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住まいのリフォーム用語集

シーリングとは?

1.シーリングとコーキングの違い

修繕工事を行う中で、多くある質問の1つに「シーリング工事とは何か?」ということがあります。一般的には「シーリング」では無く、「コーキング」と呼ばれることが多いと思います。シーリングとコーキングは同意語と使用されることが多いですが、はっきりした定義の違いはありません。しかし建築業界では、おおよそ「外壁の目地やサッシまわりに、止水や緩衝(クッション)の目的のために埋め込むゴム」をシーリングと呼び、「内装や建具や家具等のすき間を埋める地材」をコーキングと呼び分けています。

 

2.シーリングの種類

シーリングにはいろいろな種類がありますが、修繕工事で使用されるシーリング材は、大きく分けて4種類になります。

外壁がタイルのマンションで最も使用されているシーリング材が、「変成シリコーン系」になります。外壁まわりの全般に使用されますが、特にまわりの動きに合わせる機能に優れるため、動きの大きいサッシ等の金属のまわりに使用されます。

またタイルとタイルとの間の「目地」と呼ばれる部位には、「ポリサルファイド系」が使用されることがあります。「ポリサルファイド系」は接着性に優れるというメリットがありますが、「変成シリコーン系」と「ポリサルファイド系」を使い分けることが大変なため、タイル目地とサッシまわりの両方に「変成シリコーン系」が使用されることが多くあります。

以上の2種類が「露出」と呼ばれる塗装が被らないシーリングですが、外壁が塗装仕上げの場合、「ポリウレタン系」を使用し、シーリングの上に塗装を被せます。「ポリウレタン系」は、シーリング表面の付着性が良く、完全にシーリングが硬化した後も、手で触ると表面がベタベタしています。

最後にごく一部ですが、ガラスのまわりに、「シリコーン系」を使用します。他の3種類に比べ耐候性、耐熱性、耐久性に優れますが、施工箇所の周辺に撥水汚染が発生することがあります。

 

3.シーリング工事の管理のポイント

1.既存シーリングの完全撤去

通常はカッターで切れ目を入れ、ペンチを使用して引っ張れば既存のシーリングは撤去が出来ます。しかし、既存のシーリングが硬化不良により固まっていなかったり、逆に古い建物では材質が油性のものを使用していて、ガチガチに固まっていたりして、簡単に撤去することができない場合もあります。

 

2.プライマーの選定

プライマーとはシーリングを充填する前に塗る「接着剤」になります。雨上がり後、下地が濡れている状態ではしっかりした性能を発揮できず、剥離や漏水の危険性があります。また下地がコンクリートなのか、金属なのか、シーリング材が変成シリコーンなのか、ウレタンなのかによりプライマーの種類が異なります。当然、仕様と間違ったプライマーを使用すると、剥離の原因となります。

 

3.シーリング材の攪拌

シーリング材は一成分形のものと二成分形のものがあります。通常の仕様では主剤と硬化剤の二液を混合して使用する二成分形のシーリング材を使用します。少量であったり、施工性を考慮する箇所の場合、一部一成分形のカートリッジタイプを使用します。二成分形シーリング材の攪拌は、タイマーがセットされた電動撹拌機が用いられます。適正な攪拌時間を守らないと硬化不良が発生します。

 

4.シーリング工事の検査の種類

1.ダンベル試験

この試験は、主に既存のシーリングの状態を確認するために行います。現状のシーリングを撤去し、「ダンベル状」にカットし、シーリングの物性(伸び等)を調べます。通常12~13年で行われる大規模修繕工事でシーリングの打ち替えを行いますが、この試験結果が良好な場合、打ち替えを行わない場合もあります。

2.抜き取り試験

シーリング打ち替え後、既存のシーリングがしっかり撤去されているかを確認するために、打ち替えたシーリングをカッターで切り取り、撤去したシーリングの断面と撤去した目地の状態を確認して、新規のシーリングがしっかり打ち込まれているかを確認します。

3.簡易引張試験

抜き取り試験といっしょに行うこともありますが、シーリング打ち替え後(14日目以降)、シーリングが適正な接着性と伸びを持っているかを確認します。シーリングを幅10mm、長さ100mmにカッターで切れ目を入れ、10mmごとにマーキングして引っ張ります。材質によって基準が異なりますが、あるメーカーでは、変成シリコーン、ポリサルファイド系で伸ばす前と比較して伸び率200%、ウレタンで150%が合格となります。

 

5.最後に

シーリング工事において、塗装が被るウレタン系シーリングの場合、「ノンブリードタイプ」を使用します。ブリードとは塗装表面が黒く汚染される現象で、これは元来シーリングを柔らかくするために含まれる油の成分が、塗装に浸透して表面に浮き出ることにより、空気中のゴミが付着してしまいます。ノンブリードとは、「ブリードしない」シーリングという意味になります。

また、露出する変成シリコーン系、ポリサルファイド系を使用する場合、既存のシーリングの色を確認します。表面上は汚れて黒くなっていても、実際にシーリングを撤去して断面を確認してみるとグレーであったということもあるので、必ず施工者・発注者との間で確認することをおすすめします。