で修繕年数が当初より長いサイクルで対応可能な場合もあるため、定期的に見直しが必要です。でも「見てみたけど、見直しっていわれても分からないよ!」という方が大半かと思います。まずは、国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」を参考に修繕積立金の見直し方について考えてみましょう。

修繕積立金の見直し方について

1.理事会・専門委員会での検討 修繕積立金の見直しをする際は、まず理事会で見直しについて検討する必要があります。その際、必要に応じて専門委員会を立ち上げる必要もあります。理事会や専門委員会で見直しについて検討した後、専門家に依頼し、長期修繕計画の見直しおよび修繕積立金の見直しを行うことになります。 2.専門家への依頼 国土交通省作成の標準様式を参考に長期修繕計画作成業務発注仕様書を作成し、管理組合から専門家へ長期修繕計画の見直しを依頼します。長期修繕計画作成業務発注仕様書を作成することにより、依頼する業務を明確にすることができます。 3.専門家による調査・診断 専門家に依頼した後は設計図面や修繕履歴を調べたり、実際に建物を調査します。必要に応じて区分所有者へのアンケートを行い劣化状況や区分所有者または居住者の要望を把握します。 4.内容の検討 マンションの現在の状態を踏まえ、区分所有者の望むマンションの性能や機能について意見をまとめ、修繕積立金の積立状況も考慮しながら実際にはどの範囲までを工事対象とするか検討を行います。マンションの築年数によっては建て替えや、耐震工事などが検討されることもあります。 5.総会での決議 理事会や専門委員会で検討を行った後、総会で決議を行います。また、総会の前に管理組合は説明会などを開催し、区分所有者から理解を得るとともに決議後も資料を配布するなどして周知することが必要です。

皆で支える大規模修繕

修繕積立金は管理費と違い、日常生活にあまり関わらないため「できるだけ安いほうがいい」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、修繕積立金は大規模修繕工事や細かな修繕工事で使用しますので、修繕積立金が少なければ一部の修繕工事しか行えず資産価値を維持することが難しくなってしまいます。最悪のケースでは、劣化したタイルやコンクリートが落ちて居住者や通行人に当たってしまうという大惨事を招きかねません。せっかく購入した我が家です。楽しく暮らせるよう未来を見すえたお金だという認識をもち、現在どのくらいの修繕積立金があり、長期的に見て十分な内容となっているかどうかも含め、一度ご自身のマンションの修繕積立金を見てみてはいかがでしょうか。